ぱにっく55!ようやくゴールが見えてきたが、直前で振り出しに戻るを踏む。
私立月陽学園都市。
未開拓の地に建設された学業施設である。そこに通う生徒は皆、魔法を学び、身につけることが義務付けられている。
十字型の敷地に円柱型の塔が数本そびれ立つ。学園都市内には校舎は勿論のこと、学生寮や様々な店舗が並んでいるのだ。
その内の校舎と学生寮が、地上十階建ての円柱型の塔なのである。
本格的に夏が始まる、七月初旬。
レベルアップ試験を三日後に迫った今日。生徒達は試験内容に合った動きで大忙しだ。
天才組は『能力が倍化された自分と戦う』という試験内容で決定され、凡才組は『魔法の制限下で言われた目的を達成する』か『無作為に選出された天才組生徒一名と戦う』のどちらかから選択できる。
バカ組は『百八十全ての魔法名暗記+筆記試験』か『無作為で選出された凡才組二名と戦う』か『無作為に選出されたバカ組生徒一名と戦う』の三つの中から選べる。
数日前、白衣大河と関西虎鉄・神戸の関西姉妹は、どの試験内容にするかを選んでいた。
学生寮の自室。一人一部屋が渡されるのだが、三人は一つで部屋を共同で使用している。
就寝前ということもあってか、部屋の電気は消されていた。
ベッドの近くに立てられた電気スタンドを着けた状態で、三人は虫のように光に体を寄せていた。
「俺は暗記かなー」
……地球に亀裂が入ったような気がした。
神戸は呆れた声で口にする。
「お前はそんなに留年したいのか?」
「せやでー、うちらに暗記なんて無理やて」
脇から虎鉄が的確なツッコミを入れた。が、ちょっと待った。
「うちらも、って、私と虎鉄もなのか!?」
「当たり前やん」
神戸は枕に顔を埋め、落胆する。
大河は虎鉄の顔を見ながら、
「でも、俺達の実力じゃ凡才組にも勝てなくねー?」
やる気の感じられない口調でそう言った。枕に顔を埋めたままの神戸が言葉を返す。ふごふご、と声が籠っている。
「そりゃそうだ。てか、お前は魔法を一つしか持ってないんだから余計にだ」
魔宵の森の実の採取で、大河は一つも採取できなかったため、参加者全員に渡される一回分しか持ってないのだ。
もっとも、大河に魔法は使えないので、どのみち必要ないのだが。
ちなみに関西姉妹は互いに八個の魔法を持っている。
「そういや、何の魔法ダウンロードしたの?」
「教えない。敵が有利になるような真似はしないよ」
神戸は得意気にそう口にした。何だよー、大河は口を尖らせている。
「じゃあ、うちらは“うちらの組の生徒と戦う“やつで決まりやな」
ああ、と神戸は頷く。
「戦うことになったら全力でやろうな。――まっ、当たるわけないけど」
ないない、大河が否定する。
だよなー、神戸が明るい声で笑い飛ばす。
せやせや、虎鉄がそう口にし、三人は互いを笑い合った。
――で、試験当日。
壁や床に白と黒のタイルが均等に並んだ、出口のない箱。
形は六面のサイコロになっている。通常のサイコロとは比較できないほど巨大だ。
そんな巨大なサイコロの空間の中に、大河と神戸がいた。
そう、つまり、そういうことだ。
大河と神戸は同時に、こう口にした。
「「お前、運悪すぎ」」
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