幼なじみは魔法使い!?(27/59)PDFで表示縦書き表示RDF



こんなにも長い間休載してしまい、本当に申し訳ありませんでした。
3ヶ月ぶりの再始動となる今回は、この『小説家になろう』のサイトに来る前からの親友、ヒュンケル氏のキャラをお借りしたコラボ番外編!
長くなったので前後編に分けてお送りします。まずは前編、行ってみよう!
幼なじみは魔法使い!?
作:須賀 隆太郎



VOL.27:番外編-バーナーナー!!-(前編)


 とある休日、朝からちひろは居間で魔法書を開いていた。
「ふあ〜……おはよう、ちひろ。休みだってのにずいぶん早起きだな。何やってるの?」
 そこに峻佑が起きてきて、あくびをしながらちひろにたずねた。
「あ、おはよう、峻佑くん。これ? またこないだの体育祭のときみたいなことになったら面倒だし、この魔法書に記された魔法をいくつか覚えておこうかなって思ったの」
 ちひろは少し笑みを浮かべながら話し、また本に目を落とす。
「ふーん、オレはその本の文字が読めないからさっぱりだけど、たしかその魔法書ってちひろの家系の始祖にあたる人の持ち物だったんだよね? どんなのがあるの?」
 峻佑は中身に興味を持ったのか、ちひろに聞いてみた。
「ご先祖さまは万能の魔法使いだったみたいだから、それこそ人を傷つけるものもあれば、逆に傷を治す癒やしの魔法もここには記されてるわ。あまりに数が多いから、いくつかの章に分かれてるみたいね。文字が読めなくても、イラストが一緒に書かれてるからある程度はわかるんじゃないかな? ほら、これとか」
 ちひろはそう言いながら、ページをめくっていき、あるページを開いた。
「これは、前に見た電撃の魔法?」
 そこには、以前ちひろが真野家の地下迷宮探索時に使った、電撃を放つ魔法がイラスト付きで記されていた。
「うん、あたしやみちるが使える魔法は全部ここに載ってる。あたしたちが魔法の勉強に使った書物も、これを書き写したもののひとつだったからね」
 ちひろは頷きながら話した。

「――へえ、こりゃすごいな。ホントになんでもありだ」
 峻佑はちひろと一緒に魔法書を眺めていた。とはいえ、この(ほん)の文字を解読できない峻佑はイラストだけでしかその効果を知ることができないけれど。
「あれ、なんか雰囲気がガラっと変わったな……」
 ページがめくられたところで、峻佑がイラストの雰囲気の違いに気づいた。
「探索系はあたしやみちるはあまり得意じゃないのよね。結婚した姉さんならそういうのが得意なんだけど」
 癒しの魔法が記された章が終わり、探索の章と記されたページに入ると、ちひろがため息をついた。
「ちひろの姉さん……って、ああ、さとみ姉さんか。あれっ、いつの間に結婚したの? たしか年はオレらと6つくらいしか離れてなかったよな?」
 峻佑が記憶を探りつつたずねると、
「うん、そう。さとみ姉さんはあたしたちの6つ年上で、今年大学4年生になってるよ。どこの大学かは忘れたけど、たしか教員免許取りたいって言って教職課程を勉強してるって言ってた気がするわ。結婚したのはつい最近よ。たしかまだ半年も経ってなかったはず。相手の方が、姉さんの卒業まで待てないって言って半ば無理やり式を挙げちゃったのよ」
 ちひろは苦笑しながら頷いてそう言った。
「そっか。小さい頃に少しだけ遊んでもらったことがあるような気がして、覚えてたんだ。あれっ? これはなんて書いてあるの?」
 パラパラと適当にページをめくっていたちひろを横から見ていた峻佑は、探索の章の後に数ページだけの章があるのに気づいてちひろにたずねた。
「えーっと……召喚の章って書いてあるわ。こんなの今まで見たことがなかったから、きっとご先祖さましか使えない魔法ってこの章のことかも……」
 ちひろは文字を読んだ途端、表情から笑みが消え、手が震えはじめた。それでもページをめくる手は止まらない。
「召喚? ゲームとかだとかなり高度な魔法に分類されてるけど、ホントに大変そうなものなんだな。で、始祖さんはどんなのを喚び出せたんだろう?」
 峻佑も興味津々にページをのぞき込むと、炎を吐く竜フレアドラゴン大剣を手にした戦鬼バーサーカーなどが記され、その異常性に2人とも震え上がりそうだった。
 そして最後のページを開くと、そこには今までの異常性を打ち消すような可愛らしいイラストが描かれていた。
「これは……バナナか?」
 峻佑がイラストからそう判断し、ちひろにたずねる。
「えーっと、これの名前は、黄色い魔神こと、バナナマスター08。またの名をバナナちゃんというみたいね」
 ちひろは本に記された文字を読んでその名を話す。
「おかしな名前だな。バナナマスターってのはまあわかる。バナナの親分みたいな形をしてるから。でも、08ってのは?」
 峻佑が笑いをこらえながらちひろにたずねた。
「08の理由? ご先祖さまが初めてこのバナナマスターの召喚に成功したのが、西暦1408年だったから、と記されてるわ。ご先祖さまが召喚で喚びだせる中では最強で、ここにも『伝説の召喚魔法』とまで記され、ご先祖さまでさえこの魔法を使ったのはそのときのたった1回しかないと書いてあるわ。その1回は戦争中で、召喚してわずか数分で敵方の軍を殲滅したそうよ」
 ちひろが説明した、そのとき。ズゴゴゴ、と地鳴りが起こり、本がぼんやりと光った。
「なんだ? この地鳴りは……本も光ってるし。それに、何か聞こえないか?」
 峻佑がつぶやいて、耳を澄ませてみると、
「…………バーナーナァァァァ!」
 遠くのほうから何かが唸るような声が聞こえた。と、そこに、
「お、お姉ちゃん! あ、あれ!」
 みちるが2階から転がるように降りてきて、2人に2階から外を見るように促した。
「…………」
 2階に上がり、窓の外に見えた‘それ’を見て、ちひろは言葉を失った。
 遠目に見える学校の校庭の真ん中に、およそ高さ6メートルはあろうかという、巨大なバナナの怪物が出現していた。
「な、なんなんだありゃ!?」
 峻佑は遠くに見える巨大バナナを指して叫んだ。
「あれは、この魔法書ほんに記されたバナナマスター08……なんでかわからないけど、バナナちゃんが召喚されたのは確かよ。とにかく、早くあれをなんとかしないと!」
 ちひろはそう言うが早いか、魔法書を抱えて家を飛び出した。それを追ってみちるも駆けていく。
「あっ、2人とも待ってくれ!」
 峻佑も慌てて2人の後を追いかけ、バナナちゃんが現れた場所――高校の校庭に向かうのだった。

 3人が高校の校門前に到着すると、周辺住民の野次馬が見つめる中、校庭の真ん中でバナナちゃんは座り込んで休んでいた。
「バァ〜……」
 よくよく見ると、バナナちゃんの眼前には巨大なコップが浮遊しており、ときおりその中身――バナナジュースのようなものを飲んでくつろいでいた。
「……巨大なバナナがバナナジュースって、共食いかよっ!」
 その光景を見た峻佑は声の限り叫んでツッコミを入れた。
「…………あわてて走って来たけど、そこまで危険な存在モノでもないのかな?」
 ちひろがつぶやき、3人そろってため息をついた。と、そこに何台ものパトカーが到着した。
「巨大なバナナのバケモノが現れたのはここですか……って、出たああァァ!」
 その中の1台から降りてきた警官が近くにいた住民に話しかけて確認しようとしたが、それより早くバナナの怪物バナナちゃんを確認し、パニックの叫び声をあげた。と、バケモノと聞いた瞬間、バナナちゃんの前に浮かんでいたコップが黄色い光とともに粉々に砕け散った。
「バーナーナー!」
 さらに黄色い光が連射され、校庭の周囲にある建物や電柱などが破壊されていく。
「あれは……」
 ちひろが魔法書を開き、バナナマスターのページを開く。そこに書かれた情報を目で追って、ひとつ頷くと、
「間違いない、あれはバナナちゃんの必殺技のひとつ、バナナレーザー08ね。書によると、全てを破壊する無敵の破壊光線とあるわ」
 冷静に分析してそう話した。と、そのとき。
「うわああああああ!!」
 さっきバナナちゃんのことを‘バケモノ’と言った警官の前にいつの間にかバナナちゃんがいた。
「なんだ、何をする気だ……?」
 少し距離がある峻佑たちは様子を見ていることしかできないでいた。と、警官が拳銃を抜いてバナナちゃんに向かって発砲しながら後退していく。しかし。
――ベロン!
 銃弾を長い舌で絡めとり、食べてしまった。
「ひいいいいいいい!」
 完全にパニックに陥ったその警官は拳銃を投げ捨て走り出す。対するバナナちゃんは動かない――と思った、次の瞬間。
――ベロン!
 長い舌が一瞬にして警官を捕らえると、パクッと飲み込んでしまった。
「げっ! 人を食べるのかよ、あのバナナ……」
 峻佑がつぶやいた、そのとき。
「あれは、伝説のバナナマスター08……!? うかつに手を出すとこっちがやられるわね。秋塚くん、急いで住民を避難させて、この辺一帯、ここを中心に半径5キロ以内を封鎖してちょうだい」
 別のパトカーで様子を見ていた刑事――榊 英里が部下に指示を出しながらやってきた。
「英里叔母さん!」
 ちひろとみちるが駆け寄っていく。
「ちひろちゃん、みちるちゃん。これはどういうことなの? 説明してちょうだい。あのバナナ――バナナマスター08は真野家一族に伝わる最強の召喚魔法よ。しかもあまりにも強力だから並の者じゃ呼び出せない。つまり、強い能力チカラを持ったあなたたちしか呼び出せるものは今はいないはずよ」
 英里は責めるような口調でちひろとみちるにたずねる。
「あたしたちにもわからないんです。この魔法書を開いて、実用的な魔法を探していたときに、バナナマスター08の項を見つけて、眺めていたらいきなりアレが出現したんですから」
 ちひろは英里に対して弁解する。
「そう……もしかして名をつぶやいたりしなかった?」
 英里はちひろにたずねる。
「…………」
 ちひろは見る見る顔が青ざめていった。
「どうやら名を呼んだのね。召喚魔法は私は扱えないけど、強大な魔力を持つものが名を呼べば現れると聞いたことがあるわ。まあ、出てきてしまったものは仕方ないわ。ともかくバナナマスターをなんとかしないと、被害者は増える一方よ。おそらく私たちの力じゃアレを倒すのは無理だから、なんとか召喚を解除して消すことを考えましょう」
 英里はそう言うと、周辺住民の避難誘導が終わった秋塚警部、それと十数名の交番勤務の巡査長、巡査クラスを集めて峻佑たちとともに作戦を立て始めたのだった。


ひょんなことから出現してしまった黄色い魔神ことバナナマスター08。
果たしてちひろたちはどうやってこの状況を切り抜けるのか?

以下、後編に続く!






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