ぱにっく81!さらば月陽学園!前編!
大河は断崖絶壁のそこに手を掛けながら、ぶら下がっていた。
崖の下は真っ暗で何も見えない。落ちたら一たまりもない。
助けを呼ぶも誰も来ない。
断崖絶壁に近付く者など自殺志願者のような命に迷いのある者くらいしかいない。来なくて当然だ。
「は、ははっ、何言って……」
「以前、東洋学区で起きた惚れ薬騒動の時、あの時に恥夜が君の下半身に男性器らしきものを確認したらしいのだが」
瞬間、掴んでいた崖が崩れた。
ギリギリでしがみ付き、何とかその場を持ち堪えた。
「女の子にそんなの付いてるわけないですよ〜。きっと、神乳の性欲が招いた幻覚に違いない!」
「そ、そんなわけありません……!」
「――いや、私も最初はそう思ったのだが」
「スコティッシュまで……!」
「まあどちらにせよ。私が見て確認すればいい話だろう」
更に崖からずり落ちる。
まさに絶対絶命の危機だ。
大河は助けを求め、余力を振り絞って叫んだ。
すると、そこに一人の女性が現れた。
「ま、待ってください! お姉様!」
親友のキャッツだ。
やはり持つべきは友である。
が、次の瞬間、
「確かに大河は男ですが、それにはちゃんとした理由がありまして」
キャッツは命綱とも言える大河の手を誤って踏んでしまった。
確かに大河は男ですが。
確かに大河は男ですが。
確かに大河は男ですが。
大河の脳内に三回エコーがかかる。
そのまま暗い奥底に紐無しバンジーをしていく。
キャッツの隣に立つ大河は石像と化し、頭から砂となって風に飛ばされていった。
「――理由はどうあれ、この学園は男子禁制の高校なのだ。事実だと判った以上、男である君をこの学園に置くことはできないよ」
「せめて理由だけでも聞いてあげてください! お姉様!」
キャッツが必死に弁護するが、スコティッシュは頑として答えを変えない。
しかし、スコティッシュのしている事は正しいのだ。
だけど、それでも認めたくないのだろう。親友であるキャッツは。
「理由を聞いて、それに納得したとして、大河君をここに置いてもいいというのかい?」
「そ、それは……」
「罪を見過ごすことは同罪なのだよ。キャッツ」
キャッツは顔をうつ伏せ、元気のない声で、はい……、と返事をした。
スコティッシュは後は任せたと言うように、恥夜に顔で合図を送った。
もはや聞く耳を持てる状態ではない大河だが、それでも恥夜は本人に告げた。
「白衣大河殿。貴方を本日を以って、私立月陽学園都市を退学してもらいます」
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