バレンタインday〜僕と俺の甘いチョコ〜
このお話はボーイズラブです。苦手な方はご注意ください。
「チョコ、いらない。それにバレンタインなんて女が男にあげるものだろ」
僕の彼氏――大翔は、僕が作ったチョコをあっさりと断る。
まぁー予想していたけどね。
僕――響と大翔が付き合い始めて、初めてのバレンタインデー。それに便乗してもらってくれないかなぁと思ったが、それは儚い夢となったようだ。
「はいはい、わかりました。もういいよ。無理言ってごめん」
僕は下を向いた。大翔に今の顔を見せたくなかったから。きっと今、僕は泣きそうな顔をしているだろう。
いつものことだけど、ショックだった。
付きあって約半年。大翔が僕に好きって言ってくれたのは一回。僕が告白した時に「俺も好きだ」の一回だけだった。
不安なんだ。
本当に大翔が本当に僕のこと好きなのか分からない。今の僕をどう思っているのかを知りたい、でもそれを訊いても大翔は言ってくれないだろう。大翔は照れ屋だから、絶対に言わない。
「じゃあさ、これはどう?バレンタインぽくないでしょ?」
僕は、フルーツがたくさん入ったゼリーを大翔に差し出した。
もちろんこれも手作りだ。
きっとバレンタインっという行事に敏感になっているとしたら、ゼリーならって思ったんだ。
でも大翔は「いらない」と言う。
「俺は甘いものが大嫌いなんだ」
僕のこと、わかってくれないんだな。
男同士だって、こうゆうイベント大切にしたい気持ちだってある。
嫌いでも貰ってくれたっていいのに……。
僕は大翔の優しいところを好きになったんだ。不器用だけど、心配してくれたり、失敗しても次頑張れって応援してくれたり、勉強で分からないところを教えてくれたり……。
でも付き合うようになってから、そうゆうことがめっきり減った。
デートはするけど、大抵はファミレスでご飯を食うだけだ。遊園地なんて一度も行ったことない。
―――やっぱり釣り合わないのかな僕達。
最近よくそう思うようになった。
もしかしたら、大翔は僕の告白を断れなかったのかもしれない。大翔は優しいから僕の気持ちを考えて……好きってしょうがなく言ったのかもしれない。
「……」
「おい?!どうした?」
突然、黙りこんだ僕を心配して声を掛けてくれた。僕は下を見ているから大翔の表情はわからないけど、どことなく焦っているように聞こえたのは気のせい?
「別に何でもないよ」
「じゃあなんで泣いてるんだよっ」
「えぇ?!」
慌てて頬に触ってみるが、濡れた感触はなかった。
その仕草を見た大翔は首を横に振った。
「そうじゃない。さっきからお前、下を向いているだろう?悲しいことがあった時にするお前の癖だ」
自分でも気付かなかった癖。僕のことをよく見ていてくれたという証。
それを聞いて僕はとんでもないことに気づいた。
―――全然わかっていないのは僕の方だってことに。
「ねぇ?僕のこと好き?」
僕は訊いてみた。
「好きだよ」
すんなりと答えが返ってきた。
大翔の顔はうっすら赤く染まっている。
何だ……。こんなに簡単だったんだ。
自分から訊けばよかったんだ。大翔は照れ屋だからそんなことを絶対言わない、と勝手に思い込んでいたんだ。
調子に乗って、もう一つ聞いてみた。
「じゃあ何が好き?今度は大翔が一番好きなものにするし」
「響がいい」
「えぇ?」
「さっきも言ったけど、響が一番好き」
その言葉を聞いた瞬間、僕の体から汗が一気に噴き出した。
こんなに恥ずかしい台詞を聞くとは夢にも思わなかった。大翔も恥ずかしかったのか、さっきより顔が赤くなっている。
僕は笑ってしまった。
「可愛いな、もう〜。大翔の新たな一面発見!!」
それを聞いた大翔はムスッとする。
拗ねているのかな?
そう思うと、どうしようもなく可愛くて仕方がない。
「可愛い!大翔、すごくかわぃ……んぅ?!」
大翔は僕の口をふさぐようにキスをした。
唇と唇が触れただけのキスだったのに、大翔はすぐに離してしまった。
なんで?と大翔の顔を見ると、いつになく真剣な目で僕を見ていた。
「俺はな、チョコよりもずっとお前の方が食いたいよ」
甘々な台詞に僕は瀕死。
…チョコは食べてもらえなかったけど、それでもいい。
――――だって、僕達自身が『チョコのように甘い存在』なのだから。
ベタだなぁ〜と、自分自身思いました。
こうゆうの書いたことがなかったので、楽しかったです!!
感想頂けると嬉しいです☆
最後まで読んでくださって、有難うございました(*^_^*)