ぱにっく78!東洋一の天才達の本気!
滴れる鮮血が視覚を支配する。する筈もない鉄錆の臭いが嗅覚を刺激していた。
鉄と鉄が噛み合い、競り合い、歯軋りを引き起こす。
互いが互いを喰らう一心に縋り、野獣のように喰らい付いたそれを引き離そうとしない。
この身に代えても守り貫く。ただそれだけだ。
ただそれだけが、彼女の中にある支柱だ。
神知恥夜の中にある、揺るぎなき信念だ。
恥夜は木刀を握っていった。硬質化されたその木刀は大剣を押さえ付けていた。
ただで押さえ付けることは不可能だろうから、そこには幾つかの魔法が使用されているのは明らかだ。
だが、それでも恥夜の手からは血が滴れていた。
咄嵯の反応だったため、遅れてしまったのだ。
先程の巨人の無数の砲撃により衝撃を受けた壁。
魔法圏内であるため、不具合が起きた場合は神経を通じて報告が行き届く。
だから、予定より早く恥夜は駆け付けられたのだ。
駆け付けられた瞬間の出来事だったため、恥夜も反応に遅れてしまったという仕組みだ。
うろたえているホロをスコティッシュが掬う。
スコティッシュはそのままホロを魔法圏外に出した。
気付けば、あれだけ悲鳴を上げていた生徒達の姿が一人もいなくなっていた。
どうやら全員が魔法圏外に送還されたようだ。
恥夜は深く溜め息をついた。
大剣が軋む。“木刀に力負けしている“。
ラインヒルドが動じている。
「私の生徒達に何か用ですか?」
恥夜は木刀に力を加え、腕を上に振り払う。
大剣が弾き飛ばされた。恥夜は瞬時にラインヒルドの元に駆け出す。
ラインヒルドは弾き飛ばされた大剣を持ち堪え、再度、横一線に振り払う。
左右よりラインヒルドの元に駆ける、二人の天才。
中心で合わさり、一つの弾丸となり駆ける。
「私が守りに入ります。貴方は攻めに入ってください」
恥夜はその場を跳躍し、後方に向かって飛ぶ。
その目下に大剣がスライドしながら現れた。
そのままスライドしていけば、スコティッシュに直撃する。
スコティッシュは分かっていただろう。だが、逃げなかった。
いや、それ以前に気にしてなかった。
「――やり過ぎたね。君達」
普段は細目の状態でいるスコティッシュが目を開いた。
鋭い目つきで薄笑いを浮かべている。
中空より降りて来る、恥夜が大剣に触れた。
同時にスコティッシュがラインヒルドの腹部に触れた。
二人は声を合わせて叫ぶ。
『リバース……!』
瞬間、白い光が膨張し、周囲一帯を包み込んだ。
|