第一章第十話テオドラからエウリュースへ
馬車はエウリュース王都に向って進むがそのペースは非常に遅い。王族関係者二人が全身筋肉痛で苦しんでいる為に出来る限り衝撃を与えないようにする為だ。
左を見ると隅っこに大人しくしているアリス・マーガロイド。多分転生者だと思うが確証が持てない。まぁ転生者だからどうこうするつもりは無いんだけどな・・・・。しかし本当にスローすぎる。
「このスローペースだと今日中どころか明日になっても到着しないぞ?」
「うぅ・・それは困ります・・最低でも明日の朝までに到着できれば・・・。」
翌朝までに到着なら余裕ができるな、それほどペース上げなくても辿り着けるだろう。ただ野営になるが・・。それにしても馬車が小石などに乗り上げて揺れるたびに二人が悲鳴を上げている。さて、とりあえず連れてきちゃったアリス如何しようかなぁ・・。
「そうそう、明日の朝のペースだと野営になるけど大丈夫か?」
「野営・・ですか?」
「村なら幾つかあるが宿屋があるような村は無かったと思う。」
「それなら仕方ないかな?わかった。」
一応マリアに話を通したので御者台でぼーーーっとする。魔物の襲撃も無いし、速度はかなり遅めで殆ど揺れない。昼寝には丁度いい感じだ。
「・・・眠い、非常にねむい。」
御者台の端っこにいるアリスに話しかける。
「???」
「あとは任せた、ランドドラゴンは賢いからなんとかなるだろう。」
ランドドラゴンの手綱を御者台の端っこに居るアリスに渡す。すると慌てて反応が返ってきた。
「えっとあの!ランドドラゴンの馬車の御者をしたことが無いのですが・・・。」
縋るような目でやんわりと断ってくるけどどうせ居るだけでいいしな。
「大丈夫さ、こいつら多分大人しいと思いたいから。」
「多分!?大人しいじゃなくて大人しいと思いたい?よ、余計に不安なんですが・・・。」
「あとは任せた!じゃぁおやすみ!」
「ちょっとまってくださーい。」
まぁ実際お飾りでいいんだよな、行き先伝えたからランドドラゴンが勝手に向ってくれるし。ただ御者の居ない馬車は目立ちそうだからという理由だしね。
それに手綱強く引っ張ると抜けるし、しかもラランドドラゴン本人の意思で手綱付けたり外したり出来るからほっとけばいい。勝手に目的地付近まで連れてってくれる。
アリスも最初騒がしかったがランドドラゴンが大丈夫だと判ったのか素直に御者をしているようだ。周囲を警戒モードにして少し寝るか・・・。
俺はマリアとヴェロッサの呻き声を子守唄に眠りについた。
数時間後
夕方になったようだ。現在地を確認すると王都まであと4分の1程度の場所に来ている。明日の朝早めに出発すれば昼過ぎには辿り着けるだろう。
御者台に上がりそのままランドドラゴンに適当に野営出来る場所へ行くようにと言う。
場所はランドドラゴンに任せるとして俺は周囲を見渡してマリアとヴェロッサが見てないのを確認してから樽の中に適当な食材を入れておく。あとは野営する場所に付いたら最初からありましたよーって顔で下ろせば問題ないだろう。
そんな事考えていると馬車が止まった、ランドドラゴンがごそごそ動いている感じがするが手綱を自分で外しているんだろう。食料が詰まった樽を馬車から下ろす。
「さて、夕食でも作ろうかね。」
「御主人様!私が作ります!作らせてください!」
なぜかアリスが張り切っているので作ってもらう事にする。役割分担は俺が釜戸作り、アリスが食材を準備して調理準備、マリアとヴェロッサは薪拾い、ドッグミートは匂いを嗅ぎながら森へと突入したから多分狩り、ランドドラゴンは樽を咥えて川の方に向ったから多分給水。
ドッグミートもランドドラゴンも動物の域を出てきたような気がする。
穴を掘り石を積み上げたりして釜戸を作る頃には全員準備完了したようだ。ドッグミートは牛のような魔物を引っ張ってきたのでこれが今日のメインディッシュになる。
しかし牛みたいな魔物には噛み傷ではなく細いもので貫かれたような後があるんだが・・ドッグミートどうやったんだ?
アリスが調理している間は暇なので銃を磨く事にする。ボロ布に若干油を染み込ませてキュッキュっとリンカーンリピーターを磨いていく。この輝きがたまらない。
小一時間すると調理が終わったようだ、アリスが皿に料理を盛り付けていく。シチューにステーキにサラダと言う簡単な料理だがとても上手そうだ、頂きます。
一口食べて驚く、とても美味しい。マリアもヴェロッサも驚いたかの様に一瞬動きが止まったが瞬く間に食事を平らげ始めた。調味料って基本的なものしか無かったはずなんだけどなぁ・・・。
「美味しかった、自身があると言うだけあるな・・・。」
「ありがとうございます。」
・・・・しかしアリスの頭を見るとフケが沢山くっ付いているし、顔とか見ると酷く汚れている。川で水浴びも考えたけど冷え込む夜に水浴びだと風邪引きそうだしなぁ・・。このまま寝かせるのは非常に可哀想に思うが現状だとどうにもなら無い。心の中で悪いなぁと思いながら休む事になった。
本来なら誰か一人くらいは寝ずに番をするんだがなと思ったらアリスとヴェロッサが番をしてくれるそうだ。二人の言葉に甘えて寝る事にする。
荷台に上がり二人分の毛布を出して一枚マリアに渡す。俺はドッグミートを枕にして寝転がるとすぐに眠気が襲ってきた。
SIDE精霊
イカイヘノトビラガマタヒラクヨ
デモコンドハイキモノジャナイミタイ
アノオカタトオナジニオイガスルヨ
アノオカタノナカマカモシレナイ
ヨビヨセヨウカ
ウン、ヨビヨセヨウ
アノオカタノチカクニトビラガヒラクヨウニシヨウ
ソウシヨウ
sideクロイス
寝始めてから数時間、突如背筋に寒気が走り飛び起きる、今まで感じた事の無い様な寒気だ。
慌てて飛び起きて周囲を見渡す。近くで寝ていた筈のマリアはいつの間にか居なくなっている。枕にしていたドッグミートもいつの間にか居ない。
馬車から飛び降りると焚き火は火が消えてアリスとヴェロッサも居ない、それどころかランドドラゴンも居なくなっている。ここで初めて周囲に注意を向ける。
「おいおい・・・なんなんだよこれは・・・。」
周囲に生物の気配が何一つ無い、それ以前に今は夜なのに周囲が明るくなっている。空を見上げると何時もあるはずの月さえ無い。
ギィギィギィ
金属が擦れあうような音が聞える、寒気がするような・・・。ピップボーイから電磁砲を出した方がいいな・・。そう思いピップボーイに目を向ける。
「なんなんだよこれは・・・・・・。」
ピップボーイに目を向けると何時もの表示じゃなかった。画面には「ダウンロード中」と一文字書かれているだけで全く反応しない。今ある武器で対処しなくちゃならないようだ・・・。何時も腰にぶら下げているソードオフショットガンを構えて周囲を警戒する。
あちこちからギィギィ聞えてくるが場所が断定できない、きょろきょろ周囲を見回し続けると目の前の空間が突然ひび割れ始めた。慌てて飛び退くとなにも無い場所に突然ガラスの割れるような音が響き渡り、何も無いはずの空中に裂け目が出来た。
裂け目がどんどん広がっていき向こう側が見えてくる。向こう側の空間には色々な物が浮かんでいた。
軍服を着た兵隊、飛行機、戦車、奥の方には戦艦のようなシルエットが見えた気がする。それらは全て俺の居た地球の物だった。
一歩一歩向こう側の者に気が付かれない様に下がるが兵士の一人がこちらを向く、そして目が合った。
「-----------------!!!!」
その兵士は叫びを上げるが良く聞き取れない。しかしそれに反応したのか裂け目の向こう側で空中に浮いて居たもの達だ。
全ての物が一斉に俺の居る裂け目に向って突っ込んでくるのを見て本気で命の危機を感じる。
「あ・・・れ?」
逃げようと振り返った瞬間、俺は意識が無くなった・・・・・・・・・。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
アリスの叫び声で目が覚める、周囲は既に明るくなっていた。横で寝ていたマリアも今の叫びで目が覚めたようだ。これを見て少し安心する、夕べのは唯の悪夢かなんかだった様だ。
とりあえずアリスが心配なので馬車から飛び出すと周囲の風景が一変していた。
「これは・・なにごとですか!?」
「わ、私達もいつの間にか寝てしまって・・起きたらこのような事に・・!!」
ヴェロッサも剣を抜き周囲を警戒している。馬車は寝ている間に場所を移動したわけでは無い、ただ周囲にろいろな物が落ちているだけだ。
昨日は折れてなかった筈の木が折れてそれにのしかかるキャタピラ。街道を塞ぐかの用に並んだ鉄の翼・・・。
夕べ悪夢で見た物の一部が何故か目の前にあった・・・・・。
次回クロイスは本格的チートになります。
異界への扉、まぁあの国のことですw
さてと・・史実に合った第一第二大戦の兵器で何を出そうかなぁ・・。
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