第2話 悲劇は突然おこるもんだ
この門をくぐって早一ヶ月。落ち着いて考えたら、彼女とまともに話をしたのはほとんどない。というより、ペンを借りて、返してもらっただけ。少なくとも、彼女から見たらそれだけの仲だろう。
「はぁ・・・どーすっかな・・・」
そんな事を考えてブルーな気持ちになってるときだった。
「よお秀仁君。朝から誰か死んだみたいな顔してさ。」
「バカ言うなよ。」
そんな俺に気軽に話しかけてくるのは、中学からの知り合いの川瀬修哉だ。その前に自己紹介が遅れた。俺の名前は稲葉秀仁だ。何度も言うが、『元』不良だ。一応言っておくけど、川瀬は別に俺と同じではない。むしろ、僕と一緒にいるのがおかしいほどの真面目で、普通の人だ。
「しかしアレだよね。秀仁君はあおいさんと同じクラスなのにまだ一言も話してないって・・・・」
「だってしょうがないだろ。あおいさんがそこいるだけで、俺は息を止めてしまうんだぜ。コレを緊張といわないでなんて言う?」
「じゃ、バカってことでいいでしょ?」
「誰がバカだって、おい?」
俺が川瀬のブレザーの胸ぐらを掴んだときだった。
「おはよう。朝から元気だね。」
「「お・・・おはよぅ・・・」」
あおいさんが、一点の曇りのない笑顔を向けながら校舎へと入っていった。
「・・・やっぱり、お前から見ても、あおいさんって綺麗だよな?」
「それはそうでしょ。その辺の秀仁君の見る目はすごいと思うよ。」
『全く。無謀という言葉を知らんのか?アホめ』
「最後のアホってなんだ!お前の事やっぱいいヤツだと思った俺がバカだったぜ!」
「誰もアホって言ってないよ!とりあえず、ボク教室に行くから」
「待てコラ、逃げ・・・」
川瀬を追おうとした瞬間だった。
『まぁ、止まれヒデトとやら。』
俺は思わず止まってしまった。その声は、明らかに高校生のではなく、表現をするなら『仙人』ってイメージの、老けたような声だった。その声がどこから聞こえるのかが分からない。
「・・・誰だ。姿隠してないで出て来いよ。」
『落ち着け。今教えるから。』
その瞬間。俺の髪の毛が急激に引っ張られた。
「痛てててて!!誰だよ!・・・って誰もいないじゃん・・」
『自己紹介をしよう。私はカミだ。』
「・・・まさか俺の髪の毛のことじゃないよな?」
『少し違うな。私は、お前の髪の毛にいる『神様』だ、ということだ。』
「・・・・・・は?」
今どんな状況なんだ?誰か説明してほしい。
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