ぱにっく189!死闘の果て!
視線の先、大河とその後ろには地に倒れるシュプリンガーの姿があった。
ただ、傷の状態は軽傷になっていた。先刻は重傷だったが、大河が治療魔法で回復させたのだろう。
「……学園長殿が?」
ざわつく生徒達をよそに、恥夜が神妙な口ぶりで尋ねた。
大河はシュプリンガーを一別し、うん……、と、深く頷いた。
「俺が“死んでた時“に回復してくれたんだと思う」
大河は胸に手を置いた。
確かに感じる、心の鼓動が。
「ちょっと待て、何の話をしてるんだ?」
神戸は少しだけ感情的になっていた。疑問の中に怒りが含まれている。
ほぼ全員が神戸と同じ感情を抱いているようだ。
大河に鋭い目線が集中している。
恥夜は大河を見つめた。
大河は目を瞑り、頷いた。
「実は……」
「――私のせいなんです!」
大河が自白するより先に、ラインヒルドが叫んだ。
唖然とした表情で大河は口を丸くしている。
ラインヒルドの声は震えていた。
「私は、大河の命を一度、奪っているんです……」
「言ってる意味がよく分かりませんわ。どういうことですの?」
破片が防御壁を叩く。崩壊を刻む音が今も鳴り続けている。
大河はラインヒルドの側に寄り、肩を抱き、小柄な体を胸板に寄せた。
ラインヒルドは驚くほど震えていた。恐かったのだろう。彼女はまだ子供だ。
「事が片付いたらちゃんと話すけど、俺は男だから魔法が使えなくて、色々と試行錯誤しながら魔法を使ってたんだ」
大河は球技大会での魔法の暴発について、話した。
釈然としない者が少数いたが、漠然と理解した者が多数いた。
どちらにせよ、完全に理解した者は一人もいない。
「皆が自分だけの魔法を手に入れてたのに憧れて、俺は恥夜にお願いしたんだ。――俺も魔法が欲しいって」
気付けば、全員が聞き入っていた。静寂とは程遠い空間の雑音が届いていないような感じだ。
「別世界にある魔法議会に挑戦して勝てば魔法が作れるらしくて、挑戦した俺はその時、ラインと戦って、一度、死んだ」
死んだ。
本人の口からその言葉を聞いた瞬間、生徒全員の表情に電流が走ったような衝撃が襲った。
「けど、ラインが俺に魔力の半分を分けてくれて、何とか生き延びれたんだ。――ただ、その体だと魔法が十回までしか使えなくて、自力で魔法を吸収しないと魔力が切れて、死んじゃうんだ」
「だから、さっき……」
「うん、そういうこと。だから、ラインは悪くない」
インテグラはどこか不服そうな態度で呟く。
「で、今はシュプリンガー様の魔力をということですか」
というか……と、生徒全員(恥夜とラインヒルドとキャッツを除く)。
「秘密多すぎ!!」
生徒全員の心からの主張が大河の耳に突き刺さる。
大河は痛々しく目を瞑り、ゆっくりと開いた。
生徒全員の憮然とした面持ちと憐憫な眼差しが目に入る。
「……それで、最後か?」
神戸が呟いた。
途端、生徒全員が小動物のようにクスクスと笑い始めた。
大河は状況が読めず、ただ、これ以上は隠し事はないことは確かなので
「うん」
とりあえず、頷いた。
「はぁ……、後で“覚悟“しとけよ。大河」
神戸は何故か笑っていた。どこか無邪気な様子が窺える。
そして、全員は真正面から向き合う。
「本当にお腹が弱点なのですか? 大河」
ラインヒルドは大河の胸板から離れ、涙を拭いながら訊いた。
「ああ、シェリルの腹に禁術の魔法陣が描かれていたのを見たって、シュプリンガーが言ってた」
「なるほど……弱点は発生源にありと」
「それと――」
崩壊は目前まで迫っていた。
「シェリルは倒さない」
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