対象1
この世に人の心は溢れています。妬み、羨み、憧れ、愛情etc.だけれども、それらの心が人を崩壊させしとき人は殺意の底へと堕ちるのです。天使から堕ちた堕天使の様に。
幾間勇樹はビルの屋上で立ち尽くしていた。もう、生きている理由を見出せなかった。もういっそ死にたい、そう思った。
――――りん
その時鈴の音が鳴った。勇樹は辺りを見回す、するといつの間にか目の前に少女―――高校生くらいだろうか―――が立っていた。
「なんだお前。」
勇樹は少女に歩み寄る。
少女は悲しそうな目で勇樹をいちべつするとスッと空気のように消えた。その後に、一枚の名刺が落ちていた。
「桜井・・・彩。」
勇樹はそれを読み上げた。
「そう。」
勇樹の背後から、声がした。
「お前、一体何のつもりだ。ってか、何者だよ?」
「そこに書いてあるでしょ?」
「いや、お前何処から?」
彩は勇樹の問いに対し答えず、
「貴方死にたいの?どうして?」
と逆に問うた。
「しょうがねえだろ、俺は自分に自信が。」
「なら、死ぬ。死んだら光りになれる?ううん、きっと無残でしか無い。死んで輝けるのは、生を全うした人間だけだから。」
「は、お前、俺の何を知ってるんだよ?」
「全てかな。」
どうもこの綾って女、狂ってると思った。
勇樹は一先ずビルから出た。そして勇樹は知らなかった彩がビルの出入り口から出てこなかったことを。
勇樹は漫画家幾間由梨乃の息子、そして彼自身幾つもの賞を取る人々の憧れの的だった。だが、彼自身その生活に納得してなかった。親の七光りでこの世界に入れた、世間でそう陰口を叩かれていたから。この世界で売れてるのは勇樹の名ではなく由梨乃の名なのだ。悔しいが、それが現実。
次第に勇樹は心を崩壊し始めた。
アイツサエイナケレバ、アイツサエ………。
その心に拍車がかかったのは、偶然聞いたある名だった。
「優雅な殺人プランを立てる組織があるんだって。」
そう、勇樹が聞いてから数週間必死に探し、そして見つけた。組織GOECのホームページを。
彼は早速アクセスした。
3日後少年はそこで伝授された殺人計画を実行に移した。計画は見事に成功。警察は母の死を事故死と断定した。
それから勇樹の世界は変わった。周りの人間は妙に同情的になり、勇樹の書く本は大ベストセラーとなった。勇樹にも彼女が出来た。
その日、少年が学校から出ると再びあの女―――彩が校門に立っていた。
「何だよお前、俺は今死のう何て思っちゃいないぜ。お前に諭されることなんて…ない!!」
「あの時、私は貴方に生きるよう促しました。でもそれは人の道です。人の道を何故貴方は外れてしまったの?」
「うるさい!!」
『勇樹!』
勇樹の心に訴えかけるものがあった。
「この声は母さん?」
『そうよ。』
「何でだよ、何の用だ?」
『ごめんなさい、私は貴方に苦しい思いをさせていたのですね。私は貴方には才能がある、そう信じていました。だからこそ、時には冷たく当たりました。』
「あんたの所為で俺は…。」
『貴方の漫画には光りが溢れてました。漫画を描きなさい、もしも光りが見えないとしても、書いて、貴方が光りを放ちなさい。』
「母さん!!!!!!!」
目の前の母の残像を必死に捕らえようとした。だが、直ぐに消えてしまった。
勇樹は狂ったように走り出した。彩はそんな勇樹を悲しい目で見送るしかありませんでした。
その後勇樹は、車道に飛び出し車に轢かれ亡くなったそうです。
彩は、その光景を全て見ていました。あの勇樹と最初にあったビルで
「ごめんなさい、あの時私がもっと言葉を掛けていたのならこんな悲劇を起こさせはしなかったのに。ごめんなさい。」
少女は泪を流しました、少女のその悲しい泪は誰かの為に流される優しい涙。
fin
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