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第16話-連行
SIDEアスラ
 エースを見つけるのは苦労した。
 何しろ、普通にゴミの小山の上に登って、見下ろしてみれば、子供の姿はあちらこちらに見える。
 ……捨て子なんだろう。
 裕福と言われる元いた日本でさえ、捨て子は常にいた。
 増してや、常に世界全体を見回してみれば、捨て子なんてどこにでもいただろう。
 
 「……この中からエース1人を探し出すのか……」

 先程叩きのめした2人組み以来、数人を叩きのめした所でそれ以上手を出してくる奴はパタリと止まった。無駄と気付いてくれたのか、それとももっと強い奴を呼びに行ったのか……まあ、今静かならそれでいい。
 さて、それじゃまあ……。
 
 「おーい、そこの子供達」

 剃で高速移動して、子供達の集団の横に出現する。
 どうやら、ゴミの中から売れそうなものを拾っているらしい。……こういう子供達を見ていると、自分のやろうとしている事が所詮偽善に過ぎないという事がよく実感出来る。
 自分は漫画に登場したキャラだから、エースを知っていたし、彼が未来において名を上げ、そしてどんな最期を迎える事になるか知っていたから……介入を決めた。
 けれど、それはこの場で見れば、1人の子供を助けるだけの話。
 その他大勢の子供達は、これからもこの場所で生きていかなければならない。
 それでも……やらないよりはやる、だから俺は手を出す。

 びっくりした子供達にお駄賃を出して、エース探しを行ってもらう。
 何しろ、これまでろくに金を使う機会がなかったせいで(海の上では使う場所がない、衣食住の基本は海軍が面倒みてくれる、元の世界みたいなゲームもなければ、溢れる程大量の漫画や本もない)、財布の中身にはそれなりの余裕がある。
 この人数に駄賃を出した所で全く問題がない。
 その上で、エースを探してもらう。子供は同じ子供に探してもらうのが一番だ。一番最初に見つけた子供にはお菓子をおまけにつける、と言ったら張り切っていた。
 まあ、実際、迅速に発見してくれたので、追加の駄賃とお菓子を渡しておいた。
 ……ついでに、俺が離れてみせた途端に、予想通り、チンピラが子供達を包囲して、渡したばかりの金を奪おうとしたのですかさず戻って、全員遠投の為のボールになってもらった。結構飛距離はあったと思う。人を野球ボールみたいに投げるなんて、俺も随分遠くにきたもんだ……。
 その後は、まあ、離れてみせても誰も来なかったので、大丈夫だろう。
 ……多分、な。

 そうして、今、俺はエースと……もう1人の、こいつはおそらくサボだな。
 その前にいる。
 ……この子に関しては、原作に出てこない。というより、エースが小船で島を旅立つ時、ルフィに別れを告げた時、その隣に彼はいなかった。つまりはそういう事だ。
 2人とも警戒感バリバリだ。
 まあ、こんな場所で、海軍にエースが呼び止められては、な。
 
 「……誰だ、お前!」

 エースと思われる子供が叫び、武器とも言えない棒を構える。
 
 「俺か、俺は海軍本部大佐アスラだ」

 俺がそう名乗ると、背後に感じていた気配が急速に立ち去っていくのを感じる。
 俺の名乗りを聞いて、海軍大佐に手を出すのは危険と判断したんだろう。
 
 「か、海軍の大佐が何の用だよ!」

 っておお、このサボって奴、震えながらもエースを見捨てて逃げたりしない。
 この年で大したもんだ。
 
 「なに……ガープさんの子育てというか鍛え方に問題を感じてな、少し手を出させてもらいに来たって訳だ」

 ニヤリと笑うと、エースが『爺さんの…?』と呟いた。
 警戒感を緩めてはいないが、とりあえず理解は出来たという所か?

 「……それで俺をどうする気だよ」

 「なに……」

 エースの問いかけに応える前に、俺は2人の背後に回り、ひょい、っとばかりに抱え上げる。
 原作の頃のエースじゃあ、さすがにこんなに簡単に接近させてはくれないだろうが、今はまださすがに年齢が年齢だけあって、剃での動きについてこれなかった。


SIDEエース
 海軍大佐と名乗るそいつがここに来た理由は分かった。
 大方、爺から何か言われて来たんだろう、そう思って睨んでいたのに。 
 急に忽然と目の前から消えたに、『えっ?』とばかりに、つい呆けた顔をした次の瞬間には、既にその両腕に俺達は抱えられていた。

 「「なっ!」」

 俺達は確かに子供だけど、だからこそ逃げ足や直感には自信があった。
 何しろ、俺もサボも4歳の子供だ。当たり前だけど、幾等鍛えた所で、大人や危険な猛獣相手に正面から戦える訳がない。
 じゃあ、どうするか?
 答えは簡単だ。正面から戦わなけりゃいい。
 不意打ちで先制を取って殴り倒せばいい。罠に嵌めて、相手の動きを止めて倒せばいい。けれど、その為には相手より先に気付かないといけない。
 相手に先に気付かれたら、不意打ちなんて出来る訳がない。
 相手に先に気付かれたら、罠に誘い込むのだって危険が増す。
 山の中で駆け回って、鍛えられてたつもりだったけど、こいつには全然効果がなかったみたいだ。
 しかも、俺らが山を走るのとは段違いの速度でまるで空を走るかのような勢いで森の中を駆けている。何時の間にやら、並走する形で巨大な虎が駆けていた。
 この山で見かける主より小さいけど、威圧感が半端ない……!この辺りの獣のボスでさえ、こいつ見たら服従のポーズするんじゃないだろうか……?そんぐらい、こいつは迫力があった。
 ……この海軍大佐のペットか何かか?少なくとも敵じゃないようだけど。
 
 結局俺達は、自分で駆けてたら何時間もかかるような道程をほんの僅かな時間で駆け下ってた。
 
 「……あいつ、途中では本当に空走ってなかったか?」

 崖とかあってもお構いなし。
 両腕に俺達を抱え込んだまま、垂直の崖を駆け上がり、谷を飛び越えた。そんなものなんてないかのように、普通に走り、普通に越えてった。俺達には同じ事は絶対出来ない。
 爺と話をしている大佐を睨んでると、サボがこっそりと話しかけてきた。

 「……気付いたか?」

 「ああ、あいつ俺達より早く森の中とか動いてたよな?」

 多分これだろうと思ったのだが、どうやら違ったらしい。
 そうではなく、あの密着位置から財布を掏れなかったらしい。
 ……あの状態で財布が掏れなかった?それで生計を立てているサボが?
 一体どういう事かと考えていたが、その前に爺と話しを終えたらしい、あいつが歩み寄ってきた。

 「……それで俺達をどうするんだよ」

 「そうだな、お前達海賊に憧れているらしいからな……」

 ニヤリと表現するような顔になって、あいつは言った。

 「ひとつ、社会科見学と洒落込もうか」

さすがに毎日投稿かそれに近いペースはきついかな
次回ぐらいから3日に一度ぐらいのペースに落とそうかと悩み中……


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