ぱにっく22!スナック菓子のオマケだけ取って後はイラネ!
虎鉄が魔法名を発した直後、生徒手帳に発した言葉が筆記体で綴られた。
中心に描かれた砂時計がひっくり返ると同時に、魔法の再生中を意味する『now loading』の文字が浮かび上がる。
程無くして、魔法の再生可能を意味する『ordrr select』の文字が浮かび上がった。
虎鉄は人差し指を天に突き立て、その場でぐるぐる回りながら、その魔法名を再び口にする。
「シューティングスター」
天に突き立てた人差し指、その指先に白い光が集束し出した。その光は極めて無色に近い色であるため、肉眼で確認することは難しい。
だが、目を凝らして視れば、白い光が集束していることが確認できる。
白い光は飴玉くらいの大きさとなって形状を安定させ、指先を包み込む。
虎鉄はその白い光で遊ぶように指先と体を回しながら、大河にそれを向けた。
シューティングスターが指先から離れ、大河の後頭部に向かって気ままに浮遊して行き、そのまま優しく触れていった。
大河の後頭部から自然と痛みが消えていった。まるで死人でも見たように大河は自分を疑っていた。
「痛くない……? まさかこれが虎鉄の?」
虎鉄は初期状態に戻した生徒手帳をスカートのポケットに蔵う。
堂々と胸を張りながら、得意気に口にする。
「せや! これがうちの魔法“シューティングスター“や!」
大河は目を輝かせていた。
「スゲー! 魔法スゲーな!」
賛同するように大河は虎鉄の手を握り、ぶんぶんと振っていた。
その傍ら、神戸はボカーンと間抜けな表情をしながら言葉を失っていた。
二人が元気にはしゃいでいる最中、大河が神戸に気づく。
「どうしたの?」
神戸が現実に戻ってきた。
「いや、どうしたも何も……、試合中にそれで治療する暇なんてないだろ。フツー」
一つ間が空く。
無言の大河と虎鉄の頭の中で、木魚を叩くが鳴る。チーン、と虚しくが音が響く。
二人は握り合っていた手を離した。
「もう、ダウンロードできん」
はぁ、と神戸が大きく溜め息をつく。
「……ところで神戸は何にしたの?」
大河がそう訊くと、神戸は生徒手帳を取り出し、
「……ウイング」
覇気のない声で魔法名を口にした。……が、生徒手帳が初期状態のままだ。魔法が発動されない。
「何だよ。壊れてるんじゃないの、それ」
三人が寄って集まり、神戸の生徒手帳を覗いた。
するとそこには『error』の文字が浮かび上がっていた。
「エラー? 何がエラーなんだ?」
怪訝な声で神戸が疑問視していると、あぁ! と虎鉄が大声を上げた。
「どうしたの? そんな大声上げて」
大河がそう訊くと、虎鉄はあわあわと口を動かしながら、神戸の生徒手帳を指差した。
指先に視線が集中する。
そこにはなんと――、
「う、“ウィンク“……?」
魔法名“ウィンク“の文字が浮かび上がっていた。
まさかと言わんばかりに、神戸は魔法の掲示板を開く。
六十の魔法が羅列される中、神戸が最初に口にした魔法名“ウイング“の下に“ウィンク“が記されていた。
言ってはならなかった。だが、大河は言ってしまった。
「“ウイング“と“ウィンク“を間違えたんじゃね?」
神戸の顔が真っ赤に染まる。
と、先ほど魔法名を口にしていたせいだろう。
神戸が急にウィンクをしだしたのだ。
その場の空気は言うまでもないが、壮大にネタがすべった観客席のような空気だ。
まるで試合終了を告げるように、昼休み終了の鐘が無情にも鳴り響いていた。
天才組に勝つ気なのはいいことだ。が、その決意むなしく、現状ではバカ組にさえ勝てる要素がない。
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