ぱにっく23!球技大会始まるよ!
五月二十五日。
曇り一つ見られない晴天の今日、私立月陽学園都市は決戦の地と化す。
球技大会という名の戦が始まった。
東洋学区と西洋学区で別々に開会式が行われる。場所は校舎前の滑走路のようなあの直線的な道だ。
これから各自、選択した種目の会場に向かう。が、そんな大勢の人間が運動できる場所などない。
そこで学園長が魔法を使い、室内に各会場を置いたのだ。
これがまた不思議なもので、外見はコンビニくらいの大きさしかない店なのだが、中はちゃんとしたドーム球場になっているのだ。
しかし、大河と関西姉妹が行う、ローションビーチバレーの会場は外だった。
あまり人気がなかったのか、集まったのは三十人だ。
と、大河はそれに気づく。
「あ、神乳だ」
東洋学区ナンバー1の天才・神知恥夜だ。向こうは気づいていないようだ。
関西姉妹も恥夜の存在に気付いた。神戸は真剣な眼差しで恥夜を見ている。
「優勝候補というか、誰か足止めでもしない限りは優勝はあの女で決定だな」
「上等だよ。神知だか神乳だか知らないが、俺達が優勝を阻止してやる!」
バシッ、と手の平に拳を叩き込み、気合いを入れ直す。
関西姉妹もそれに触発されるように気力に油が注がれた。
その様子を、黒の外套を着た生徒がいた。いや、生徒がどうかも分からない。恐らく生徒なのだろうが韜晦されているので分からない。
身長は百五十五前後といったところだ。それだけは分かる。
「――それでは皆さん、会場に移します」
ちなみにローションビーチバレーの競技を担当するのは、バカ組の担任でもある久能亜理子だ。
白のブラウスの下には既にビキニが着られている。生徒より早く着ていたようだ。
亜理子は校舎の最上階、学園長室を見上げた。
枠から学園長が顔を出していた。亜理子はお願いしますと軽くお辞儀をし、学園長は首を縦に頷かせた。
――学園長室。
学園長の胸元から黒猫が顔を出していた。本当の学園長である。
「大河はどうするのですか?」
「言うたはずだぞ、風呂以外は男性のままだとな」
そう口にしながら、黒猫は魔法を唱えた。
魔法名はおろか魔法の再生作業をせずに、黒猫は魔法を唱えていた。
すると、亜理子達のいる場所がアスファルトから砂浜に変わっていった。
まるでアスファルトが剥がされていくように、その場所からアスファルトが消えていく。
やがて、一面が砂浜と変わり、コートが生まれた。
バカ組の生徒は都会に上京した田舎者のように辺りを見渡しながらきゃっきゃっと騒いでいる。
しかし、砂浜にはローションが敷かれていなかった。
と、亜理子の手にシャボン玉のようなものに包まれたバレーボールが出てきた。
咄嗟の出来事に亜理子も驚いている。が、冷静を戻す。
「それでは皆さん――」
バレーボールを軽く打ち上げる。ボールは大河の前に落ちてくる。大河はボールを打ち返そうとした。が、“打ち上がらずに手から滑り落ちた“。
バレーボールは砂浜に埋まる。
「――ローションビーチバレーを開始しますよ」
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