桃缶ぱにっく!ブレイク・オブ・クロニクル!(89/168)PDFで表示縦書き表示RDF


桃缶ぱにっく!ブレイク・オブ・クロニクル!
作:俺とキルマシーン



ぱにっく89!噂の精霊はもう一匹の虎!?


 遠方を見ると三本の柱があり、宮殿の象徴が一旗ずつ掲げられていた。
 煉瓦で造られた道は優に十キロメートル近くあり、周囲には広大な自然で溢れていた。
 そんな自然に囲まれた場所に、その贅を凝らした宮殿が建てられていた。
 焦茶色の煉瓦とは対照的な白い塗装を施された宮殿では、様々な議会が日々行われているようだ。
 議会以外にも色々と設備はあるが、関係者以外は立ち入り禁止とされているのだ。
 関係者とは許可証の所持者を示す。
 許可証はただで手に入るものではない。
 精霊と交渉しなければならないのだ。
 大河が最優先してすべきことは一つ。ずばり、その『精霊交渉』である。
 比較的規模の小さいこの世界は、五つの森と先ほどの宮殿で主に成り立っている。
 全ての森に、その場所の特性にあった精霊が住んでいるのだ。
 風の精霊や水の精霊などの、普段、人間が快適に暮らすために使用している力を持った精霊が住んでおり、力を分け与えながら豊かに暮らしている。
 全ての森は宮殿から遠く離れた場所に位置する。煉瓦の道の入口だ。
 現在、大河は火の精霊が住む森にいる。と、言っても、本人は居場所はおろか状況すら理解できていないご様子だ。
 呆然と森を壮観している大河。五十センチ前後の小柄な精霊達がひ弱そうに浮遊していた。
 全員が紅い髪に紅い目をしており、開放的な姿で浮遊している。
 性別は判断しづらいが、外見的特徴で判断するなら、全員が女性である。
 あちこちを飛び回っている中、一匹の精霊が大河の元に寄って来た。
 流れるように美しい長髪をした、釣り目の精霊だ。
 他の精霊達は中心に焚かれた火に細かく分けた小枝を運ぶ作業をしている。暖房器具の役割をしているのだろう。
 大河は精霊を凝視する。精霊もまた凝視し返す。
 互いに似ている部分があるのかもしれない。

「何だ? このちっこいの」

 大河は精霊に人差し指を近づけようとした。
 精霊からすれば、その行為は電柱が倒れてくるようなものだ。

「うわ! 何だコイツ!? ブーケ様に触るんじゃないわよ!」

 火の精霊・ブーケは身を一周しながら、手を振るった。
 空気の摩擦により手に着火し、着火されたそれを放った。

「フレアフラワー!」

 大河とブーケの間に見えない導火線があるように、竹を破裂させたような音を立てながら火花を弾く。

「……っ!」

 大河は目を瞑り、両腕で盾を作った。
 拍手喝采が一気に止んだように、盾の手前で火花が散った。
 威力が弱かったようだ。
 大河はゆっくりと目を開いた。
 精霊が顔を真っ赤に染めていた。
 大河は含み笑いを浮かべている。

「み、見るんじゃないわよ!」

「ぶははは! 何が『フレアフラワー』だ! そんなしょぼい魔法じゃ俺に傷一つ付け……」

 ブーケの後ろで、いたいけな精霊が『フレアフラワー』を使っていた。
 瞬間、中心に焚かれた火が天に行き届く勢いで火力を増した。

「てめぇ殺す気かあ!」

 大河はブーケを掴み、ぶんぶんと容赦なく振り回した。
 振り回されたブーケは目をぐるぐるさせながら、

「ほへれ〜」

 声にもならない声を上げていた。












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