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ぱにっく179!魔王と魔王の大喧嘩!
 人は彼女達を『魔女』と分類するようだが、果たして、現在の彼女達の姿を見ても、そのような不適切な分類を出来るだろうか。
 否。不可能だ。
 現在の彼女達は『魔女』を超越した存在――『魔王』と分類するのが適切かもしれない。
 シュプリンガーとシェリル。
 史上最強の魔女とその一歩手前の魔女。
 その空間に二人の姿は無い。
 コンマ数秒間隔で、空間のあちこちから酷く出鱈目(でたらめ)な衝撃音が()ち鳴っていた。
 音量は狂い、その計り知れない音量を中心とした半径五十メートル周辺に凄まじい衝撃波を巻き起こしている。
 衝撃波が他者介入を強制的に排除していた。
 恥夜とスコティッシュとインテグラとラインヒルドの四人は、衝撃波の勢いに耐えることで精一杯だ。
 足腰に力をいれなければ、体ごと持っていかれる。

「っ……! 桁が違い過ぎる」

 恥夜は衝撃波を堪えながら口にした。

「これが――シュプリンガー様の本気の力……」

「史上最強の魔女と互角に渡り合えるほどの力の持ち主だったなんて……。まったく、頼もしいな。“うちの学園長“は」

 ドゴン! ドゴン!
 聞き馴れない衝撃音があちこちに突き刺さる。

「agagmqgtpntpwe――ウルティマ」

 激しい激突が繰り広げられる中で、シェリルは呟いた。
 続けて、詠唱をする。

「gapwmgjpwpngkg――アンリミテッド」

 刹那、空間が張り裂けたような剣戟が周囲を貫いた。
 要した時間はコンマ一秒足らず。
 剣戟と同時に地上八十メートル付近からシュプリンガーが急降下してきた。
 一瞬、姿が映るが、再び消える。
 闇に身を叩き付ける直前、シェリルが隣で日本刀を地に叩き込んでいた。
 斬戟を躱したシュプリンガーは瞬時に態勢を整え、背を向けている状態のシェリルに向けて、両手を突き出した。

「アベッ――!」

 だが、両手に向けてシェリルが日本刀を振り払う。

「ッ! リバース!」

 不意の一撃に対し、シュプリンガーは詠唱を中断し、リバースで威力を相殺させた。
 シェリルの日本刀にはマジックアンプリファイアーが付加されているため、魔法を打ち消す魔法ではないと防御は不可能だ。
 シェリルはリバースで対処されることを知っている。
 弾かれた刀身を軸に、シェリルは半円を描き、シュプリンガーの腹部に蹴りを突き飛ばした。
 が、実感がない。
 そう、実体がない。
 シュプリンガーが霧となって消えた。
 無防備な態勢でいるシェリルの横にシュプリンガーはいた。

「アベック!」

 叫び声と同時にシュプリンガーの脇腹に両手を突き出した。
 獰猛な狼の開口を真似した両手がシェリルの脇腹を喰らう。
 その両手の形から見える黒い幻影は血肉に飢えた眼をしていた。
 シェリルの脇腹の肉が毟り取られる。
 強引に破かれた赤い振袖が深紅に色を変える。
 だが、数秒足らずでそれらの損傷が復元されていった。

「pagajngtpwmg――イコール・ゼロ」

 非科学的な現象がシュプリンガーの眼前で起きていた。
 喰った個所が完全に復元されているのだ。
 ふと、シュプリンガーは気づく。
 己の脇腹にシェリルの右手が触れていることに。

「インフィニティ・スプレッ」

 瞬間、シェリルの背中に二つの手が触れた。
 恥夜とスコティッシュだ。

「リバース!!」

 シェリルが魔法を発動する直前、二人の魔法が発動した。
 白銀の光が一気に暴発し、青白い閃光を轟かせた。
 シェリルの背の中心、皮膚が熱で毟られていく。
 熟した肉が炭となって焦げていった。
 隙を見たシュプリンガーがシェリルの持つ日本刀を蹴り飛ばした。
 恥夜は蹴り飛ばされたそれを拾い、スコティッシュと共に距離を置いた。

「いつでも行けるぞ!」

 生徒全員がいる場所から大河の声が届く。
 各班、合唱魔法の準備を終えた。
 シュプリンガーはシェリルを蹴り飛ばし、距離を置いた。
 五メートルほど蹴り飛ばされたシェリルだが、瞬時に立ち上がる。

「我に立ちはだかる者、何人(なんぴと)て許さぬ」

 そして、シェリルは口にした。または、口にしてしまった。

「“万物消滅魔法(アルテマ)“」


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