ぱにっく82!さらば月陽学園!中編!
大河は食堂にいた。というか、死んでいた。
隣には関西姉妹がいる。
真っ白に燃え尽きた大河を脇目に、昼食に選んだカツサンドを頬張っていた。
学食は常に賑やかだ。
虎鉄も神戸に賑やかに話しかけていた。
神戸は適当に相槌を打っている。話どころじゃなかったからだろう。
関西姉妹は大河がこうなった事情を知らない。
恥夜はせめてもと思ったのか、生徒に知らせることは止めた。
なので、関西姉妹は大河のこうなった事情を知らないのだ。
つまり、関西姉妹からすれば『明日は雪が降る』と言った感じに捉えているだろう。
元気が取り柄の大河が、まるで余命一時間と宣告された患者のように暗くなっているのだから。
「どないしたん、大河?」
口の回りにソースとキャベツを付けながら、虎鉄は聞いてきた。
神戸はテーブルに置いてあったおしぼりを取り、虎鉄の口の回りを掃除してあげた。
「……」
返事がない。ただの乳好きのようだ。
虎鉄は首を横に傾げている。
大河――、虎鉄がそう言いかけたところで、神戸は首を横に振った。
変質者を前に母が子に、見ちゃいけません、と言っているようなものだ。
西洋学区の学園長室。
こちらは何も置かれていない殺風景な学園長室のままだ。
そこに、キャッツはいた。スコティッシュもいる。
「――そんな理由がねえ」
どうやらキャッツはスコティッシュに、大河が女子校にいる理由を話したようだ。
「そうですわ! だから、大河がここに残っているのは学園長公認なんです」
うーん、と、スコティッシュは悩ましげに頷いた。
「学園長公認でもね……」
「学園長代理なら学園長の意思は受け継ぐべきだと私は思いますわ!」
キャッツに押しにスコティッシュは更に悩ましげに頷く。
キャッツは一歩も退かない感じだ。
「違うな。それは違うぞ、キャッツ」
スコティッシュは室内を時計回りに歩き始めた。
キャッツはそれを目で追う。
「それでは学園長様の真似事をしているだけに過ぎないのだよ。学園長様なら、自分とは別のやり方を望むのではないか」
「そ、そうかもしれませんけど……!」
スコティッシュは半周回ったところで足を止めた。
妹の友達を思う気持ちに情が移ったのか。
「どうしても止めたいと言うなら、放課後に本部に足を運ぶといい」
――大河君のここでの記憶が消される前に。
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