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蝶になった蜘蛛
作:れいこ



その七


 パーン!
 蜘蛛は、今日も巣を飛ばしています。
 でも、それはすずめバチを退治するためではありません。
 すずめバチたちは、あの日以来、菜の花畑に来ることはありませんでした。
 「わー、きれい」
 「蜘蛛さん、すてき!」
 蝶たちは、羽をはばたかせて喜んでいます。
 蜘蛛は、蝶たちを喜ばせるために、巣を飛ばしているのです。
 それは、お星様、三日月にまん丸お月様、入道雲・・・、いろいろな形で飛んでいきます。
 そして、それが空に舞い上がると、お日様の光をあびてキラキラと虹色に輝くのです。
 それらは、蜘蛛が「黒い森」で暮らしていた頃は、決して見ることができなかったもの、おそらく、一生、見ることはできなかったもの・・・。
 蝶たちは、天気のいい日には、いつも蜘蛛のまわりに集まって、蜘蛛が飛ばす美しい巣を楽しく見つめていました。
 雨の日は、というと・・・。
 蜘蛛は、菜の花と菜の花の間に幾重にも巣をはって、蝶たちがぬれないように屋根を作ってあげました。
 その屋根の下で、蜘蛛と蝶たちは、歌を歌ったりお話をしたり、楽しくすごしていました。
 けれど、蝶の中には、どうしても蜘蛛と仲良くできない蝶もいました。
 アゲハ蝶のお兄さんもそうです。
 今日も、蜘蛛と蝶たちが、楽しく遊んでいるのを少しはなれた菜の花にとまって見ていました。
 そこへ飛んで来たのが、「黒い森」で一緒に蜘蛛の巣につかまっていたモンキ蝶。
 「おい、蜘蛛のやつ、いい気になってみんなと楽しそうに遊んでいるぜ」
 モンキ蝶が話しかけます。
 「ああ、蜘蛛のとなりで笑っている黒アゲハ、あいつもおれと一緒に蜘蛛の巣に捕まっていたんだぜ。それがなんだよ。あんなに楽しそうに・・・」
 アゲハ蝶のお兄さんは、いまいましそうに言いました。
 「おい、おれに考えがあるんだ」
 モンキ蝶が、アゲハ蝶のお兄さんに耳打ちします。

 
 












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