桃缶ぱにっく!ブレイク・オブ・クロニクル!(21/160)PDFで表示縦書き表示RDF


桃缶ぱにっく!ブレイク・オブ・クロニクル!
作:俺とキルマシーン



ぱにっく21!そもそも魔法学園なのに魔法が出なさ過ぎ!


「た、大変な事になった……」

 魔法管理委員会から出てきた関西姉妹を、大河はすぐに捕まえた。
 切迫詰まった表情をしている。関西姉妹はその表情を見て、本当に由々しき事態が起きたのかと思い、焦りの色を見せている。

「何か大変な事が起きたのか……?」

 三角の陣を組みながら立つ三人を照らす、焼き付くような夏の日差し。
 緊迫した空気に呑まれる。汗が頬を伝る。
 心音が大きく鼓動を打つ。
 そして、大河は禁句を解き放つように、その固く閉ざされた口をゆっくりと開いた。
 口が開いた瞬間、関西姉妹は同時に固唾を飲み込む。

「ビーチバレーに天才組も出場するんだ……」

 トランプで立てたタワーが崩れたような感じだった。
 関西姉妹は気の抜けた表情をしている。その表情の意味が分からない大河は首を傾げている。

「どうしたの? もっと『マジでー!!』とか『どうする辞退する?』みたいな反応はないの?」

 神戸は表情を元に戻す。
 呆れた口調で大河にこう言う。

「ない。というより、天才組も出場するから特別にバカ(わたしたち)にも魔法の使用許可が下りたんだから知ってるよ……」

「……! せやせや!」

 若干出遅れた者が一名いる。
 大河は担任に言われた事を思い出す。

「そういえばそれっぽいことを言ってたような言ってないような……」

 神戸は大きく溜め息をついた後、疲れきった表情でこう口にした。

「いくら私達がバカ組だからと言っても、お前ほどバカなやつはそう居ないぞ」

「どうせ俺は学内一のバカですよーだ」

 まあまあ、と虎鉄は適当に和ませ、話題を変えた。

「これで全員魔法をダウンロードしたんや。せっかくやから見せ合いっこしよ」

「おっ! いいね!」

 大河はノリが良い。が、それとは対照的に神戸はノリが悪い。
 不満そうな顔をしながら、妹に声を掛ける。

「ダメダメ。むやみやたらに魔法を使用するのはよくないぞ」

「ええやん。減るもんやないし〜」

 ぷぅ、と頬を膨らましながら片腕に抱きつきながら揺らす。
 大河は胸板を触――

「どさくさに紛れてどこ触ってやがる!」

 ろうとしたが、鉄拳のお釣りが返ってきた。所要時間はわずか一秒。プロボクサーも驚く瞬発力だ。

「お姉ちゃんがダメ言うなら、うちと二人だけで試そうか、大河?」

 虎鉄が自分の腕から手を離した瞬間、神戸の表情が少し動揺の色を見せた。
 大河はその一瞬を見逃さない。わざと聞こえるようにこう口にする。

「そうだねー、しょうがないから神戸は放っておいて、俺と“二人っきり“で試そうか」

 大河と二人っきり。
 その言葉に神戸は完全に動じてしまい、答えを変えていた。

「まてまて、やっぱり私も一緒に試す」

 くくく、と大河が不気味な笑い声を上げる。

「大事な娘をチャラ男に取られた親の心境ってやつだな」

「うるさい!」

 神戸の放ったジャブは核心をつかれたためか勢いが無く、大河は紙でも避けるように華麗に交わす。
 と、そこまではよかったのだが、

「あ、大河後ろ」

 そのままフェンスの角に後頭部を強打してしまった。
 視界を落とすほどの痛みが大河を襲う。
 大河は後頭部を押さえながら座り込む。

「っ〜!!」

「人をバカにしてるからそうなるんだ」

 と、先ほど自分も人をバカしていた神戸が自慢気に口にする。
 中腰になりながら、虎鉄は大河の髪の中を覗く。

「出番や! うちにまかしとき! 大河!」

 虎鉄はスカートのポケットから生徒手帳を取り出す。

「シューティングスター、発動や!」

 そして、魔法名を口にした。












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