桃缶ぱにっく!ブレイク・オブ・クロニクル!(55/168)PDFで表示縦書き表示RDF


桃缶ぱにっく!ブレイク・オブ・クロニクル!
作:俺とキルマシーン



ぱにっく55!ようやくゴールが見えてきたが、直前で振り出しに戻るを踏む。


 私立月陽学園都市。
 未開拓の地に建設された学業施設である。そこに通う生徒は皆、魔法を学び、身につけることが義務付けられている。
 十字型の敷地に円柱型の塔が数本そびれ立つ。学園都市内には校舎は勿論のこと、学生寮や様々な店舗が並んでいるのだ。
 その内の校舎と学生寮が、地上十階建ての円柱型の塔なのである。
 本格的に夏が始まる、七月初旬。
 レベルアップ試験を三日後に迫った今日。生徒達は試験内容に合った動きで大忙しだ。
 天才組は『能力が倍化された自分と戦う』という試験内容で決定され、凡才組は『魔法の制限下で言われた目的を達成する』か『無作為に選出された天才組生徒一名と戦う』のどちらかから選択できる。
 バカ組は『百八十全ての魔法名暗記+筆記試験』か『無作為で選出された凡才組二名と戦う』か『無作為に選出されたバカ組生徒一名と戦う』の三つの中から選べる。
 数日前、白衣大河と関西虎鉄・神戸の関西姉妹は、どの試験内容にするかを選んでいた。
 学生寮の自室。一人一部屋が渡されるのだが、三人は一つで部屋を共同で使用している。
 就寝前ということもあってか、部屋の電気は消されていた。
 ベッドの近くに立てられた電気スタンドを着けた状態で、三人は虫のように光に体を寄せていた。

「俺は暗記かなー」

 ……地球に亀裂が入ったような気がした。
 神戸は呆れた声で口にする。

「お前はそんなに留年したいのか?」

「せやでー、うちらに暗記なんて無理やて」

 脇から虎鉄が的確なツッコミを入れた。が、ちょっと待った。

「うちらも、って、私と虎鉄もなのか!?」

「当たり前やん」

 神戸は枕に顔を埋め、落胆する。
 大河は虎鉄の顔を見ながら、

「でも、俺達の実力じゃ凡才組にも勝てなくねー?」

 やる気の感じられない口調でそう言った。枕に顔を埋めたままの神戸が言葉を返す。ふごふご、と声が籠っている。

「そりゃそうだ。てか、お前は魔法を一つしか持ってないんだから余計にだ」

 魔宵の森の実の採取で、大河は一つも採取できなかったため、参加者全員に渡される一回分しか持ってないのだ。
 もっとも、大河に魔法は使えないので、どのみち必要ないのだが。
 ちなみに関西姉妹は互いに八個の魔法を持っている。

「そういや、何の魔法ダウンロードしたの?」

「教えない。敵が有利になるような真似はしないよ」

 神戸は得意気にそう口にした。何だよー、大河は口を尖らせている。

「じゃあ、うちらは“うちらの組の生徒と戦う“やつで決まりやな」

 ああ、と神戸は頷く。

「戦うことになったら全力でやろうな。――まっ、当たるわけないけど」

 ないない、大河が否定する。
 だよなー、神戸が明るい声で笑い飛ばす。
 せやせや、虎鉄がそう口にし、三人は互いを笑い合った。


 ――で、試験当日。
 壁や床に白と黒のタイルが均等に並んだ、出口のない箱。
 形は六面のサイコロになっている。通常のサイコロとは比較できないほど巨大だ。
 そんな巨大なサイコロの空間の中に、大河と神戸がいた。
 そう、つまり、そういうことだ。
 大河と神戸は同時に、こう口にした。

「「お前、運悪すぎ」」












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