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She is
作:鳩梨



Their ways-5


Their ways-5

 今日は土曜日です。
 土曜日の授業は午前中だけで、午後は部活動や各々好きなことが出来ます。
 いつもなら私はキョウ様と『レ・ペタル』や花園でデートを楽しむのですけれど、このごろのキョウ様はいつも考え事をしているようで……。
 私が話し掛けるとその考え事を中断して私のほうに意識を向けてくれるのですけれど、そうでないときはいつも真剣な顔で考え事をしています。
 けれど、それに対して尋ねるようなことはしない。キョウ様は何時だってちゃんと話してくれる。今までだってそうだったし、これからもそう。
 私たちは午前中の授業を終えると、そのまま寮の自室に戻ってきた。キョウ様はいま、私の煎れたレディグレイを飲みながら、やっぱり何かを考えているみたいだ。
 そんなキョウ様のために私は簡単なお菓子を作ろうとしている。
 考え事をしているキョウ様のためにと甘いお菓子を作ってあげたいのだ。糖分は考えごとをする時には必要だろう。それに、キョウ様は甘党ですし。
 戸棚を空けるとチョコレートとコーンフレークスが目に入った。それを見て私は何を作るか決めた。即決だ。オレンジがあったかどうかを確かめる。……うん。一個だけだけど前に貰った奴が残ってた。
 私はチョコレートとコーンフレーク、オレンジ、バターに砂糖を取り出すと、鍋とおろし金を用意する。これで作る準備は万端。
 あとは、と愛用のエプロンを装備する。さあ、愛しのキョウ様のために作るぞ! そう気合を入れ取り掛かる。
 まずはオレンジを塩を使ってきれいに洗う。ワックスなどが使われていると良くないからだ。洗い終わるとチョコレートを細かく砕く。細かく砕けたらそれをバターと一緒に用意した鍋に入れる。鍋は底の厚いのを使う。薄いと焦げ付いたりするから大変なのだ。
 鍋を火にかけ弱火で溶かす。沸騰させるとバターとチョコレートが焦げてしまうので注意する。
 完全に溶けたところで砂糖を加える。そしてかき混ぜる。
 火を止めて、オレンジの皮をすりおろす。この場合使うオレンジは二分の一個。オレンジの皮をすりおろし終わると、スプーンでコーンフレークスと混ぜ合わせる。
 混ぜ合わせ、チョコとコーンフレークスが絡まると今度は、平らな場所にアルミホイルを敷き、スプーンでコーンフレークスを適当な大きさに纏めながら置いていく。
 後はもうそれを冷蔵庫で冷やすだけ。
「キョウ様。お茶のおかわりを用意しますね」
「うん。ありがと」
 ポットの中はもう空だったので茶葉を取り替えて煎れ直す。
 そうしていると、ちょうどいい頃合になったので、作ったお菓子と一緒にレディグレイを持っていく。
「キョウ様、お茶とお菓子です」
「わ。チョコだね。ありがとう、リン」
 私の作ったお菓子は「ローズ・ド・サブレ」という、簡単に言えばコーンフレークにチョコの味のお菓子。だけど、「ローズ」の名前の通り形は薔薇の花の形に似ている。そういう風にしているのではなく、自然とそんな形になるのだ。あくまでも似ているだけだけれど。
 キョウ様はサブレを美味しそうに食べている。成功のようだ。私も一つ食べる。……うん。チョコレートの味の中に僅かにオレンジの風味が出てる。即席の割に美味しく出来てると自分でも思う。
 私もキョウ様もコーヒーは朝だけと決めている。特に理由は無いのだけど、強いて言うのなら私もキョウ様も紅茶の方が好きだからだ。それに、コーヒーは身体にあまりよくは無いとどこかで聞いたことがある。……本当かどうかは知らないけど。たしか、胃によくない。
「リンはホントにお菓子を作るのが上手だね」
「ありがとうございます。けど、キョウ様のためなんですよ?」
「ふふ。うれしいよ」
 キョウ様はそう微笑むと美味しそうにサブレを食べていく。
 その食べ方がとてもちまちましていて、見ていると顔がほころんでしまう。かわいいですキョウ様。
 キョウ様は性質なのか、あまり食事を摂らない。小食と言えなくも無いがそれでも、摂る量が少ない。けれど、こう言った甘いお菓子は好んでよく食べる。偏食な子どもみたいに感じるときもあるけど、そうではない。キョウ様は本来食事を必要としないらしい。それでも食事をある程度摂らないといけないと言う。甘いものは好きだから食べるらしいけれど、それでもたくさんではない。精々普通の小食程度だ。
「ねぇ、リン」
 私は美味しそうにサブレを食べているキョウ様を眺めながらぽーっ、とそんなことを考えていた。だから、キョウ様がいきなりそう声をかけても反応が遅れた。
「……あ、はい」
「後で、ボクに付き合ってほしい」
 キョウ様は真剣な表情だった。なんだろう。いつもならわざわざそんなこと言わないのに。あえて私の確認を取らないといけないことなのだろうか。
 なんにしたって、私はいつだってキョウ様と一緒にいると決めている。キョウ様がどこかへと行かれるのなら、私もついていく。無論、ついてこないでと言われれば、悲しいけれどそれに従う。けどそんなことはまずありえない。ありえてもそれは、私はそうしたほうが良いというキョウ様の心遣いだ。
「わかりました。けど、どちらへ?」
 そう訊くと、キョウ様は若干苦い表情で
「被害者達の所」
 とだけ答えた。
 私はそれ以上は何も訊かず、食器類を流しにおいて出かける準備をする。
 出かけると言ってもこの学園の敷地内から出るわけでもないし、特別な準備をするわけではない。
 この学園。部屋の中では基本的に服装は自由にしていて構わないが、部屋を一歩でも出るとたとえ寮内でも、ちゃんと制服を着ないといけない。私もキョウ様も制服を乱していたのでそれを整えなければならないのだ。……何故乱れているかは秘密。
 被害者。そう言われて私が想像できるのは一つだけだった。
 キョウ様がなぜそこに行くのかはわからなかいけれど、何か意味があるのだろう。それもかなり深刻な。












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