ぱにっく21!そもそも魔法学園なのに魔法が出なさ過ぎ!
「た、大変な事になった……」
魔法管理委員会から出てきた関西姉妹を、大河はすぐに捕まえた。
切迫詰まった表情をしている。関西姉妹はその表情を見て、本当に由々しき事態が起きたのかと思い、焦りの色を見せている。
「何か大変な事が起きたのか……?」
三角の陣を組みながら立つ三人を照らす、焼き付くような夏の日差し。
緊迫した空気に呑まれる。汗が頬を伝る。
心音が大きく鼓動を打つ。
そして、大河は禁句を解き放つように、その固く閉ざされた口をゆっくりと開いた。
口が開いた瞬間、関西姉妹は同時に固唾を飲み込む。
「ビーチバレーに天才組も出場するんだ……」
トランプで立てたタワーが崩れたような感じだった。
関西姉妹は気の抜けた表情をしている。その表情の意味が分からない大河は首を傾げている。
「どうしたの? もっと『マジでー!!』とか『どうする辞退する?』みたいな反応はないの?」
神戸は表情を元に戻す。
呆れた口調で大河にこう言う。
「ない。というより、天才組も出場するから特別にバカ組にも魔法の使用許可が下りたんだから知ってるよ……」
「……! せやせや!」
若干出遅れた者が一名いる。
大河は担任に言われた事を思い出す。
「そういえばそれっぽいことを言ってたような言ってないような……」
神戸は大きく溜め息をついた後、疲れきった表情でこう口にした。
「いくら私達がバカ組だからと言っても、お前ほどバカなやつはそう居ないぞ」
「どうせ俺は学内一のバカですよーだ」
まあまあ、と虎鉄は適当に和ませ、話題を変えた。
「これで全員魔法をダウンロードしたんや。せっかくやから見せ合いっこしよ」
「おっ! いいね!」
大河はノリが良い。が、それとは対照的に神戸はノリが悪い。
不満そうな顔をしながら、妹に声を掛ける。
「ダメダメ。むやみやたらに魔法を使用するのはよくないぞ」
「ええやん。減るもんやないし〜」
ぷぅ、と頬を膨らましながら片腕に抱きつきながら揺らす。
大河は胸板を触――
「どさくさに紛れてどこ触ってやがる!」
ろうとしたが、鉄拳のお釣りが返ってきた。所要時間はわずか一秒。プロボクサーも驚く瞬発力だ。
「お姉ちゃんがダメ言うなら、うちと二人だけで試そうか、大河?」
虎鉄が自分の腕から手を離した瞬間、神戸の表情が少し動揺の色を見せた。
大河はその一瞬を見逃さない。わざと聞こえるようにこう口にする。
「そうだねー、しょうがないから神戸は放っておいて、俺と“二人っきり“で試そうか」
大河と二人っきり。
その言葉に神戸は完全に動じてしまい、答えを変えていた。
「まてまて、やっぱり私も一緒に試す」
くくく、と大河が不気味な笑い声を上げる。
「大事な娘をチャラ男に取られた親の心境ってやつだな」
「うるさい!」
神戸の放ったジャブは核心をつかれたためか勢いが無く、大河は紙でも避けるように華麗に交わす。
と、そこまではよかったのだが、
「あ、大河後ろ」
そのままフェンスの角に後頭部を強打してしまった。
視界を落とすほどの痛みが大河を襲う。
大河は後頭部を押さえながら座り込む。
「っ〜!!」
「人をバカにしてるからそうなるんだ」
と、先ほど自分も人をバカしていた神戸が自慢気に口にする。
中腰になりながら、虎鉄は大河の髪の中を覗く。
「出番や! うちにまかしとき! 大河!」
虎鉄はスカートのポケットから生徒手帳を取り出す。
「シューティングスター、発動や!」
そして、魔法名を口にした。
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