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  非日常見聞録 作者:和希
第29話 お姉ちゃん
 「お姉ちゃん!遊ぼ!」
「だから私はこの国の__」
「ほらほら!」
「こっちこっち!」
次の日。朝から賑やかだった。
「こらこら、そろそろご飯だ。適当な席について」
「勿論私が上座だ__」
「お姉ちゃんのところは皆が勝手に決めていいよ?っは」
少し笑ってしまった。
「なっ!?貴様笑った__こら!引っ張るな!」
「賑やかよね。あなた。あ、服の代えは私のを用意しておくわ」
「馬鹿を言うな。貴様のような服では胸がつっか…すまん、冗談だ」
「うるさいわね!アンタだって私より大きいぐらいじゃない!アンナやローラと同じぐらいよ!私のでそこまできつくなるわけ無いでしょ!?50歩100歩よ!」
「なっ…貴様と50歩100歩の訳ないだろうに!」
「な…なんですってぇ…」
「落ち着くにゃ、2人とも。それよりリョウタは早く食べてメッシナに行くにゃ。そこで治安維持部隊の選抜をしてくるにゃ。竜騎士もそろそろ5人ほど入れるべきにゃ。私は空の閃光(スカイフラッシュ)で売れるもの回収してくるにゃ。ルイスは孤児を見つけてくるにゃ。チホは…自分で何か見つけてにゃ」
「分かったわよ。、リョウタ、それでいつごろから投資について話すの?」
「そうだな…夕食後に話そう。夕食はいつもの7時で」
「分かったわ」
「では解散」
4人が食べ終わってその皿をメイドが回収していく。残されたのは呆ける第二王女と孤児達だった。



 「お姉ちゃん、こっちこっち!」
「ああもう!分かった!分かったから離せ!…全く」
もういい加減抵抗するのをあきらめ普通に子供たちと遊んでた。まだ朝食から1時間もたってない。1時間たってないのにこんなに疲れるのだからこの先がどうなるのかと暗くなってた。
「で、どんな遊びをするのだ?」
「鬼ごっこ!」
「私がそんな幼稚なことをするとでも?」
少年少女たちは円陣を組み、ゴニョゴニョ話し合った後第二王女…エリザードを見て言った。
『お姉ちゃんペッタンコ!』
本気の鬼ごっこが始まった。


 「分かったな!?今度から女性に対してそういうことを言ってはならない!女の子も同性とは言えそういう事を聞くのは失礼だっ!分かったら返事!」
『はい』
結局最後には何とか全員捕まえ(何度か捕まえても逃げたけど)、頭をグリグリしたのだ。それで説教をしてるところだ。2時間もかかるとは…と自分で落ち込んでみるが魔法が使えないのだからしょうがないと開き直る。するととある子が言った。
「そろそろ勉強の時間じゃない?」
「あっ、こら!それを言わないって約束だろ!?このお姉ちゃんにはリョウタお兄ちゃんが勉強をいつするか話をしてなかったんだから!」
「黙ってれば勉強なかったのに!」
それを聞いてエリザードは口をゆがませる。
「ほほう…それはいい事を聞いた。この中で勉強が嫌いな子は手を挙げろ」
ほぼ全員挙げる。
「よし、勉強をやるぞ。ついてこい!」
「鬼畜!」
「何とでも言え。そんな挑発程度で私を__」
「ババァ!」
1対1の鬼ごっこが始まった。


 「今度からそういう事を言うな!」
「はい…」
「よろしい、では勉強をしよう。勉強が出来るのはいい事だ。昼ご飯の時間まで勉強しよう。分かったら返事」
『はーい』
「ではよろしい、まず読み書きから始めるぞ。この黒板に書いていけばいいのだな………よし、まず基本からやって行こう」

 「何でこうなるの?」
「それはだな、こうやって…こうやるのだ」

 「この7+4はどうやるの?」
「それは10の位をつくるんだ」

 「へえ、しっかりやってるわね。エリザード」
「お前は…確かチホと言う者か?」
「そうよ、慕われてるわね。それとはい、さらに孤児追加。5人よ。昼ご飯は作ってあげるわ。そのうち自分で作れるようになってね。午後からまた出かけてくるから」
「って、待たぬか!あ…行ってしまった…」
「それじゃあ昼ご飯まで遊ぼう!」
「…ったく、お前たちはいつも遊ぶことしか考えてないのか?」
「違うよ」
「どんな事を考えてるのだ?」
「食べる事!」
「当たり前だ!そんな事じゃなくて__」
けど子どもたちは深刻そうに言った。
「そんな事じゃないよ。今は涼太お兄ちゃんが養ってくれてるけど」
「昔はその日その日でつらかったの」
「今じゃあ前拾われた時から毎日ご飯を食べれて」
「お風呂に入れるし」
「勉強だってやってるんだぜ?」
「きれいな服も貰えるから」
「人買いにさらわれそうになる事もなくなったんだよ」
それを聞いてエリザードは改めて感じる。
「それもこれも前の戦争やこの戦争で…お父さんが死んだからだよ」
「お母さん1人じゃあ僕を養っていけないってのも分かる。けど…それでもつらいんだよ」
「僕は前の王女同士の戦争の時にお母さんとお父さんが死んだんだ。前いた領地にふらりとリョウタお兄ちゃんがやってきて拾ってくれたからこうやって生きてるんだよ」
「貴族なんか大っ嫌いだ!皆からどんどん物を奪っていって。なかったら魔法で酷い事する!」
皆がそれに頷く。それに皆の体験を聞いてか、自分の過去を思い出して泣きそうな子もいる。
「ねっ?お姉ちゃんもそう思うでしょ?」
「わっ…私は…」
エリザードは何とも言えなかった。皆に少し休んでくる、ご飯を食べに行きなさいと言ってすぐに走って行った。


 「はぁ…何をしてるのか。私は」
平民なんてどうでもいいと思ってるのではなかったのか?そう問いかけても何も帰ってこない。
「どうするか…戻れん」
もう子供たちと別れて3時間はたった。途中で眠ってしまったのだ。
「戻れん…では駄目だな。戻れ!自分、私!」
そう言って腰を上げる。ゆっくりと屋敷に戻って行った。



 「お姉ちゃん、心配したんだから!」
「そうだよ!もう…それより今度はお小遣い貰ったから街に買い物に行こうよ!」
「そう…か…。行こうか、町に」
『わーい!』
そのまま逃げようか、そう思ったがどうせ人相書がまわってるのだから捕まるだろうという考えを持って逃げる事はやめにした。…けどそれぐらいフードで隠せばどうにかなるのではないだろうか?けどそれでも逃げようとは思わなかった。そんなことより今はこの子たちと町へ買い物へ行こう。


 「あっ!あれがほしい!」
「あれも、それも!」
「こらこら、それと皆はぐれてはならんぞ。怖い人たちはいっぱいいるのだからな」
15人ぐらいの大所帯になるとさすがに大変なのだ。
「分かってる。僕たちが最も知ってるって!」
「そうそう!」
「僕も見たんだから!」
その言葉の奥深さを知る。
「そうか、とにかく怖そうな人には近寄るなよ。顔がでは無く、ああいう眼が、怖そうな人…達?」
見ると5人ぐらいの集団がやってきた。ただの集団ではない。
「ついてきてもらおうか」
「だれがお前達ごときに従うとでも?第一今の私は体力が回復している。私に勝てるとでも思うのか?」
ハッタリだ。魔法道具のおかげで今は普通の女の子程度。けどそれを聞いて集団は一瞬なやんだがすぐに1人が思いついたような顔をする。
「そうだ…な。これでどうだ!」
近くの子供の2人を捕まえる。そう、エリザードのそばにいる。
「馬鹿か!こんな平民なんてどうでもいいと思ってるのがそんな__」
「待ってくれ!その子たちに手を出すな!」
「…意外だな。まあいい、連れて行け」
そこに子供たちが立ちはばかる。けどそれをたしなめるように言う。
「どくんだ、大丈夫だから」
「いやだ!」
それでもどいて進んだ。5人組の前に立って子供たちに振り向いた。
「スマン、最後に言っておく。私は…この国、アレクサンドリア王国第二王女、エリザードだ。君たち、また君たちの両親を苦しめたり殺したりした張本人だ。そんな私が言うのもおかしいと思う」
一息ついて、目に涙をためて言った。
「楽しかった、たった1日だったが。それでも楽しかった。お前たちが私をどう思っていようとも、私は君たちが大好きだ」
子供たちは呆然とした。それを見て、振り向く。
「さあ、そこの2人を離すんだ」
「分かった」
2人はおとなしく離される。
「じゃあ、勉強はしっかりするんだぞ。リョウタには…上手いこと伝えておいてくれ」
そのまま歩く。何もないように過ぎるはずだった。そう、
はずだった。
「ゴブッ!?」
「おっ、お前たち!?下がるんだ!コイツらは強い」
「うるさい!お姉ちゃんはお姉ちゃんだ!第二王女?違う!エリザードって名前のお姉ちゃんだ!」
いつの間にか子供たちが前に出てる。エリザードを守るように。
「このっ!ガキどもがッ!!」
魔法で作った剣を振りかぶり、子供に向けて刺そうとするのをみた。そこに走って行き、その子供を突き飛ばした。自分の胸の中央に吸い込まれてくのをゆっくりと感じてる。やはり酷い目にあわせたのだからそれにふさわしい死にかたがあるのか、と思った。


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