ぱにっく75!分解vs再構築!奇跡が降らした雪!?
時間が逆流しているような錯覚を体感した。
闇を掻き消す光が周囲に明かりをもたらす。
それは、一筋の希望にさえ見えた。
目前に立ちはだかる巨人の足が光によって掻き消されていた。
岸壁を想像させるような頑丈な体格をしていたのに、今では砂のように脆い体格にさえ見える。
切れ目ならぬ“消え目“には光の粒子が包み込まれており、断面が映し出されていない。
図体の支柱と言える両足が欠けたと言うのに、まるでそこに両足があるかのように立っている。
気付けば、青空が少しずつ近付いていた。
穴が塞がれていた。最初は空いていなかった穴だ。
地が再生しているのだ。
リバース。
魔法を組み立てている複雑な回路を分解する。分解された回路を再構築する。
その二つの効力を持つ。
巨人も元を辿れば魔法だ。効力の対象となる。
そして、この穴も魔法によって分解されたものであるため、効力の対象となるのだ。
「オオオオオ!」
巨人が咆哮を上げる。
シュプリンガーも喉がはち切れんばかりの叫び声を上げる。
大河の鼓膜を突き刺さる。
奥歯を噛み締め、痛みを堪える。
巨人は最後の抵抗とばかりに、あちこちに赤黒い光線を吐いた。
爆発音が地下に轟く。地上にいる女子生徒達の悲鳴も轟く。
大河の上空を振り向く。
巨人が暴走している。赤黒い光線の軌道が目に入る。
ゴムが焼けたような焦臭さが嗅覚を刺激する。
シュプリンガーが枯れた声で悲鳴を上げる。血が壁に付着する。
大河はキャッツの両肩を脇から押さえ付けながら、それらに目を向けた。
穴が元に戻るまではまだ時間が掛りそうだ。
その間にも地上では巨人が暴走し、女子生徒達が怪我を追っている。
恥夜やスコティッシュの天才二人組はまだ来ていない。
この場で戦えるのは、大河しかいない。
現に戦ったのだ。戦ってもう勝てる直前なのだ。
その直前までの瞬間に多くの生徒達が怪我を追っている。
その現実が覆ることはない。
だが、大河は諦めなかった。
「――“ぶち壊す“!!」
大河の表情が変わった。
月を掴むように、大河は巨人の体内を包む光の中に生徒手帳を突っ込んだ。
地上に辿り着くまで、残り五メートル。
巨人の体が掻き消されるまで、残り五メートル。
生徒手帳と心臓との距離。零距離。
回路の中心。心臓をぶち壊す。
それは、全ての回路を一度に断ち切る。
巨人の体が一斉に掻き消された。
瞬間、体内から一斉に光の粒子が溢れ出し、季節違いの雪を降らした。
――光の雪を。
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