来てる。
ベッドに腰かけて、頭を垂れてる私。
だって、この状態から頭を上げるのも面倒臭い。
頭が重くて。首に力が入らない。
第一、頭を上げたところで何がある?
今私の目に映るのは、髪の毛と埃がへばりついたカーペットと、いつまでたっても伸びない髪の毛。
顔をあげたら、そこには真っ白な壁があるだけなんだ。
鳴らない電話。
鳴らしたのに。
特に用事もないのに鳴らした。
色んなひとに。みんな出やしない。だけど誰かかけなおして来ても、出るのが面倒臭い。
誰と話しても満たされない。
話したら疲れる。
だって受話器から声が高くてうるさいんだ。
頭の中でエコーしてずっと消えないから。
眠れなくなる。
なんか、寂しいっていうのとは違うよ。
だって学校に行くと友達が沢山居てね。
その服可愛いね。痩せた?今日教室どこ?おはよう。バイバイ。
いっぱい居る。私が優しくした分だけ、みんなも優しくしてくれるんだ。
だけど私、頑張るのほんとはあんまり得意じゃない。
私、なんでこんな苦しいんだろ。部屋には誰も居ない。
誰もきてくれない。
だってみんなそんなに暇じゃない。
私だってほんとはいっぱい忙しい。すること沢山あるよ。
私、みんなと同じだよ。
授業受けて、バイトして。綺麗にお化粧して、流行りの洋服着て。駅まで颯爽と歩いて。時には誇らしくなったりして。
寒くなったね。
今年も駅前にツリー出たね。
なんでこんなに苦しいの。
なんで何しても満たされない。
なんで何しても息苦しくて。
なんで涙が出ないの。泣きたいよ。
泣きたいんだよ。きっと。
だけど、泣く理由なんてひとつも見つからない。
馬鹿らしいって頭の中で言う。言いたくないし考えたくもないけど、頭の中で。
明日も明後日も満たされないんだぞ。何かしたら満たされると思ってるのか?
ずっと苦しいままだぞ。
もっと、もっと体が冷たくなるんだぞ。
お前、生きていくしかないんだぞ。
死ぬなんて許さない。
そのうち声もかすれて出なくなるぞ。
お前、いつか歳をとって最期死ぬ時まで、イチミリも満たされないままなんだぞ。
洋服を馬鹿みたいに買いまくった。
化粧品、香水、雑貨、煙草、ブーツ、小説、CD、漫画。買いまくった。
私、綺麗でしょ。綺麗でしょ。
もっともっと、いっぱいにしなきゃ。
毎日飾りつけなきゃ。
クリスマスツリーみたいに。
バイト代、あと百円しか残ってない。だけどどうせ残しても意味ない。だからといって、使ったところでちっとも満たされない。
満たされないと知って、もっと苦しい。
面倒臭い。
一人で居ると死にそうなくせに、誰かと居るのは余計面倒臭い。
私、誰か居ないと笑えない。
知ってるよ、それぐらい。「あ、ごめん。寝てた?ただ暇だったからかけただけなの」
だけど笑うと顔の筋肉痛い。笑うのにも疲れてる。
体調が悪いわけでもないのに。
無意味に心臓、バクバクいってうっとおしい。
まるで体がずっと緊張してるみたいに。
枕のせいかと思って枕放り投げたけど、頭のグラグラ治らない。
電気消したけど、何も変わらない。隣の部屋から笑い声聞こえてくる。
みんな面倒臭くないのかな。
なんか夢の中みたいだな。宙を浮いてるのかな。
ため息が熱いよ。
なんで。
なんでかな。指先が冷たい。
冷たいのに、手のひらに汗が滲んでる。
拭っても、拭っても溢れてくる。
多分、私病気なんだろうな。
でも病院なんて行きたくない。
みっともない。
新しい洋服とか雑誌が床中に散らばってる。
着てみようかな、読んでみようかな、って考えるのも、もう辛い。
ふと窓の外に目をやると、遠くに駅前のツリーが光ってる。
普通になりたいな。
普通になりたい。
みんなみたいに。
みんなと一緒。
洋服を買ったら嬉しくて。
本を読んだら楽しくて。
カラオケではしゃいでゼロになって。
優しくされたら温かくなって。
そしたら、全てのドロドロが消えて綺麗になって、眩しいぐらいに輝いて、全部全部心の休まる毎日になるよ。
だけどひねくれた私。病院に行かなければ、かろうじて病気じゃない私で居られる。行ったら多分認めなくちゃならない。
雪が降ってる。
雪だ。今年一番の雪だ。
あれはいつの頃だったかな。
もう思い出せないな。
本当は無かったのかな。
大丈夫?
多分、大丈夫じゃないよ。
体の中、ドロドロした物で溢れてる。
頭痛なんてしたことないのに
「頭が痛いのかな?」
なんてつぶやく。
私、なにか楽しいことあったっけ。
楽しいこと。それってなんだっけ。
だって笑い方忘れたからね。
クリスマスツリーと雪なんてうっとおしいよ。私が頭おかしいみたいじゃない。
ねぇ。みんな知らないでしょう。
私のこと。
全然知らないでしょ。
私、こんな風な人間だよ?
後でこっそり笑うかな? |