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異世界お好み焼きチェーン ~大阪のオバチャン、美少女剣士に転生して、お好み焼き布教!~【改題しました】 作者:森田季節

6章 大阪のオバチャン、京女と出会う

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25 大阪のオバチャン、王都に着く

 ハルナはナタリアとともに王都に向けて、出発した。移動は馬だ。
 なお、ハルナが乗った馬は暴れ馬として有名だったらしいのだが――
「ヒヒン、ヒヒ~ン……」
 今は弱々しい鳴き声とともにハルナに従っている。

 最初、馬はハルナのほうを睨んできたのだが――
「お前、何、ガン飛ばしてんねん! 馬やからって調子乗っ取ったらしばきまわすで。なんやったら今、蹴ってみるか? そっちの足が折れ曲がっても知らんぞ!」
 とハルナが睨み返したら、力の差を感じたのか、すぐにおとなしくなった。

 ハルナは基本的に善良だが、露骨な敵意を向けてくる存在には容赦しないのだ。
 なお、これはかなり多くの関西人に共通していて、たとえば東京に住んでいて、ふだん標準語なのに、キレた時だけ関西弁に戻る関西出身者もいる。

 関西弁は戦闘スタイル向けなのだ。だいたい標準語でキレるより関西弁でキレるほうが怖い。関西人が少ない地域(たとえば東北)だと、関西弁で話しかけられるだけで怖いという人もたまにいる。

 なので大阪のオバチャンだったハルナが冒険者をやっているのはすこぶる正しいのだ。
「そういえば、王都とか王国とか言うてるけど正式名称って全然知らへんなあ」

「え、マジで言ってるの? ちゃんと覚えなさいよ!」
 ナタリアが簡単に説明した。

 ここはタイドール王国で、今から向かうのは王都ヴァン・タイドールだ。
 王国はかなり大規模な島国で、隣接している国はないが、各地域はいろんな領主がそれぞれ治めているので、庶民からするとあまり一国というイメージもない。日本の江戸時代に少し似ていた。

 モンスターもはびこっているが、とくに一般人の生活に問題は生じていない。魔王の大軍と決戦だなんてことはこの五十年起きてないという。

「なるほどな。平和なんはええことや」
「あなた一人で平和ぐらいぶち壊せるけどね……。ところで、あなた、やけに荷物多くない?」
 ハルナは相当ふくれた袋を馬にくくりつけていた。

「予備や、予備。備えあればうれいなしやで。あと、食材冷やすんもありがとうな」
 中に氷が詰まっている食材用の袋もあった。ただ、大半はお好み焼きと関係ない食材だ。
「そもそも現地調達すればいいんじゃないの?」

「ほとんどはそのつもりやけど、調達の難しいもんもあったからな」
 丈夫な馬で旅をしたので、馬のための休息もあまり必要とせず、二人は四日で王都ヴァン・タイドールに着いた。

「へえ、なかなか栄えてるなあ」
 王都は王国北部の内陸にある都市だが、北部の港から朝に馬で飛ばせば昼過ぎには着く程度の距離なので、市場には海産物もなかなか多い。

 市場には生きたカニを売っているところまである。
「おお、道楽しとるなあ、道楽しとるなあ」

 ハルナとしては何か思い出してなつかしいらしい。
「あそこにはフグも売ってるやん! ああ、いろいろ思い出すわあ!」
 なぜか大阪人は昔からフグをやたらと食べる。

「その魚は調理を間違えると毒で死ぬらしいけどね。あなたなら、多分その程度へっちゃらだろうけど。……それにしても、あなた、泣く子も黙る大商人でもあるはずなのにおのぼりさん丸出しね」

 今日もナタリアのほうはクールに振る舞っている。
「だって、旅行やん! 楽しまんともったいないで!」
 大貴族ヤコマイー家に出向くのは翌日だ。今日はゆっくりしていい。

「よし、せっかくやから、この土地の料理を食べていこか。ナタリア、レストランみたいなのがあったら案内してや」
「案内してって言ってるなら、先に先に歩いていかないでよ! はぐれるでしょ!」
 むっとしたのか、ナタリアの尻尾がちょっと太くなった。

「その時は声出して、ナタリアどこーって言ってまわるから」
「そんな恥ずかしいこと、絶対させないわ!」

 その日は昼からハルナはいろんな店に入って、食べて、食べて、食べまくった。
「ふうん。事前に調べはしてたけど、王都の料理は鶏肉をよう使ってるな」
「そうね。それでスープを取ることも多いわ。それにしてもよく食べるわね……」

 ハルナはすでに三軒目の店に入っていた。もう、ナタリアは何も注文していない。
「味は薄めやな。王都だけあっていろんな香辛料が入っとるようやけど、濃い味で押す料理とは違う」

「言われてみればそうね。王都は貴族がたくさん住んでいるから、昔からいい素材の味を楽しむ文化があるのよ」
「そこはちょっと京都っぽいな」

 ハルナは何か考えている。純粋に食べることだけ楽しんでいるのではない。
「よし、もう一度、市場歩くわ!」
「え、また?」

 ハルナは鶏肉や豚などを扱う店に目を光らせる。
 ナタリアはいつのまにか案内役から連れまわされる役に変わっていた。

「うん、さすが王都やな。ええ素材を扱ってる。お金出せばええもんが使えるってわけや」
「あのさ……なんでそんな真剣に見てるの? 明日のお好み焼きと関係ないでしょ?」

「絶対に貴族の舌を満足させたるわ。わざわざ出向いてきて、はい、負けましたなんてことになってたまるかい!」
「あなた……そんなに気合入れてたの……?」

 ハルナは豚肉や鶏肉を扱っている店の店員に金貨を差し出していた。
「この豚肉と鶏肉、それと骨もちょうだい」

 もともと多かった荷物がさらに増えそうだ。
 そのあと、ハルナはキャベツとネギを購入した。これはお好み焼き用のものだ。

 ちなみにねぎろうとしたので、ナタリアが止めた。
「ナタリア、今日買った分も魔法の氷で冷やすか冷凍しといて」
「いいけど、もしかして、これのために私、呼ばれたの……?」
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