ぱにっく6!ぬるぬるな球技大会……いよいよ発禁か……
私立月陽学園都市・東洋学区の校舎は、螺旋状の塔となっている。
周囲に張り付く螺旋を描くその廊下は、魔法が付加された特殊な岩で造られており、防水はもちろんのことあらゆる災害から守ることの出来る頑丈な造りとなっているのだ。
校舎の高さは寮と同じくらいで、中は十階建てである。
最下階は事務的なものがあり、そこから上が教室となる。
最上階には学園長室があるのだが、バカ組の生徒はおろか凡才組ですら入れない場所なのだ。
学園長に会う権限があるのは、天才組の生徒と教員のみで、他は一切入室を禁じられている。
この学園は自分の階級より一つ上の階級の組にしか会えないという校則があるのだ。
つまり、バカ組なら凡才組に、凡才組なら天才組にといった感じで、階級が高ければ高いほど校舎を自由に行き来できるのだ。
大河と関西姉妹はバカ組であるため凡才組にしか会えないし、まだ会う理由もない。
大学と似たデスクの並びをした群青色の教室。机や椅子は木材だが地面や壁などの素材は岩であるため多少はゴツゴツしている。
が、それはあくまで見た目だけで、感触自体は水のように柔らかい感じだ。心身に負の感情を与えない造りである。
何気に留年生などもいるこの教室なのだが、基本的に座る場所は自由だ。
大河と関西姉妹は庭園側の最後尾に座った。一つの机で三人まで座れるため数がちょうどだ。
ズラリと並んだ机に見下ろされる教卓。そこには、肩と谷間がばっさりと空いた大胆な黒いドレスを着た一人の女性がいた。
蒼白色のロングヘアーで額が完全に露になるよう髪を左右に分けており、分けられた髪はウェーブを描いで垂れ流されている。
身長は百六十五前後。白肌に痩せ細った体型と不健康な印象のある感じだ。
しかし、二部分においては大きな成長が見られる。
胸と尻だ。過大なわけでもなければ過小というわけでもない、熟す寸前の果物のようなもの。
それにそのグラビア顔負けのスタイルが付けば、ある意味、体に爆弾を取り付けているようなものだ。
奥手な様子が伝わるその垂れ目に見つめられたら、大抵の男が落ちることは間違いないだろう。――と、大河は常々感想を口にしている。
久能亜理子。
バカ組の担任だ。
そんな亜理子が前方の机と机の間に向かい、端の生徒に紙の束を渡した。
紙を渡された生徒は横の生徒に紙を回す。
虎鉄も紙を受け取り、横に座る神戸と大河に回した。
大河は渡された紙を見る。
亜理子は背を向けながら教卓に戻る。
「今月の25日に球技大会があるのはご存知かと思いますが――」
そうなの? 大河は神戸に訊く。
一週間前から言ってたからね。神戸は紙に目を通しながら言った。
亜理子は教卓に着き、室内を壮観するように構える。
「今年は新しい球技も取り入れたいとのことです。なので、皆のやってみたい球技などがあれば、そこに記入してください」
全員が机上にある筆記用具を手にし、紙と向き合う。
むろん、お喋りをしながらだ。
「パン競争……パン、パン……ハム?」
何やら虎鉄が球技とは全く関係のないことを口にしている。
神戸は割と真剣に向き合っているようだ。
とは言うものの、新しい球技なんてそう楽々と思いつくわけがないので、神戸は大河からヒントを得ようと隣を見た。
ローション相撲。
神戸は理解に苦しんでいた。
大河は何故かルンルン気分で書いている。
「大河、ちょっと言いか?」
「なにー?」
「バカな私でもこれだけは分かる」
相撲は球技じゃなくて国技だっ!
しかもローションって……。神戸は愕然としている中、大河は書き直し始めた。
ローション相撲! ポロリもあるよ?
いや、一言付け足しただけだった。
神戸は体を震わせながら言う。
「何が『ポロリもあるよ?』だ。いいか、そもそも今回募集しているのは球技なわけで」
「ならいっそ全裸で!」
「ここは風俗じゃない!」
できたー! 間を差すように虎鉄がそう叫んだ。
神戸と大河がそっちを向くと、虎鉄は紙を書き終えていた。
けん玉大会。
バカ組はそこまでバカなわけではない。が、そこまでバカな者がいないわけでもない。
結局、そのまま紙は回収され、亜理子の元に届けられた。
余談だが、その後、回収された紙は学園長に直々のくじ引き結果によって決定された。
大河の書いた、ローション相撲が。
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