桃缶ぱにっく!ブレイク・オブ・クロニクル!(54/160)PDFで表示縦書き表示RDF


桃缶ぱにっく!ブレイク・オブ・クロニクル!
作:俺とキルマシーン



ぱにっく54!メイドは二人に声をかけた。返事がない、ただの貧乳娘のようだ。


「お前、泥棒だったんか……」

 大河は失望感に顔を曇らせる。遠目でシュプリンガーを見る。
 ゴホン、シュプリンガーはわざとらしく咳き込む。

「盗んだわけではない。ただ、借りただけじゃ」

「それって、ただの借りパク……」

 大河の口をキャッツが慌てて手で塞ぐ。
 ふごふご、と塞がれたながらも大河は何かを言おうとしていた。 疑問符を浮かべたような表情をしながら、シュプリンガーが二人を覗いている。キャッツは清々しい作り笑顔を浮かべ、その場を切り抜けた。
 やれやれ、と恥夜が呆れ顔で溜め息をつく。

「緊急時に備え、一つだけ、相手に危害を与える魔法を持ち出した。――それが、マジックアンプリファイアーじゃ」

 インテグラはいやらしい笑みを浮かべながら口にした。

「緊急時、ですか……」

 シュプリンガーもまた、いやらしい笑みを浮かべて口にした。

「そうじゃ、緊急時、だ」

 目線が噛み合う。その間では様々な心理の探り合いが交われているのだろう。

「……まっ、今回は私の負けですから、素直に帰りますよ」

 インテグラは後ろに立つ、恥夜を睨み付けた。
 ふっ、と乾いた笑いを溢す。

「我が教会は、あなたが魔女になる日を心待ちしてますよ」

 恥夜は目を瞑ったままだ。何の反応もしない。
 再び乾いた笑いを溢す。
 直後、硝子が割れたように繊細な音と共に、半透明な手錠が壊れた。
 恥夜は目を開き、木刀に手を当てる。

「――よい」

 シュプリンガーが一言、そう口にした。恥夜は木刀から手を放す。そこからは躊躇いの念は感じられない。
 刹那、空気を引き千切ったような音と共にどす黒い渦が生まれた。鈍重な質感のある渦で、渦の回転がそれを感じさせる。
 インテグラはどす黒い渦に足を踏み入れ、

「次に会う時は、私以外の教会の者も訪れることでしょう」

 意味深な言葉を残し、どす黒い渦の中に消えていった。
 インテグラが消えたと同時に、どす黒い渦は姿を消した。
 ひとまず、危機は去ったということか。
 シュプリンガーは大きな溜め息をつく。

「遅くまですまぬのう。とりあえず、私の正体は他言無用でお願いできるかのう」

 ハイ! キャッツは威勢のいい返事をした。
 大河はあくびをしている。恥夜は無言だ。
 シュプリンガーは顔を引き攣らせている。半ば呆れているのだろう。
 とりあえず、用件は終了したので、三人は解放された。

 どうやら東洋学区の学園長室にいたようだ。
 三人は螺旋階段を一段一段下りていく。

「そういや、神乳は何であそこにいたの?」

 ふと、大河がそう尋ねた。

「神乳ではなく神知です。――ボランティアですよ。学区内の上位五名は監視官を行うので」

 ふーん、と大河はつまらそうに頷く。
 三人は螺旋階段を下り終え、校門まで足を運ぶ。
 恥夜は知的な笑みをキャッツに浮かべた。

「キャッツ殿。姉上によろしく伝えておいてくれ」

「えっ、あ、はい」

 三人は校門を抜ける。
 恥夜はそのまま学生寮に足を進めた。が、残りの二人は校門手前で止まっていた。

「お前の姉ちゃん終わったな」

「何がですの?」

「いや、あの東洋学区ナンバーワンの神乳と交えるんだぜ? 勝ち目はないって」

 ふふっ、キャッツは大河を嘲笑う。

「私のお姉様は、西洋学区ナンバーワンですのよ。勝敗は五分五分ですわ」

 それより――、キャッツはそう口にしたところで言葉を区切った。
 大河は何食わぬ顔でキャッツを見る。

「あなたの性別の話はどうしましょうか」

 途端、ビクッ、と大河の体が震えた。思い出したのだろう。
 大河はキャッツにナニを見られてしまったのだ。つまり、男であるとバレたいうことだ。

「聞いてくれ! あれには浅瀬よりも深い理由があって」

 その時、急にキャッツが小動物のような小さな笑い声を発した。
 大河の頭上に疑問符が二、三個浮かぶ。

「それを言うなら海より深い理由でしょう。――理由なら後日、ちゃんと聞かせてもらいます」

「ご、後日って……それまでにバラされたら」

「失礼ですわね。誰にも言いませんわ」

 キャッツは、思い出す。
 森で召喚獣に襲われた時、迷わず自分を助けようとしてくれた、大河の姿を。
 キャッツは大河に背を向ける。

「私との決着はまだついてないのですから、それまでに退学されては困りますわよ」

「猫目……」

 二人の間に友情が芽生える。
 ゆっくりと丁寧に土から芽を出し、花へと育ち始め――

「もう決着はついてるだろ。いい加減にしろよ。あんましつこいと乳が萎むぞ。あっ、もうそれ以上、萎めないか」

 ない。花は腐敗する。
 キャッツの表情が鬼と化す。
 憎悪と怨念の入り混じった、復習の塊みたいな声で、

「あなたって人はぁぁ……」

 そう口にした。
 大河が恐る恐るキャッツの顔を覗き、それを見た瞬間、学生寮へ向けて逃げ出した。

「白衣大河あああ!」

「ひぃぃぃぃ! ごめんなさ〜い!」

 その夜、謎の悲鳴と無数の爆発音が朝日が昇るまで聞こえたそうだ。


 『逃走中』という番組が大好きだ!
 深夜ん時から追っててね、そんぐらい好きな番組なんです!
 そんな『逃走中』みたいな鬼ごっこを描きたくて始めた魔宵の森なんですが、今回ので終了です!
 ……スゲー物足りないなかったですね。
 『逃走中』みたいなのが書けなかった。これが一番の原因ですね……。
 でもいいんす!恥夜vsインテグラの回。あれは作者もお気に入りの回だったのですが、何と凄い人数の方に見ていただけたのです!ありがとうございます!
 急に戦闘入れたからどうかな?とか思ってたのですが、その不安はいらなかったようです!
 次のレベルアップ試験にも戦闘交えようと思います!
 いつか東西ナンバーワン対決とか書きたいなあ。
 恥夜の本気はあんなもんじゃないんだぜ!(笑)
 ……朝からテンション高くてごめんなさい。
 次回からもよろしくお願いします!押忍!











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