ぱにっく35!ウィルスたん!
私立月陽学園都市。
未開拓の地に建設された、大規模な学園都市だ。
読んで文字の如し、学園都市と一種の都市である。
故に敷地内には多種多様な施設が並んでおり、さすがに遊び場はないのだが、その代わりそれらの施設全ては学生手帳一枚で無料で利用できるのだ。
遊園地なんかより学園都市のが楽しい――なんてことを口にする生徒もいるくらいだ。よほど学園生活が楽しいのだろう。
学園都市は同じ敷地内に学区を分別している。東洋学区と西洋学区だ。
学区を分別した理由は定かではないが、あながち住んでいた環境の違いによるものだろう。
西洋学区は外国人が九割以上を占めており、逆に東洋学区は日本人が九割以上を占めているのだ。
西洋学区は日本時間の午後八時くらいから授業が始まる。その頃には既に東洋学区は学業から解放されている。
学業から解放されれば後は自由だ。自由と言っても外出は禁じられている。これに限らず外出は固くなに禁じられているのだ。
『魔法』という極めて非現実的なソレが存在するからだ。
魔法を秘匿する義務がある。部外者が侵入できない体系になっているが、仮に侵入できたとしても、生徒は絶対に魔法を使用してはならない。
すべては魔法の存在を知られない為にだ。
学園都市には塔のような建物が多いのも特徴だ。
学生寮もその中の一つである。
地上二十階建ての塔、大きなドーナツが二十個積み重なったような円柱型の建物だ。
各階ごとに等間隔で六部屋が設置されており、いずれも一人一部屋として割り当てられる。
中には一つの部屋で共同生活する生徒もいる。
白衣大河と関西虎鉄と関西神戸もそれだ。
現刻は午前六時二十分。そろそろ身支度をしたほうがいい時間だ。
日用雑貨があちらこちらで散らばった、独身男性のような部屋の窓際にあるベッド、その上で三人は一緒に寝ている。
朝の陽射しが顔に当たる。早く起きなさいと急かされているようだ。
「うぅ……」
中心に寝ている大河がうなされていた。
「うぅ……」
悪い夢でも見ているのか、実はもうかれこれ二時間はこの調子だ。
隣の雑音で目が覚めたのか、神戸が不機嫌そうな顔をしながら半身起こした。
そして、安眠妨害をした犯人を知る。
「ったく……」
大河が被っていた青色のタオルケットがずれていた。神戸はそれをそっと掛け直して――
「あっつ!」
大河の頬に手が触れた瞬間、思わず、神戸は大きな声を上げてしまった。
その声で目覚めたのか、虎鉄も起床した。まだ寝足りない感じだ。
眠気眼を擦りながら、
「どないしたん? お姉ちゃん?」
と、訊いた。
「ほけ……!」
口が上手く回らない。神戸は慌てふためきながら口にする。
「保健のメイドさんを呼んでくれ! 大河がヤバいことになってる!」
大河は悪夢にうなされているわくではなかった。
高熱にうなされていたのだ。
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