第廿七話 ふたり
あれ?…やわらかい。あったかい。何で俺、いきなりチューしてんの?
あ、メアリーさんじゃないですか。あれ?お?俺、フル勃起。
つうか、このバインバインのナマちち感触。
「やさしくして、くださいね。あまり激しいと、声、出ちゃいますから…」
おう、いぇす。ちょっと激しいかもしんないけど。がんばります。
「声、出ちゃうと、レイチェルさんが起きてしまいます」
…そう言えばここは、昨日泊まった部屋のような気がする。
つうか、幼女があっちのベッドで寝てる。これ、昨日の場面そのまんま。
らっきー、じゃ、もう一回、俺のビッグマグナムで
違う、ちょっと待て。なんか変だ。さっきまで、俺は確か、国境の町にいたはずだ。たくさんの死体があって、どうしようも無くって、絶望して、クソ生意気な女を助けて、そして…
ははーん。これが生意気女の能力か。リセット能力、よくあるよくある。確かにこりゃ強力だ。ラスボス級だ。チート能力の王様だ。
リセットできるなら、どんだけでも再チャレンジおっけぇ。安心安心。
じゃ、あらためて、俺のビッグマグナ
まてよ。あの女はたまたま死んでいなかった。もし今回、完全に死んだら…マズイじゃん。
あの建物の焼け跡から鑑みるに、襲撃時間は、もうそろそろ?
ああ、畜生…せっかくメアリーさんとセックス出来るってのに…まあいいか。
「メアリーさん」
「はい?」
「やっぱり、ごめんなさい。あなたの優しさに、ここまで甘えるわけには、いきません」
「え…?」
「こんな夜中ですけど、ちょっと野暮用が出来ました」
「…ウソです」
「いえ、本当です。国境の町までひとっ飛び、行ってきます。マジマジ」
「からかったって、だめですよ。もう…本当に、ですか?」
「…こんどまた、じっくり、甘えさせてもらうぜ。その時は、これでもかってぐらい、アンアン言わせてやる、この世の天国を見せてやる。楽しみに待ってろ」
「…照れ屋さん、なんですね」
クスクスと笑うと、少し悲しそうな顔になった。
「危険なのでしょう」
「いや、そんなに危なくないっす」
あ、しまった。危険だっていってるようなモンじゃん。
「私は、イヤです。あなたにこれ以上、苦しんでもらいたくない…」
「俺は、最強の勇者だぜ?楽勝だぜ?俺が行かなきゃ、 人 が 死 ぬ ん だ ! もうあんな思いはしたくない!!」
自分でも、その声にびっくりした。
「…ごめんなさい。本当は、私が、甘えたかったのかもしれません」
「メアリーさん」
「行ってください。あなたは、強い人です。そして、必ず帰って来て」
「もちろん。とっとと終わらせて帰ってくるよ。あ、ベッドは暖めておいてねー」
俺は、手早く装備をまとめると窓から飛び出した。高速飛行魔法詠唱。
ドォンと。ああ、幼女起きちゃったな。たぶん。
薄暗闇の国境の町、出発からものの数分で到着した俺は、華麗にランディング。
タイミングを合わせたかのように、あの魔女ッ子系ステッキを持ったハズカシイ女も、俺の側に降り立った。
「よう、生意気女、いい歳コいて魔法少女か?」
「来たんだ。来なくてもよかったのに」
「余裕だな。死にかけたクセして」
「ちゃんと覚えてるんだね。普通の人は、時間戻したら忘れてるのに。…前回はちょっと油断しただけ、今度は大丈夫」
「お前、簡単に言ってくれるな。お前が死ねば、この町にいる大勢の人間も、死んだままどうにもならなくなるんだ。見過ごせるかこのタコ」
「案外、熱血勇者君だったのね。ウワサって、アテにならないわ」
まだ、家々の中には人々が眠っているようだった。
「避難させた方がいいんじゃないか」
「そんな暇はないわ。もうすぐそこまで来ている。私の能力では今の時間巻き戻しが限界。今、撃退できなければ、次回もできない」
魔物達の津波が、轟音を立てて迫ってきていた。
「おう、肝心な事を訊くの忘れてた。こっちも命張るんだ、名前ぐらい教えろ。スリーサイズもな」
「ミヅキ。スリーサイズは、生き残ってからね」
「上等、ただし、ミヅキ、オマエの出番はナシだ」
何言ってるの、と言いたげな顔をよそに、俺は既に呪文を完成させていた。
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