ぱにっく43!脱力系霊体女は意外と強かった!
大河は深緑の道を進んでいく、その隣に関西姉妹の姿は無い。
不慣れな足場や環境が、大河を心体的に追い詰めていた。
魔宵の森を上から見下ろすと分かるのだが、開始地点と似た空間が三十ヶ所近くあるのだ。
巨人が地団駄を踏んだような感じである。
地面には点々と“魔法の実“が落ちている。卓球のピンポン球くらいの大きさだ。木の実としては大きい部類に入るだろう。
大河は魔法の実を一つだけ拾い、疑念を感じながら一口、噛み砕いた。
味はしない。というより、食べた感覚が残らない。
それでも魔法は使えるのだろう。大河には無縁の話だが。
「どんな魔法だったんだろう……うーむ、気になる」
その空間には採取できる実が成ってないので、大河はその場を移動し始めた。
――と、その時だ。
「いやああああ!」
森全体に悲鳴が響いた。恐らく、キャッツによるものだ。
キャッツもまた別の空間にいた。地面には魔法の実が落ちている。が、踏み付けてしまったのか、パカッ、と二つに割れてしまった魔法の実があった。
それが悲鳴の原因のようだ。
キャッツは弦に巻き付けられ、空中に上げられていた。
熟年された樹から伸びたその弦の数は合計五本。キャッツは五本の弦に体を締め付けられ、半袖ジャージが半分以上捲られ、半ズボンも下着と一緒に下ろされ、胸板から下腹部までが露になっていた。
必死に抜け出そうと抵抗をしているのだが、逆にそれがキャッツを苦しめていた。
弦が下着の中に潜り込み、乱暴に掻き回していた。
「そんなっ……ところ、あっ、――」
甘い吐息をチャックするようにキャッツは口を結んだ。が、体がそれをほどいた。
淫らに溶けた声が漏れる。
が、一分が経過したその時、
弦がキャッツを解放した。
乱雑に扱われ、キャッツは地面に落とされた。
「いたっ」
尻を打つ。打った箇所を優しく擦る。
着崩れた服を直す。
「こ、こんな罠が仕組まれていただなんて……」
キャッツはその場を立ち上がり、
「地面にも最善の注意を払わなくてはなりませんわね」
足元を気をつけながら、場所を移動する。
「……と、その前にお手洗いはどこかにあるのかしら?」
一方、関西姉妹はというと。
「意外と狭いもんだねー」
神戸の声には余裕が見らえず、表情にも焦りの色が見えた。
関西姉妹は共に行動していたのか、隣には虎鉄もいる。
そして、二人の目の前には、
「魔法は苦手なんです……」
ホロがいた。
どっぷりと疲労を積んでいるのか、前傾姿勢でいる。
「でも、妨害しないと駄目って言われたから……」
ホロは生徒手帳をズボンの後ろポケットから取り出した。
関西姉妹はその場に落ちていた魔法の実を無作為に一つずつ手に取る。
ぶらん、と腕を振り子のように揺らしながら、
「やるしかないみたいです……」
魔法名を発動した。
ホロ・ゴースト。
彼女は元は凡才組の生徒だった。が、全てのレベルアップ試験に失敗し、更には催し物で経験値が稼げなかったため、ランクを落とされたのだ。
そのため、このようなネガティブな性格になってしまった。
だが、元凡才組であった以上、その実力は確かだ。
バカ組が持っているはずのない、魔法を実力で獲得したのだから。
「マテリアルゴースト、レベル1」
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