ぱにっく44!S気味なお化けはただ恐いだけ!
――魔法が再生される。
周囲に風が吹き荒れ、雑草や葉が空を掻き回すように揺れる。
関西姉妹は両腕で前を隠し、足場を強く踏み付けた。
ホロを中心とした十メートル間に円形の窪みが発生している。まるでミステリーサークルのようにだ。
「何か凄いもんが出るとちゃうか、お姉ちゃん」
突風に押される最中、虎鉄が神戸に息苦しそうに話した。
神戸は腕の隙間から、ホロを片時も離す事なく捉えていた。
ホロの髪が理性を失った大蛇のように乱れている。
浮き上がった前髪が、隠れていた面を表にさせた。
片方の目は包帯で隠されている。包帯は額に巻いて固定されているようだ。
内気で弱気な性格が一目見て伝わる垂れ目。その下には何重層にもなった隈が作られていた。
生徒手帳が白い閃光を貫く。
「来るぞ……!」
関西姉妹は身構えた。
白い閃光は空中に向かって浮遊し、やがて、ある一人の人物に変貌をしていった。
雲を捏ねたみたいに体を動かしていく。
神戸の片方の目に焼き付く。まるで殺人の瞬間を目撃したように、強く鮮明に焼き付いていた。
「あ、あれが……」
白い閃光が生んだもの。それは、生まれたままの姿をしたホロだった。ただ、白く透けた体をしている。
「マテリアルゴースト……って! お前じゃん!」
神戸がホロに突っ込みを入れると、ホロは脅えるように一歩後退した。
「ええな〜、わたあめみたいや〜」
「わたあめ違う! てか、あれ食べ物じゃないから!」
分身ホロが照れ臭さそうに後頭部を手で擦っている。
神戸はそちらを指差しながら、叫ぶ。
「そこお! 照れるな!」
分身ホロは肩を落とす。
「落ち込むな! 見てるこっちまでネガティブになるだろ!」
はあはあ、と神戸は息を切らしていた。
ボケ三人に対し、ツッコミは一人、忙しさは三倍だ。
神戸は呆れた目でホロを見る。
「あのさー……、言っちゃ悪いんだが、その魔法、どこをどうみても強そうに見えないんだが」
「マテリアルゴーストは私の分身……」
と、ホロが話していた最中、神戸がホロに接近した。
「まっ、こういうのは本体を狙えばいいってのが定番だろ!」
「おお! お姉ちゃん頭ええなあ!」
――その時だ。
神戸の真横に分身ホロが飛んできた。
そして、拳を神戸の頬を“当てた“。
「ぶっ、はー!!」
神戸は元いた場所に飛ばされた。二回三回地面をバウンドしながら。
「やっぱ、お姉ちゃん頭悪いわ〜」
「マテリアルゴーストは私の分身だけど“実体のある分身“なんです……」
それは、魔法が生んだ現実。
触れることのできるお化け。
それがマテリアルゴーストなのだ。
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