ぱにっく80!お前はもう死んでいる……
翌朝。午前八時五十分。
八月十五日の今日。半月後に迫る『進級式』に備えて、生徒達全員に合否の仮通知が送られる。
生徒手帳に合否が通知される。ほぼこの段階で合否が決定するのだが、進級式で名前を呼ばれるまでは、前に仮という一文字がくっつくのだ。
授業中でも大差はないだろうが、今は中休みの最中であるため、色んな組から歓声が湧き上がっていた。
バカ組のクラスでもそうだ。
窓際の最後尾にある扇形のテーブルに大河と関西姉妹は着席していた。
その手には生徒手帳がある。片手で蓋をした状態で結果は隠されている。
どうやら、三人一斉に開こう、としているようだ。
教室のあちこちで喜びの声が聞こえる中、大河は『せーの』と掛け声を小さく口にした。
瞬間、三人は一斉に蓋を開き――と、その時だ。
「白衣大河さん。至急、学園長室に来てください」
恥夜からのアナウンスがあった。大河が聞き入ってる時だ。
神戸から残酷な通知が。
「お前、落ちてるじゃん」
「何が落ちてるって……なんだってー!?」
大河は生徒手帳を見た。
隣で神戸がクスクスと小動物みたいな笑い声をあげている。
大河の生徒手帳には不合格の通知などされておらず、ちゃんと合格の通知がされていた。
大河は神戸の方を睨んだ。
「騙したなあ!」
小さな笑い声から一変、神戸はテーブルを叩きながら大笑いしていた。
「ハハハ! まさかこんなに簡単に引っかかるなんて!」
くすっ、と大河が背を向けてすすり泣いていた。
ぎくっ、と神戸が動揺している。
虎鉄は神戸に軽蔑の眼差しを送っていた。
神戸はそんな妹の冷たい眼差しを見たからか、ちゃんと謝ることにしたようだ。
「わ、悪かったよ……大河」
大河の目が光る。
瞬間、大河は後ろを振り向き、そのまま虎鉄の胸を鷲掴み。双方の乳房を服越しから握る。スポンジのように柔らかい乳房に指が食い込む。
だが、虎鉄は動じない。
直接、触られない限りは動じないのだ。
「ふふふ……大事な妹を俺色に染めてやるうう!!」
と、変質者が申し上げています。
「やめろ! 錆びる!」
神戸が軽く拳を振るったが、大河は難無く避けて、
「神乳に呼ばれてるんだった」
そのまま教室を後にした。
なにはともあれ、三人は無事に進級できそうだ。
大河は学園長室に向けて足を進めていた。その後ろから、
「大河ー」
キャッツが走ってきていた。
一日休息を取ったおかけか、どうやら魔力は復活したようだ。
キャッツは大河の脇に付く。
「あれ、細目は呼ばれてないの?」
「細目? ああ、お姉様なら先に居ると言ってましたわ」
二人は学園長室の前に止まり、扉の接合部分にある、幅三ミリ長さ十センチ程の溝に生徒手帳を差し込んだ。
そして、扉を開けた。
その先に待っていたのは学園長室ではなく、異端者対策本部だった。
校舎前通りに設置すると怪しまれる可能性が高いので、此方に二重にして設置したようだ。
真っ白な室内に目を奪われながら、二人は中に入る。
早急に扉を閉めた。
前方の巨大モニターには、空虚の魔法を使用している大河の姿が。
モニターの左右に恥夜とスコティッシュが腕を組み、背を壁に預けながら立っていた。
「大河君が、この魔法を使えるようになった経緯を教えてくれるかい」
それと――、とスコティッシュは付け足す。
赤らめた顔を壁に隠す、恥夜を横目で見る。
「君が本当に女の子かどうかを」
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