幼なじみは魔法使い!?(15/55)PDFで表示縦書き表示RDF



今回は少々短めです。
次回以降の展開のつなぎであるため、ご了承ください。
幼なじみは魔法使い!?
作:須賀 隆太郎



VOL.15:もうすぐ体育祭


 5月。ゴールデンウィークも明け、峻佑たち1年生も高校生活にようやく慣れてきた。
 生徒会の件は一条たちが誠意を見せるために1年4組の教室に直接出向いて3回目のスカウトに来た際、
「オレ1人のためにそこまでしてくれて非常にありがたいんですけど、まだ入学して時間が経ってなくて実感が湧かないので、しばらく保留ってことにしていいですか?」
 峻佑も精一杯の誠意を見せた返答をし、
「まあ、まだ5月だからそれほどあせらなくてもいい。私やなつきなどの3年生が生徒会を引退するのは12月だから、それまでに結論を出してくれれば。前向きな結論を期待しているよ」
 一条たち生徒会メンバーは笑顔で峻佑に話して去っていった。
「期限は7ヶ月か。まあ、まだじっくり考えられるな。でも、正直あれだけのことでスカウトされるなんてなぁ」
 峻佑はため息をつきながら1人ボヤいた。


「えー、そういうわけで、2週間後の土曜日に竹高体育祭が行われることになっている。そこで今日のLHRでは各種目の出場選手を決めたいと思うのだが、クラス委員と体育祭実行委員で協力して決めてくれ」
 その日のLHRで担任の脇野が唐突にそんなことを言い出した。
「体育祭ね……そんな時期か。ってか、このクラス、クラス委員とかいたのか?」
 峻佑がボソッとつぶやくと、
「ひどいな、市原くん。ちゃんと決めたじゃない。まあ、私目立たないから仕方ないけど……小学生のときからずっと本当の名前を覚えてもらえずいつも‘委員長’って呼ばれてた。きっとここでもそうなるんでしょうね……」
 峻佑の独り言が聞こえていたのか、峻佑の後ろの席から女子が1人立ち上がり、教壇に向かいながらつぶやいた。
「こう言っちゃ失礼だけど、本当にまんま委員長なタイプだな……」
 峻佑が小声で言ったとおり、彼女の風貌は丸いレンズのメガネ、ツインのおさげ髪などなど、一般的にイメージされる「委員長」の要件を満たしていたのだ。
「そんでもって、体育祭実行委員は……この俺だ!」
 同じように立ち上がって教壇に向かったのは、耕太郎だった。
「なんだ、お前だったのか、コータロー。しっかり仕事しろよー」
 峻佑がハッパをかけると、耕太郎は「うるせえ、わかってら!」と怒鳴り返し、クラス内は笑いに包まれた。
「それでは、まず決めるのは男女100m走、障害物競走、借り物競争。その他にも、女子全員の綱引き、男子全員の騎馬戦。あれっ、最後のマル秘種目って? それに種目数自体も少なすぎる気が……」
 委員長は種目を確認し、黒板に書き出していったが、妙に種目の数が少ないことに気づいた。
「あれだろ、作者もいいトシだから高校の体育祭の知識が抜け落ちてるんだろ」
 峻佑が机で頬杖をつきながらボヤく。
「こら、峻佑! さらっと作者サイドの裏事情を暴露するな! マル秘種目の内容については当日の昼休みまで発表されない。場合によっては行われないときもあるらしい。ああ、それと各選手の個人種目へのエントリーは基本的に1人1種目だが、2種目以上エントリーすることも可能だ。ただし、そのうち1種目は障害物競走を入れることが条件だそうだ」
 耕太郎が素早く峻佑にツッコミをいれ、マル秘種目と全体的な補足説明を行った。

 その後、話しあいや各自の立候補などによって、各種目の出場者が決まり、峻佑は借り物競争、耕太郎は100m走、委員長は障害物競走、そしてちひろは女子の100m走と障害物競走に出ることになった。
「そういやさ、この体育祭って各クラス対抗なのか、それともなんか組み合わせて戦うのか、どっちだ?」
 峻佑が委員長と耕太郎にたずねた。
「えーと、一応今年は各学年の1〜4組が紅組、5〜8組が白組で3学年分合体して争うみたいね」
 委員長は手元の資料を見ながら答えた。
「ということはみちるとは敵同士になるんか……。わかった、ありがとう」
 峻佑は何を考えているのか、ブツブツと何か小声でつぶやいていた。

 一方、そのころの5組。
「え〜!? 4組と敵同士ってことは峻佑くんや姉さんと争うの……?」
 みちるもチーム分けのことを知って驚いていた。
「よし、これはいい機会だ。4組の市原を公の舞台でぶっ潰せる。お前ら、何が何でも市原をぶっ潰すぞ! 同志たる6〜8組の連中にもこのことは徹底させなくちゃな」
 川原が5組の男連中に念を押し、「おおー!」と気合の雄たけびが上がっていた。
「ずいぶん男子たち気合入ってるわね〜……頼もしいけど、動機が微妙ね」
「あ、あはは……」
 5組の女子たちは男子たちの動きを冷ややかな目で見つめ、当事者のみちるは乾いた笑いを浮かべることしかできないのだった。


「もうすぐ体育祭か。がんばろうな、ちひろ。みちるとは敵同士なのが残念だな。しかし、姉妹対決が実現したらいろいろな意味で大変なことになりそうだ」
 その日の放課後、峻佑はちひろたちと帰りながらそんなことを話していた。
「そうだね〜。でも、私、お姉ちゃんたちには負けないよ」
 みちるは峻佑の発言の半分ほどをスルーし、早くも宣戦布告していた。


 そんな3人を見つめる黒いカゲ――
「――見つけた。あれが次の獲物ターゲットの持ち主、真野姉妹だな……」


ちひろたちを見つめる黒いカゲの正体は何者なのか?
次回、VOL.16:襲撃者(仮) お楽しみに〜!

……高校の体育祭のことを思い出せないのはガチです。高校卒業からもうすぐ4年になろうとしている22歳なので。

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