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幼なじみは魔法使い!?
作:須賀 隆太郎



VOL.08:週末探検隊-Part2-


「着いたよ。ここが前のあたしたちの家で、今日の目的地」
 松海市駅で電車を降りて15分ほど歩いたところにある住宅街の外れに古ぼけた洋館が建っていて、その前でちひろたちは立ち止まった。
「ここか。かなりでかい家だな……そういや、ここに何を忘れたの? 昨日はコータローの乱入で聞きそびれたけど」
 峻佑が2人に問いかけると、
「先祖代々我が家に受け継がれてきた、魔法書。それが今日の目的なんだけど、引っ越しのゴタゴタで忙しいのに逃げ回ってたせいで持っていけなかったから、それを探して捕まえにきたの」
 みちるがサラッと目的物について話した。
「ん? 逃げ回るってどういうことだ? いやそれよりもそんな貴重なモノをオレが探しに入っていいのか?」
 予想を遥かに上回る貴重品に、峻佑は心配になってたずねた。
「大丈夫、何も問題ないわ。ただ、モノは何百年と受け継がれてきたと言われる魔法書。意思を持って好き勝手に動き回ってるから一筋縄では捕まらないと思うわ。はい、これ持っていって」
 ちひろがそう言いながら峻佑に渡したのは、どこからどう見ても‘虫取り網’だった。
「む、虫取り網?」
 峻佑がなぜここでコレが出てくるのかわからず戸惑っていると、
「とにかく逃げようとするから、これで押さえつけて。これも網の部分に魔法がかけてあって、その網で捕らえた対象の魔力を一時的に封じ込められるようになってるの。さあ、行きましょう」
 ちひろが網の説明をすると、玄関のドアを開けて3人は中に突入した。


「峻佑くん、そっち行ったよ!」
「了解! この、そこかっ! ああ、また逃げられた!」
 峻佑たちは洋館に入ってすぐ目的の書物を見つけたが、捕まえようと網を振りかざした瞬間、彼らをあざ笑うかのように書物は館内で空中に浮かび、ものすごいスピードで逃亡し始めたのだった。
 もうすでに30分以上だだっ広い洋館内で追いかけ続けているが、一向に捕まりそうになかった。
「はあ、はあ……うーん、前よりさらにすばしっこくなってるわね……」
 網を片手にちひろが息も荒々しくつぶやく。
「ぜえ、はあ……ど、どうにかアレの行動を制限できればいいんだがな……」
 峻佑も疲れ果て、膝に手をつきながら話した。と、そのとき。書物が峻佑たちを挑発するかのように彼らのすぐ脇を通り抜け、廊下の一番奥、倉庫として使っていた部屋に滑り込んだ。
「チャンスね。峻佑くん、1人であの倉庫に潜入して。あたしたちは峻佑くんが入ったら扉を閉めてアレが逃げられないように部屋を結界で覆うから、アレを取り押さえて。いい?」
 ちひろが小声で峻佑に提案する。
「わかった。オレは魔法についてはまださっぱりだから、あの書物を取り押さえるほうに専念させてもらう。終わったら中から扉をノックするから、そしたら開けてくれ。それじゃ、そっちは任せたよ」
 峻佑は頷いてそう話すと、網を片手に倉庫に入り、扉をそっと閉めた。
「行くよ、みちる!」
「うん!」
 2人が互いに声をかけ合いながら閉まった扉に手をかざすと、扉が淡い光に包まれた。
「峻佑くん、こっちはOKよ!」
 みちるが部屋の中に声をかけると、中から「了解」と返事が返ってきた。


「さて、外はきっちりやってくれたし、あとはオレのやることをやるだけだな」
 峻佑は網を構えて書物へ近づいていく。と、最後まで抵抗するつもりなのか、書物は峻佑の振り下ろした網をかわし、倉庫から脱出しようと扉に向かった。しかし、扉をはじめこの倉庫はちひろたちの張った結界で覆われていたせいで思いきり弾かれ、力なく床に転がった。
「自滅したか。……ほい、一丁あがりっと」
 峻佑は床に転がり動かなくなった書物を網で押さえつけ、扉を中からノックした。


「やっと終わったね〜。あれ、もうこんな時間?」
 峻佑たちは取り押さえた書物をちひろのバッグに放り込み、外に出ると、もう空は夕焼けで赤く染まっていた。
「だいぶ長い時間走り回ってたんだな。それじゃ、帰るか?」
 峻佑はちひろたちに聞いた。
「あ、ちょっと待って。引っ越しの時には必要最低限の荷物しか持ち出してないから、もしかしたらまだこの家の中に使えるモノがあるかも。もうちょっと探してみない?」
 ちひろが思い出したかのように峻佑に提案した。
「なんか面白そうだな。こういう場所の探検は結構好きだぜ」
 峻佑は楽しそうな表情を隠さずにちひろたちと一緒に再び洋館内へと入っていった。


 探索の結果、さっき捕まえた魔法書の他に、古めかしい魔法書が数冊ほど倉庫から出てきた。だが、それらに書いてあることはほとんどさっきの魔法書に書いてあったため、持ち帰らないでそのまま置いていくことにした。
「たぶん古くなったのをどんどん新しく書き写していくということを繰り返したから、複数の魔法書があるみたいね」
 ちひろがそれらを見比べながらそう話した。
「あれ、なんか同じような文章が並んでるよ?」
 と、見つかった全ての書物の最後のページに共通する文章があることにみちるが気づいた。
【始祖がこの書のオリジナルを持っている。それにはこの書き写しコピー版にはない魔法が記されているらしい。始祖だけがそのありかを知っている】
「これはなんだろうね?」
 その文を読んだみちるが誰にともなくたずねる。
「どっちにしろオレにはその文字が読めないからなんとも言えないけど、始祖さんが持っていた魔法書とやらから何らかの理由で書き写さなかった魔法があるってことじゃないのか?」
 峻佑は知識がないなりに予想を立てていた。

 だが、探そうにも予想以上に洋館が広すぎたせいで全部は探しきれず、洋館の地下室へ続く階段を見つけたところで日没を迎え、暗くなり始めた。
 地下室はちひろたちでさえ存在を知らなかったため、期待はあったが、少し地下に降りてみたところ、地下には電灯がなく、懐中電灯なども持ち合わせていない上、ちひろたちの魔法で照らせるのは自分たちを中心に半径1メートルと非常に狭いことがわかった。
 仕方ないので峻佑たちは懐中電灯などを用意した上で改めて来ることにして引き揚げたのだった。


地下室には果たして何が眠っているのか?
次回、地下への潜入!

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今週も、読んでいただきありがとうございました。
また来週、お会いしましょう。






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