不思議な森。黒い森。恐い森。綺麗な森。
輝く風の流れる森は、銀の輝きを孕み、そして黒を際立てる。
あるの? あるよ。
ないの? ないね。
いるの? いるよ。
いないの? いないね。
逃げることが出来たとは思えない。
だって森だもの。
黒い木は、何個も何個も銀の髑髏を抱え、何本も何本もそそり立つ。
一つの場所に、何本も何本も。
だから木々は斜めになって髑髏は地面を舐める。
湖に落ちそうになりながら、決して落ちることは出来ないの。
他の森は、そんなことにはならないのに。
変よね。変だね。
遠い遠い未来。ずっと後。この森は、木を増やすのをやめるだろうか。
髑髏を抱えた木は、どうなるのかな。
地面を舐める髑髏。湖に落ちそうになりながら、落ちることの出来ない髑髏。
銀の髑髏。
銀の風。
銀の輝き。
黒の木。
黒の空。
黒の森。
あぁでも。この森はきっとなくなるよ。
愚かな愚かな死神が、大きな鎌で……ほらほらほら。
森をどんどん狩って行く。
木が砕け、髑髏は地に塗れ、泉に落ちる。風は無くなり、森は消える。
愚者よ、愚者よ。
きみは気付いているのかい。
愚者よ。
あの森の、あの木の一本は君の母のもの。
あの森の、あの木の一本は君の父のもの。
あの森の、あの木の一本は君の愛した者のもの。
気付いているか、愚者よ。
風は安らぎ、森は居場所、木々は墓標、髑髏は人、湖は潤い。
地は戦場、破壊は死。
あぁ、愚者よ。
君は自分で全てを壊したね?
可哀相に可哀相。
いつになったらやめるのだい?
いつになったら止むのだい?
君は病んでいるのかい?
教えてくれ、愚者よ。
このココロを動かすに値する理由を。
黒と銀の世界のことを。 |