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第二章スタートです。ちょっと、長めかな。
素質ある者
作:はげまる



第二章 宣誓 1


幹事引き継ぎ前夜祭から1週間が経った。

もう3月に入って、いよいよ卒業シーズンも近付いてきている。
Bバレの卒業シーズン恒例の行事は、なんと言っても『引退試合』と『追いコン』だ。
今の4年生の、学生最後の試合。3月の後半の日曜日。4年間のサークル活動の集大成。
これまでのバレーボールの技術を、すべてその場においてくる。
もちろん、正規の大会であるから、他大のチームも来る。他大の4年生にとっても、この試合が最後なのだ。
だから毎年、引退試合はその練習からして気合いの入り方が違う。
その試合の打ち上げも兼ねて行われるのが、追いコンだ。

卒業する4年生の門出を祝うと共に、新3年生の役職発表もこの時に行われる。
一人ずつ挨拶があり、気の効いた事を言わなければならないのだが、ここに、その挨拶に気乗りしないヤツがいた。



部長が誠吾、副部長が惣ちゃん、会計が雄一、主務が和幸、で…、

「俺が掃除係かぁ…。」

有って無いようなポスト。人が汚したところを掃除して、出来てなければ俺が怒られる。
確かに、Bバレ大好きだし、役職就いても真面目にやろうと思っていたけど、私生活ですら出来ていない事だしなぁ。
私生活で出来てないなら、他で出来るわけがない。まして部室なんて、しょっちゅう飲み会開いて只でさえ散らかりやすいのに。

「ふぁ〜。何で俺なんだろう」

挨拶とかは嫌いじゃないし、むしろ上手い方だと称賛される事が多い。
飲み会の幹事の挨拶一つ取っても、物怖じしないところが買われて、頻繁に挨拶をさせられる。
ただ、上手くいくのは、やりたい挨拶の時だけだ。嫌だと思った時には即座に顔に出て、大したことも言えない。
それは、高校時代からそうだった。だから、気乗りのしない挨拶は出来るだけ避けてきた。
挨拶ってのは、その場の空気を更に盛り上げるための、スパイスな訳だ。
更に味を引き出すために入れるはずのスパイスが、こんな味気ない気持ちから生まれる訳がない。
「やっぱり伊川さんに、『出来ません』と断ろうかな」
そんな事を一人、練習前の部室で考えていると、ケータイが震える。

メールだ。

[2007/ 3/ 6 18:12
From:誠吾
題名:無題
本文:飯行こ〜ぜ!ちょっと相談したい事もあるしさ(;´д`)]

今、部室には俺の他に1年生が数人だけ。練習前の飯行くタイミングを見計らっているようにも見える。
誠吾に、とりあえず一回部室に来いと言う内容を打ち込み、俺はケータイをしまう。

「あんまり人来ませんねぇ」

勇作(ゆうさく)がおもむろに口を開いた。勇作は1年生。だが、1浪しているから俺とタメだ。
実は、小中高とも大介と同じ学校で、去年の4月に1年遅れではあるが、また同じ学校に入学したのだった。

「もう良い時間だし、しゃくれさん、そろそろ飯行きませんか?」

勇作は空気の読めるヤツだ。その言葉に、部室にいた他の一年生が同意し、行く支度をしている。

「先に行ってて良いよ。俺は誠吾を待ってから行くから」

誠吾が、『話がある』なんて珍しいことだ。
かと言って自分だけ単独でここを抜けようとしても、飯に行きたい1年生がいるから、何だかんだ言ってついてくるに決まっている。
相談事だって言ってたし、他のヤツに聞かれたくないだろうと思った俺の配慮だ。
そう言うと、1年生は、じゃあ、先に行ってますねと一言残して部室から出ていった。
誠吾からの連絡がいつ来るか、腹を空かせて待ってようと思っていたら、1年生と入れ違いに誠吾が入ってきた。

「お待たせ〜、おし、飯食いに行こうか」

…。タイミング的には最悪である。まぁ誠吾らしいと言えば誠吾らしいけど。
若干人払いしてた俺の努力も虚しく、結局は1年生と一緒に飯を食いに行くことになった。












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