ぱにっく30!B地区解放戦線!
「天才組の皆さんは別の水着を用意させますので、それを着てください」
目を丸くしたまま放心状態となっていた天才三人組。故障した機械のように口から白煙を吐いていた。体も真っ白だ。
そこに三体のメイドが来た。姿形が同じで見分けがつかない。
メイド達は一体一人ずつ全裸の女子生徒をお姫様抱っこで持ち、そのまま平然とした態度で更衣室に運んでいった。
「せんせー!」
大河が亜理子を呼んだ。
その間にも水着は着々と穴が広がっている。
亜理子は大河の方を見下ろす。
「どうしたんですか? 大河さん」
「どうしたじゃないよ! 俺! 俺も新しい水着を着ないと!」
大河は穴が空いた場所、背中を亜理子に見せつける。
「ほら! このままじゃ裸になっちゃうじゃん!」
その傍ら、神戸が虎鉄に対し真面目に話しかけていた。
「相手が着替えてる最中に作戦を考えよう。大河の魔法を使えば勝つことも可能だ」
大河は神戸の立つ方を振り向く。
「ちょっとそこー!! 人の話聞いてた!? このままじゃ俺も全裸になるんだって!」
関西姉妹は互いの顔を見て、何かを確認した後、大河の方を向いた。
「いや、大河、お前もう女捨ててるだろ?」
「……!? 捨ててないよ! てか捨てるってなんだ! 俺の女心はゴミか! 燃えるゴミか! それとも燃えないゴミか!」
「そうだな、どちらかというと燃えないゴミかな。……あ、燃えないじゃなくて、“萌えないゴミ“ね」
「ちょ、お前、それただのゴミじゃねーか! 人生をカラスに捧げるなんてイヤだよ!」
「大河って萌えるん?」
「萌えるから! てか萌えてよ……ってそんな場合じゃなかった!」
ビチッ、とゴムがはち切れたような音がした。
はらり、と右肩からスクール水着が裏返しになって垂れてきた。
関西姉妹が慌てて動揺する。
大河の片方の乳房が露となり、平たいその先に付いた仄かに赤く染まった突起物が顔を見せていた。
「俺のB地区がー!!」
大河は咄嗟にギターで胸を隠す。進行は止まらず、更に反対側の肩も外れ、双方の乳房が露となってしまった。
徐々にスパッツのような形になりつつあるスクール水着。事情を知らなければ、ただの露出狂にしか見えないだろう。
「B地区ってどこにあるん?」
虎鉄が平然とした表情で訊く。ボケではなく素だ。
神戸は顔を赤く染めながら、虎鉄に耳打ちする。
虎鉄は特に表情を変えることもなく、のほほんと聞いていた。
とかなんとかしている内に、大河の水着被害は尻にまで到達していた。
まるで鮫に狙いを定められたような切迫感。大河は生命の危機に立たされていた。
迫る。ナニ解放の瞬間が、人生に幕を下ろされる瞬間が。
「もう……」
瞬間、ベースギターから紫電の電流がほとばしった。
「もう駄目だ―――!!」
空から学園を俯瞰する。
鋭く尖った耳鳴りが鼓膜に突き刺さり、脳を刺激する。
直後、学園が閃光を放ち、周囲一帯を飲み込む巨大な爆発を巻き起こした。
轟音を上げながら砂塵が渦巻く。
煙が掃けてきた頃、奇跡的に全員生きてはいたが、墨を塗り付けられように全身が真っ黒に染まっていた。
むろん、身に着けているものなどない。全員が裸だ。真っ黒だから要所は隠れているが。
ケプッ、と大河はハートマークの煙を吐いた。
「……バカ組の皆さん、失格」
亜理子は怒りを込めながら告げた。
同時に大河の手からベースギターが消えた。
発動したら最後、事が済むまで半永続的に発動し続ける魔法。
それが、マジックアンプリファイアーである。
大河からすれば、それはまるで悪魔のプレゼントであろう。
ケプッ、と大河はドクロマークの煙を吐いた。
バカ組の球技大会の成績、強制失格!
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