桃缶ぱにっく!ブレイク・オブ・クロニクル!(19/166)PDFで表示縦書き表示RDF


桃缶ぱにっく!ブレイク・オブ・クロニクル!
作:俺とキルマシーン



ぱにっく19!いいダシがとれましたね〜関西姉妹さん!


 午後十一時過ぎ。
 入浴を終えた大河は自室に戻り、既に就寝の準備万端の関西姉妹が横になってるベッドに向かった。
 横になる関西姉妹の間に大河は座る。ベッドのバネが弾んだ。
 ドライヤーのコードを虎鉄に渡し差し込んでもらう。
 ドライヤーは神戸に渡し、同時に(くし)も渡した。
 大河は手鏡を持ちながら、神戸に背を向けた状態となり、髪を乾かしてもらった。
 ドライヤーのスイッチが入る。皮膚に害を与えない程好い熱風が黒髪のストレートを揺らし、櫛を流しながら()かしていくと、次第に艶を帯びてきた。
 大河の髪は長いため、髪を乾かすだけでも時間がかかる。お手入れ等はしないため、結果的には関西姉妹と同じ時間に就寝できるのだ。

「偵察だけって言ったのに、まさか試験を受けて、しかも合格までしてくるなんて」

 虎鉄は大河の生徒手帳を物欲しそうな目で眺めている。陽気な鼻唄が室内に流れる。
 大河は鏡を器用に動かしながら、

「俺も最初はそのつもりで言ったんだけど、偶々新入生の奴が出てきたからやってやったよ」

 と、自慢気に話す。
 球遊びをする猫のように、虎鉄は大河の生徒手帳とじゃれ合っている。

「ええなー、うちも明日挑戦するわ」

「そういや、大河はどの魔法にするか決めてるのか?」

 神戸は虎鉄に顔で合図を送った。虎鉄はベッドの上から下り、スクールバッグが置いてある、出入口左の壁際に向かう。
 ファスナーは開き、スクールバッグの中から一枚のパンフレットを取り出した。
 パンフレット片手に再びベッドの上に戻る。
 大河に見えるように虎鉄はパンフレットを開いた。

「魔法の掲示板?」

 魔法の掲示板と名付けられたそれは、見た目は何の変哲もないパンフレットであるが、その中身を開くと――、

「うあ! 何だ何だ!?」

 白い光を発し、ページ一杯に次々と魔法名を羅列し始めた。大学ノート一ページ分の文量を僅か一秒足らずで埋めていく。羅列される魔法名に合わせて、上記にある画面再生率が100%に近づいていった。
 画面再生率が100%に到達した。電子ブックとなっており、ページ捲らずとも下部にあるボタン一つでページを進めてもらえる。
 1/3と表記されているので三ページあるのだろう。
 一ページに記載されている魔法名の数は六十で、どうやら組ごとに使用できる魔法が増減するようだ。
 レベルの低い組、つまりバカ組は一ページ目に記載された魔法しか使えず、レベルの高い組、つまり天才組は三ページ全てに記載された魔法が使える。
 虎鉄は大河の横から覗き込む。

「魔法の掲示板は魔法の詳細を調べたり、試用(ストリーミング)したりできるんや」

「すとりーみんぐって?」

 ドライヤーの電源を切る。神戸が代わりに説明した。

「お試しで使えるってこと。ダウンロードする前に合うかどうかを調べたい時とかに使うんだよ。CDとかをレンタルする感覚に近いかもな」

 なるほどー、大河はそう呟きながらページを読み進めていた。
 しかしどのページにも、大河が入手した魔法『マジックアンプリファイアー』は記載されていなかった。

「あー、お前じゃまだそっちの魔法はダウンロードできないよ」

 大河は三ページを見ていた。最後の行だけ“番号は振ってあるが魔法名は記載されていない“空欄があった。

「180番目の魔法だけ空欄だけど何で?」

 大河がそう訊くも、虎鉄も神戸も質問者と同じ反応だった。

「さあ? そっちのページはあんま見ないからね」

 同意するように虎鉄は首を縦に振っていた。
 180番目の魔法。もしやそれが俺の魔法なのではと、大河は妄想しニヤけていた。傍からただの変質者にしか見えない。
 ボフン、と大河はベッドに倒れ込んだ。
 魔法の掲示板を虎鉄に渡す。虎鉄は適当に床に投げ捨てた。

「んじゃ、そろそろ寝るとするか」

 深夜○時過ぎ、三人はようやく一日を終えた。












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