第1話 オープニング
人間というものは、必ずといってもいいほど一つの事に夢中、熱中をしている。それがスポーツとか読書とか音楽とか、勉強とか(少なくとも、俺の周りにはそんな人種は存在しない)。だがしかし。俺は違う。俺が今熱中しているもの。
それは・・・・恋だ!またの名を恋愛だ!話を言う前に一つ言っておこう。こんな話し方をしているが、僕は元々、いわゆる『不良』という人種だ。それを分かった上で聞いてほしい。
始まりは、とてもありふれたものだ。いや、こんな奴にとっては全裸で富士山を下山できたくらいの奇跡だった。
アレは、この高校の入試のときだった。
テスト中に俺は、シャーペンを落としてしまった。当然ながら、拾おうとしてもその行動がカンニングと見られてしまうのだ。予備のシャーペンも出したが、そのペンには芯が入っていなかった。得意科目の国語が出来なければ、俺は当然、この高校に合格などできない(できてもギリギリなんだが・・・)。まあとにかく、俺が途方にくれたときだった。
(ね、これ使う?)
隣から小さく聞こえてきた。ちょうど先生も居ないときだったから、僕は隣に首を向けた。その時、僕は思わず固まった。声をかけた主は、背中を軽く覆う程の髪、整った顔立ち、モデルのような外見の綺麗な女子だった。俺はしばらく動けなかった。
(早く。先生が戻ってくるから。)
あえてもう一度言おう。当時の俺は不良だ。髪だって赤に近い茶色だったし、全員の制服が夏服の中、俺一人が、冬用の学生服を着ている。そんな人間にこんなに綺麗で、優しい人が話しかけてきた。もはや、奇跡という言葉では軽い気がする。とにかく、俺は彼女から受け取ったシャーペンで、この高校に合格することが出来た(もちろんギリギリ)。
そして、俺は無事入学して、5月ごろに気付いた。僕は彼女に恋をしていることを。
そして現在。
髪も黒に戻して、不良を引退することを決意した。全ては、彼女のために。俺は、それらの決意がウソじゃないことを誓いに、神社に来ていた。俺は賽銭箱に五円玉を一枚入れた。
「これぽっちしかないけど、俺は不良から足を洗います。そして、彼女・・・椎名あおいと・・・こ・・交際させてください。」
・・・思わず声に出してしまった。まぁ、決意表明ということでいいだろう。
「・・・さて、行くか」
桜が並ぶ神社に背を向け、僕は彼女に会いに学校へ行った。
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