桃缶ぱにっく!ブレイク・オブ・クロニクル!(44/168)PDFで表示縦書き表示RDF


桃缶ぱにっく!ブレイク・オブ・クロニクル!
作:俺とキルマシーン



ぱにっく44!S気味なお化けはただ恐いだけ!


 ――魔法が再生される。
 周囲に風が吹き荒れ、雑草や葉が空を掻き回すように揺れる。
 関西姉妹は両腕で前を隠し、足場を強く踏み付けた。
 ホロを中心とした十メートル間に円形の窪みが発生している。まるでミステリーサークルのようにだ。

「何か凄いもんが出るとちゃうか、お姉ちゃん」

 突風に押される最中、虎鉄が神戸に息苦しそうに話した。
 神戸は腕の隙間から、ホロを片時も離す事なく捉えていた。
 ホロの髪が理性を失った大蛇のように乱れている。
 浮き上がった前髪が、隠れていた面を表にさせた。
 片方の目は包帯で隠されている。包帯は額に巻いて固定されているようだ。
 内気で弱気な性格が一目見て伝わる垂れ目。その下には何重層にもなった(くま)が作られていた。
 生徒手帳が白い閃光を貫く。

「来るぞ……!」

 関西姉妹は身構えた。
 白い閃光は空中に向かって浮遊し、やがて、ある一人の人物に変貌をしていった。
 雲を()ねたみたいに体を動かしていく。
 神戸の片方の目に焼き付く。まるで殺人の瞬間を目撃したように、強く鮮明に焼き付いていた。

「あ、あれが……」

 白い閃光が生んだもの。それは、生まれたままの姿をしたホロだった。ただ、白く透けた体をしている。

「マテリアルゴースト……って! お前じゃん!」

 神戸がホロに突っ込みを入れると、ホロは脅えるように一歩後退した。

「ええな〜、わたあめみたいや〜」

「わたあめ違う! てか、あれ食べ物じゃないから!」

 分身ホロが照れ臭さそうに後頭部を手で擦っている。
 神戸はそちらを指差しながら、叫ぶ。

「そこお! 照れるな!」

 分身ホロは肩を落とす。

「落ち込むな! 見てるこっちまでネガティブになるだろ!」

 はあはあ、と神戸は息を切らしていた。
 ボケ三人に対し、ツッコミは一人、忙しさは三倍だ。
 神戸は呆れた目でホロを見る。

「あのさー……、言っちゃ悪いんだが、その魔法、どこをどうみても強そうに見えないんだが」

「マテリアルゴーストは私の分身……」

 と、ホロが話していた最中、神戸がホロに接近した。

「まっ、こういうのは本体を狙えばいいってのが定番だろ!」

「おお! お姉ちゃん頭ええなあ!」

 ――その時だ。
 神戸の真横に分身ホロが飛んできた。
 そして、拳を神戸の頬を“当てた“。

「ぶっ、はー!!」

 神戸は元いた場所に飛ばされた。二回三回地面をバウンドしながら。

「やっぱ、お姉ちゃん頭悪いわ〜」

「マテリアルゴーストは私の分身だけど“実体のある分身“なんです……」

 それは、魔法が生んだ現実。
 触れることのできるお化け。
 それがマテリアルゴーストなのだ。












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