ぱにっく149!合戦の火蓋が切って落とされた!
私立月陽学園都市。
そこの象徴とも言える四本の塔が、姿を消した。
それだけに止まらず、校舎前通りに並んでいた数多くの店舗も、姿を消した。
徒っ広い敷地には、三階建ての棟が二十も整列していた。微塵のズレも容姿しない。
各階に十メートルくらいの通路が設置されており、それが、棟と棟の間接的な役割を果たしている。
生徒全員がこの長い建物の中に収納されており、学区関係無しに指定された棟で待機している。
棟の中は廃校になった校舎のような状態だった。
だが、これから行われることが長期間になると想定しているのか、寝泊まりができるようにされている。
一階は食堂と浴場を設置されており、二階は“特別教室“が、三階は寝泊まりが可能な教室がある。
決して快適とは呼べない。一般的な校舎と同じ構造をしているため、教室もそう華やかではない。
普段、華やかな生活を送っている当学園の生徒からすれば、非常に地味な作りだ。
ベッドも布団に変わり、収納スペースが教室後方のロッカーと廊下にあるカードキー式のロッカーのみなので、持参可能な私物も限定されてくる。
まだ今回の試験の全容を聞かされていないこともあってか、不平や不満を漏らす生徒達の姿があちこちで見られる。
大河は、関西姉妹やラインヒルドと言ったいつもの面々とはおらず、顔や名前を把握していない生徒達の中に混じっていた。
現在は、六棟にいる。
関西姉妹も別々で、姉の神戸は十三棟におり、妹の虎鉄は十九棟におり、ラインヒルドは二十棟にいる。
大河と同じく、関西姉妹も顔や名前を把握していない生徒達の中に混じっていた。
現刻は八時十五分を回るところだ。
教室前方の中心、黒板の少し上で時計が針を刻み、着々と秒針を進ませていく。
そして、八時十五分を回った。同時に全棟に放送が流れる。
小さな雑音から入った。
「おはようございます。皆さん」
恥夜の声だ。
朝だろうと夜だろう関係無しに、常に一定調子な声をしている。
「こうして話している時間も惜しいので、早速ですが、今回の試験についての説明に入らせていただきます」
チョークが浮いた。
独りでに動き出したチョークが黒板に何かを書き出した。
濃い緑色のそこに白い全体図が描かれ、現在地や内部の状況などを記している。
「今回の試験はチーム戦となります。現在、その場にいる生徒がチームとなります」
生徒達は辺りを見渡し、チームとなる仲間の顔を確認していた。
上位に食い込んでいる生徒などがいるかを確認しているのかもしれない。
大河のチームには運良く、東洋学区三位の紅蓮祭がいた。
「チーム戦のルールは特にありません。相手のチームを倒す、それだけです」
ただし――、恥夜は一つ間を置いた後、こう口にした。
「使用可能な魔法は限定されます」
黒板に載せられた全体図は三種類に区分されていた。
一から六までが攻撃型。
七から十三までが戦略型。
十四から十九までが万能型。
――以上の種類でだ。
「自分のいる棟に振られた種類の魔法のみが使用可能で、それ以外の魔法は使用できません」
黒板消しが独りでに動き、自分に振られた種類の棟までを消し、空いたスペースに棟の内部構造が映し出した。
二階の特別教室に赤いチョークで丸が書かれる。
「二階の特別教室に使用可能な魔法が揃っています。戦闘終了となる午後五時からは魔力の回復も行えますが、それ以外では相手のチームの棟でのみ回復できます」
二十棟に赤い丸が書かれる。
「怪我の治療に関しては二十棟にて、ラインヒルドさんとインテグラさん、そして、メイドさん方々が行います。こちらの利用はいつでも可能です」
黒板から全ての図が消された。
そして、堂々とど真ん中に大きな文字で『残り七日』と書かれた。どうやら一週間に渡る戦いになるようだ。
「これは個人の戦いではなく、チーム同士での戦いです。チームの絆を尊重してください」
午前八時三十分を回った。
「それでは、試験を開始してください」
合戦の火蓋が切って――落とされた。
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