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ぱにっく8!味方に攻撃だと!?
 私立月陽学園都市・西洋学区。東洋学区が東方に位置するように西洋学区は西方に位置する。
 校舎の形は同じで設備もさほど変わらず、強いて言えば、食事には米食が取り入れられている。
 しかし、大抵の生徒は日本に住み慣れているため、素直に東洋文化を受け入れることが多い。
 ちなみに西洋学区は夜間授業が基本であり、陽が沈み月が昇る頃、西洋学区の生徒達の授業が開始するのだ。
 螺旋状の塔の階層から人工的な光が差し出ていた。
 真っ暗な外景とは対照的な明るい室内には数十名の生徒がいた。
 ちなみに教室の内装も東洋学区と同じである。
 制服は異なり、西洋学区の制服は青のワンピースと白の長袖のブラウスだ。

「――何ですの? それ?」

 室内の中心、貫高い声が不満気に響いた。
 金髪のロングヘアーにウェーブのかかった髪型で、蜂蜜色に輝いた瞳が釣り上がっている。華奢な手足は白く美しい。
 キャッツ・アイ、彼女の名だ。
 その隣、頭に細長い紙袋を被った者がいた。
 目の部分だけがポストの投稿口のように切られている。
 極度の人見知りか、はたまた個人的趣味なのか、どちらにせよ変質的であることには変わりない。 ブルー・ベリー、彼女の名だ。
 ブルーには姉の“ストロ・ベリー“がいるのだが、ストロは一つ上の凡才組にいるためここにはいない。
 ブルーは一枚の紙を提示していた。ローションバレーの紙だ。

「今度の球技大会の……種目の一つ」

「そんなの見れば分かるわ。それを見せて(わたくし)にどうしろと、そう訊いているのよ」

 キャッツがそう訊いた。ブルーが無言になり始めた。
 中学からの付き合いであるため、キャッツはこうなったブルーの対処法を熟知している。
 キャッツはブルーから告知の紙を奪い取り、

「分かったわ。一緒に出たいんでしょ? いいわ。どうせどれも退屈な種目ですから」

 くしゃくしゃに丸めて、適当な場所に放り投げた。――はずだった。
 紙が独りでに動き始め、机と机の間や歩く生徒達のスカートの中を掻い潜りながら器用に進んでいったのだ。
 後方の扉側の角にあるゴミ箱の中に。
 自慢気な態度のキャッツが投げる時に使った手を下ろす。
 すると、袖口から一枚の生徒手帳が出てきた。
 砂時計の砂が下に溜まっている。そして魔法名『ダストダンク』が筆記体で記されていた。

「室内で魔法を使うのは禁止だよ?」

 ブルーが恐る恐る注意すると、キャッツは手慣れた手付きで生徒手帳を袖口に蔵った。

「分かってるわよ。それより、あんたいいの? これはビーチバレーなんだから――」

 同時刻、バカ組学生寮の自室にいた大河と関西姉妹は、ローションバレーの話題を話していた。

「――そりゃ〜“ビキニ“ですよ」

 大河が気持ち悪い笑みを浮かべながら神戸に言った。
 虎鉄は首を横に傾げている。人前に肌を晒すことに対しては抵抗心がないようだ。

「まあ? 神戸が出ないんだったら俺は虎鉄のビキニ姿をたっぷりと拝ませてもらうだけだし? 別に強制はしないけど」

「出る! というか、出ろって言ってるようなもんじゃないか……」

 悔しそうに拳を握り締める神戸を虎鉄は“まぁまぁ“と軽く慰めていた。
 ニシシ、と笑う大河。悪者の笑いだ。

「……お前、男だったら即刑務所行きだよ」

「はは、男だったら……」

 大河が口を開けたまま固まった。
 だらだらと嫌な汗を吹き出している。
 虎鉄はワイパーのように大河の眼前で手を振るう。

「どないしたん? 大河〜」

 大河は己の欲を全力疾走しているあまり、肝心な事を忘れていた。
 自分にナニが付いていたことを忘れていたのだ。
 ビキニになれば浮き彫りになる可能性はある。それどころか今回はローションを使用しているため、ポロリが起きたら一巻の終わりである。

 ……大河は、バカだ。


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