第二章第三話 ローマン商会
馬車はサンドール王都に向って進む。周辺に敵影はなく極めて順調だ。今更だけどエウリュースで貰った(部屋に置いてあったのを勝手に徴収)本を広げる。本の題名は「大陸の歩き方」だ。内容が気になったので借りてきたのだ。
「ん~、どれどれ?」
早速本を開くと簡単な大陸地図と首都の場所が書かれていた、教国やその周辺の国家なども書き込んである。
これを見本に空路を決めようかなぁ・・。とりあえず簡単に読んで必要な情報だけ抜き出しておこう・・・・。
馬車に揺られながら本を読む。たまに馬車が揺れてページが滅茶苦茶になるがそれもまぁいいだろう。本を読み終えて顔を上げるとサンドールが見えてきた。本はまぁ意外と勉強になった。大陸にある国の特性と分泌する主要な魔物と怪物などの紹介だった。
アルビオン、エウリュース、ベルグナード、サクチュリアは都市国家であり、領地の村は少ないそうだ。それでも交易の要になる場所には第二の町を作っているようだが・・。
第二の町がある時点で都市国家じゃないような気もするが・・。とりあえずシェンデルハルやラプンツエルがそれにあたるな・・。
で、一番問題っぽいのがエーベンブルグ帝国であり、首都以外にも10の町を持つ国だそうだ。本によるとエーベンブルグが転移した直後は複数の都市があったがエーベンブルグが攻め落としてそのまま使用しているとか・・・。
まぁサンドールから北の大陸だと都市国家なんて無い様だが・・・・。これはおいおい覚えていこう。とりあえず地形さえあればなんとでもなる。
本の最後には著者情報が書いてあった。
著者、マイラ・ブラウン。ロンデュウム教国首都マーガレット通り2番目のクレーターサイド雑貨店を営みながら「この大陸の歩き方」を手掛ける。初代、クレーターサイド雑貨店店主、モイラ・ブラウンにこの本を捧げる。
この本の著者はロンデュウム教国首都に居るのか、もし教国に行く事があれば一度あってみたいな。
そう思うほどにこの本はためになった、でもまだ生きてるよな?大分この本も古そうだが・・・。
サンドールを目前に馬車を一旦止めてピップボーイから小麦を取り出して載せれるだけ馬車に載せる。ランドドラゴンはちょっと重そうにしながらサンドールへと続く道を歩む。
サンドールの町を囲む壁の外側にある馬車預かり所に拠り馬車を預けて番号札を貰う。もし大漁に物を仕入れた場合この番号を見せればその場所にある馬車に積み込んでもらえるのだ。
適当にぶらぶらとサンドールの町を歩く、この町は北と南を繋ぐ場所なので常に人が出入りして大賑わいだ。とりあえず小麦を売り捌きたいので商業ギルドを目指す。
商人ギルドでは主に仕入れの依頼以外にも店舗の紹介、あと物によってはギルドで買い取ってくれるそうだ。小麦だし、売れればそれでよし、ダメなら買い取ってくれる場所を教えてもらえばよし。ついでに鉄器の取り扱ってる店も教えてもらおう。
それほど苦労もせずに商人ギルドに辿り着いた、ギルドに入ると中は広々としている。
適当な受付に座ると受付のお姉さんが話し掛けてきた。
「いらっしゃいませー、本日がどのようが御用でしょうかー?」
「すみません、小麦とライ麦を運んできたのですが買い取ってくれる商会があれば紹介して欲しいのですが・・。」
「小麦やライ麦でしたらここを出て右側に進んだ所にあるローマン商会が老舗でしょうかね?」
「ローマン商会ですか?ありがとうございます。」
ローマン商会は簡単に見つかった、店舗に入り受付のお兄さんに小麦やライ麦を売りたいと伝えると、荷を調べるので馬車の場所を聞いてきた。馬車の場所を伝えたあと、暫くここで待つようにと言われて待つ。
ひたすら待つ、大体一時間程待つとなんか偉そうな人がやって来た。
「はじめまして、私はこのローマン商会サンドール支部の代表、シュペーです。貴方の持ってきた小麦とライ麦は全て買い取らせて頂こう。」
「はぁ、ありがとうございます。」
面倒事の予感がビシバシ感じますよ?普通に買い取りだけなら態々偉い人が出てくる理由ないだろうしな・・。
「ところで質問ですが、あの小麦やライ麦はどちらで仕入れたのですか?」
「ベルグナードとエウリュースの間にある村で仕入れました。」
とりあえず嘘を教えておく、真実を言うわけにはいかないからだ。とりあえずエウリュースとベルグナードの間と言っておけば時間は稼げるだろう。
「そうですか、村名とか覚えてますか?」
「ラプンツエルから少し行った村で名前は・・・あ~、すみません忘れてしまいました。」
「ラプンツエル付近の村ですか・・・。」
目を細めて俺の話を聞くシュペー、ふと疑問に思い尋ねる。
「あの小麦やライ麦がどうかしたのですか?」
「いえいえ、とても素晴らしい小麦でしてね。ここら辺で購入できる小麦とは比較にならないほどの上物でして・・・。これほどの小麦は王城でも食べられる品では無いと思いまして・・・、一体何処で作られたのか気になったのですよ。」
「ええ、そうでしょう?余りの素晴らしさに購入してしまいました。」
今度から売る場所等も考えないと大変な事になりそうだな。とりあえず今をどうにかしないと・・。
「出来れば定期的に納入していただけるとありがたいのですが・・・。」
「もうし訳ありません、たまたま此方の方に来ただけなので、本来私はここより北のほうをメインに交易しておりまして・・。」
「そうですか・・それでは仕方ありません。では今回の金額はこの程度で如何でしょうか?」
そういって見せられた数字は金板5枚・・市価の数倍程度だろうか。まぁここで揉めて目を付けられるのも困るし、さっさと了承して逃げるとしますか、っとその前に仕入れもしないとね。
「はい、その金額でお願いします。ところでですが、金属製農具を取り扱っていればここで仕入れたいのですが。」
「ええ、ありますよ。金額はこのようになってます。」
クワなど農家に必須な金属製農具のリストを出してきた。(ちなみにこの世界、貧乏な村は石や木製の農具を使っているところもあり金属製農具は裕福な国にしかあまりなかったりする。)
適当に農具を選び馬車に積んで貰うことにした、数時間で終わるというので町を出るのは明日にして宿屋に向った。
【ローマン商会サンドール支部】
「シュペー様、例の準備は整いました。」
「んむ、そうか。」
今さっき商会を出て行った男、クロイスの背中を見ながら考察にふける。
「あれほどの小麦の産地ですか、もし専売を取れれば莫大な富を生み出すに違いありませんね。」
「ああ、そうだな。是非とも抑えたい。」
「しかし、なぜ彼を追跡させるのです?たしか違う場所に向うと言ってましたが・・。」
「果たして本当に違う方向に向うか・・だな。」
予想するに、クロイスという男は食えんだろう。
「どういう事ですか?」
「なぜあれほど大量の金属製農具を仕入れたんだと思う?普通あれほど大量には仕入れない、村ぐるみで仕入れを以来しない限りはな。」
多分、私の予想は間違っていない。
「まぁ私の予想だと何処かの村が新しい麦の栽培に成功、それを元に生産量を上げる為に金属製農具を・・・って所だろう。」
「なるほど!さすがでございます。この私目に説明頂けるなんて・・。しかしなぜ武装隊までも?」
「なぁに、小麦の出所を知る為に町を出たら奴を襲撃して無理矢理口を割らせる為さ。間違いなく彼は嘘を付いているからな。」
長年、人を見てきたからわかる、クロイスという男は本当に食えない男だ。まぁ、伊達にサンドール支部長になった訳ではない。必要な事は力ずくででも押し通す。
「例の3姉妹を呼べ、大至急やって欲しい仕事があると伝えてくれ。」
長らくお待たせしました、やっと戻ってまいりました。体調が悪かったのもありますがいろいろ忙しくて感想も返せずにすみませんでした。これからも今までよりペースは落ちますが更新していくので時折覗いてくれると嬉しいです。
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