黒猫縦書き表示RDF


作中に未成年者が喫煙する場面がありますが、未成年者の喫煙は法律で禁じられています。煙草は20歳になってから。
黒猫
作:月夜見



 爽やかな初夏の朝だったが、僕は寝惚けていたようだ。
 「お早う、御堂創君。我輩は見ての通りの猫である。もっとも、かの文豪がその小説に取り上げた偉大なる猫ではない。ただの猫、である」
 声の主を見たら、小さな黒猫が後足で立ち上がっていた。前足を腰に当てているところは偉そうにしているようにも見える。非現実的すぎる。幻覚を見てしまうような精神状態なのだろうか。
 「これこれ、貴君には重大な事を言わなくてはならんのだ。待ちたまえ。これは空想の産物ではあるが、貴君の世界では現実と同じ意味を持つのだよ。ほれ、我輩の話を聞きたまえ」
 無視して歩こうとしたら呼び止められた。何となく嫌な予感。
 「では話を続けよう。この世界は現実の貴君が造り出した幻の世界なのである。この我輩も、町も貴君の友人までもが、幻なのだ」
 「何を言っているのか分からないぞ」
 「結論を言おう、貴君はもうすぐ消滅する。予想では、この世界で言うところの三日後である」
 どこかで聞いたような設定だな。
 「左様、この世界を造り出した張本人である貴君が、いや、貴君の本体が、過去に集積した知識を総動員しているのでな。小説やドラマを切り貼りしておるのだ」
 もう少し夢の続きを見るとするか。
 「一つ質問だ」
 「聞こう」
 「君は僕の本体がこの世界を造ったと言った。でも、僕が、消滅するとも言った。整合性が取れていないが」
 黒猫はどこから取り出したのか、ゴールデンバットを美味そうにふかしていた。
 「それはな、ここがユング心理学で言うところの集合的無意識の支配下にあるからなのだ。つまり、この世界は貴君が造り出しておるが、他の誰かもそれに加担しているという事だ。そして、貴君には非常に酷だとは思うが、ある人物の無意識がこの世界を侵食しておる。それは怒りと焦りと悲しみに包まれ、貴君を標的にしておるのだよ」
 狙い撃ちですか。
 「その通りである。相手は標的を完全に捕捉した。後は実行に移すだけである」
 死刑宣告かよ。

 力が抜けてしまった。近くの公園のベンチに座り、猫から煙草をもらった。
 「非常に言い難い事ではあるが、言うてしまおう。残された三日間を悔いの無いようにすごしたまえ。貴君の消滅は決定事項であるのでな」
 「呆れた話だ。いくら夢だと言っても、細かすぎないか? 集合的無意識の支配下にこの世界が有るとして、僕が消滅するとしたら、本体はどうなる? その集合体から離脱するのか?」
 彼は煙を吐き出して、顔をしかめた。煙が目に沁みたのだろうか。
 「貴君の言う通り、集合体から離脱、つまり、死ぬ」
 「理由は?」
 彼は悲しそうな顔をした。猫の表情が分かるのだから、夢に決まっている。
 「・・・ある女性が貴君と心中を図るからである」
 「は? 心中? そんな、本体はいくつなんだよ。そういう年代か?」
 猫は器用に吸殻を揉んでばらばらにした。そして、こう言った。
 「貴君の本体は、今我輩の前にいる貴君と同じ十八歳である。本来であれば高校三年生になったところでもある。貴君のいる世界の設定は、本体が過ごしていた現実世界とほぼ同じ設定なのだ」
 とすると、現代日本、つまり西暦二千年を過ぎて数年経っているわけか。
 「なぜ心中を?」
 「それはな、貴君は本来であれば身動き一つ、いや、思考そのものもできない状態なのだ。それを悲観したある人物が、思い余って心中するのである」
 誰もいない公園のベンチで煙草をふかす一人と一匹。他人が見たら同じように夢だとしか思わないだろう。
 「身動きできず思考できないとは、・・・植物状態か」
 「左様、本体同様に頭の回転は速いの。物怖じもせぬし、目の前の事実を受け入れる努力をしておる。面白い男であるな」
 「そんな事はどうでも良い。そうなった理由と、心中の相手は?」

 猫と別れてから、ぼんやりと学園にやってきた。猫の言葉が頭の中で木霊した。
 「あ! お、遅かったじゃない、ど、どうしたのよっ!」
 一時間目が終わってから教室に入った。すぐにあの子の声がした。
 澤宮薫、生徒会会長にして学園一の人気者。絶世の美女でありながら、気さくで明るく元気溢れた明朗快活な性格の持ち主だ。多くの男子生徒の劣情を掻き立てている。スタイルはもちろん抜群だ。天命神道流と言う古武術の道場の娘だ。ちなみに僕もその道場に通っている。が、通い始めたのは高校生になってからだ。動機はいたって不純。そう、篠宮薫に会いたいがためである。彼女は直系の割に稽古をサボる傾向が強く、実力はそれほどでもない。とは言ってもほとんどの門弟は勝てないのだけど。
 彼女は窓際の列の最後尾に座っている。僕は彼女の左側、つまり窓から二列目だ。よく外を見る振りをして彼女を見ている。
 もう言わなくても分かると思うが、篠宮薫こそ僕の大好きな、片思いの女性である。
 告白はしていない。踏み込んでしまったら、今の関係が壊れてしまうような、嫌われてしまうような、そんな恐怖を感じるからだ。意気地なしと笑われてしまうけれど。
 ともかく、誤魔化して席についた。すぐに二時間目の授業が始まる。
 ぼんやりと考えた。あの猫が言った通り、奇妙な事が多すぎた。夢と現実の狭間のような不思議な経験をたくさんした。それも、命懸けだ。

 転校生に殺されそうになった。
 その亀谷と名乗った女はやけに美人だったが、僕を見つけて不気味に微笑んだ。それは周囲に見せた微笑とは異質のものだった。
 昼休みに、彼女を取り巻いていた女子の一人が寄ってきた。
 「御堂君、亀谷さんが屋上に来てくれって。告白されちゃうの? 転校初日に恋をさせたのね? 相変わらず罪作りな男ね」
 意味不明であったが、言われた通りに屋上に向かった。既に彼女は屋上で待っていた。普段は生徒がたくさんいる屋上が、なぜかそのときは無人だった。
 「御堂創君、あなたには何の恨みも無いわ。それどころか、この身も心も捧げたいくらいに愛しいわ」
 「それはどうも」
 「でもね、止むに止まれぬ事情と言うものが有るの。彼女が踏み切る前に、私が何とかしなくちゃいけないのよ」
 彼女の背中で陽炎のようにゆらゆらと空気が光った。冷や汗が流れた。道場で師範に感じるような重たい空気と陽炎だ。
 「悪いんだけど、ここで死んで頂戴。大丈夫よ、苦しまないから。ああ、あなたは苦しむのかも知れないけど」
 彼女はそう言って殴りかかってきた。
 「はぁっ! たっ、りゃっ、はぁっ!」
 細く艶かしい肢体から繰り出される拳と蹴りは、空気を切り裂き、校舎を壊した。
 「おいっ! 良いのかよっ、校舎が壊れてんぞっ!」
 「良いのよっ! 細かい事は気にしないで死になさいっ! でゃぁぁぁ!」
 彼女が右ストレートを打ち終わったのを見計らって、左足を踏み込んだ。綺麗な顔がすぐそばに見えた。思わず欲情したのは内緒だ。不謹慎だろ?
 ともかく、彼女の美しい右脇腹に左拳を当てて、息を吐いた。
 「グハァァァッ! さ、さすがに、つ、強い・・・、ゴフッ・・・、わ、私を倒さないと、けふっ、いつまでも、終わらないわよ。し、心配は、しなくても、いいの・・・。死なないから、何をしても、私は死なないの・・・。消えるだけだから、遠慮しないで」
 「意味不明だぞ。内臓が破裂したかも知れないんだ。その拳を開いて病院に行こう。一緒に行ってやる」
 「・・・優しいのね。でも、それが命取りよ。・・・タァァッ!」
 鋭い蹴りだ。スカートが捲れて白い下着が見えた。嬉しいような悲しいような。
 「うーん、シルクだね。戦いながら感じちゃ駄目だよ。大事なところが濡れているぞ」
 「ばかぁぁぁっ! 恥ずかしい事を言わないでよぉぉっ! そんなキャラじゃないくせにぃぃっ!」
 「いや、僕はそういうキャラなんだよ」
 彼女は攻撃をしながら不思議な事を言った。
 「そ、そうだった、わねっ! まったくっ! 強くて頭が良いところだけ同じでっ! 性格は正反対だなんてっ! はっ! お笑いだわっ! 死ねっ!」
 怒っているのか、攻撃が粗くなった。左ハイキックをダブルで繰り出してきて、右足から重心を移動させた。タイミングを合わせて踏み込んで、鳩尾に拳を突き込んだ。できることなら違う場所に違う物を・・・、いや、まあ、あれだ。
 「グゥッ・・・、ゴホッ・・・、し、失敗・・・、か」
 彼女はそう言って崩れた。そして、消えた。
 思わず目を擦った。夢を見ていたのだと思った。校舎も壊れていないし、襲い掛かってきた美女もいない。ただ無人の屋上に立っていたんだ。
 教室に戻っても、転校生など誰も知らなかった。寝惚けたのかとからかわれた。
 事件はそれだけじゃない。

 同級生にも襲われた。愛する彼女の友人である長嶺由紀子が厄介だ。
 「では御堂。三回目だが、今日こそ死ね」
 「またそんな綺麗な顔に似合わない冗談を。欲求不満なら違う方法で解消できるだろ? 何なら手伝うぞ。ベッドの隣を空けておけよ」
 「・・・どうして性格が変わるのか。こうありたいという願望か? ムッツリスケベだという事か」
 「生憎と僕はムッツリじゃない。オープンなスケベだ」
 鼻先を鋭い蹴りが通っていく。
 「危ないな、当たったらどうするんだ」
 「当てるつもりでやっているんだ。避けるな」
 「そう言われても。うん、水色かぁ。濡れているのがたまらなく良いね」
 見とれていたらヤバかった。鳩尾に彼女の小さな拳が入ってきた。
 すぐに右手で腕を押さえ、身体の外に捻った。彼女の小柄でスレンダーな肉体が転がり、そしてすぐに起き上がった。
 「うーん、ブラも同じ色かぁ、そそるなぁ」
 「ばか者っ! 死ねっ!」
 突き出してきた左腕を掴んで前転させた。地面に大の字になった彼女の鳩尾に拳を当てようとした。
 世界を閃光が満たし、真っ白で見えなくさせた。
 「・・・御堂? 人の胸を見つめて涎を垂らすな。みっともないぞ」
 敵の言葉と共に世界が戻ってきた。確かに目の前に少し小振りな胸がある。涎も垂れているな。いや、お恥ずかしい。
 「何も身につけていないと余計に嬉しいぞ。脱いでよ」
 「ばか者、薫にばらすぞ」
 「いやあのそのあう、あのその、・・・何卒ご容赦を」
 笑われた。ショートカットのきつい顔した女だが、笑うと可愛いんだ。隠れファンが多いそうだ。
 夢だとしか、幻覚だとしか思わなかった。

 去年の夏、仲の良い連中と海に行ったときも異変は起きた。誰かの父親が持っているとか言う別荘に皆で泊まった。楽しかった。二泊三日の予定で、一泊目は無事に過ぎた。いや、彼女の水着を堪能し、夜はチークダンスと称して抱き合う事もできた。男とも抱き合ったのは最低の思い出だが。
 二日目の夕方だった。
 「ねぇ、創? 夕日が綺麗なんだって、見に行きましょうよっ? ほらっ!」
 手を握られて、海岸へ向かった。夕日よりも君のほうが綺麗だとは、さすがに言えなかった。他の女には言えるんだけど。
 着いたところは断崖絶壁だった。手すりを乗り越えて、端までかなり距離がある芝生に二人で並んだ。
 「ほらぁぁーっ! きっれぇぇいぃぃーっ! ねっ、どぉう?」
 「う、うん・・・、綺麗だね」
 「でしょでしょ? 良かったねぇ」
 暫く二人で夕焼けを眺めた。遠くを見る彼女に目を奪われていたのは言わなくても分かるだろう。
 暗くなってきて、別荘に戻ろうとしたときに、それが起きた。
 急に風が生暖かくなって、雷鳴が轟いた。風が強くなり、雨が二人を襲ってきた。なぜか地震も起きた。
 足元が軽くなった。彼女の顔が上に見えた。崖が崩れていたのだ。慌てて手を伸ばして、崖を掴んだ。そして、叫んだ。
 「早く逃げろっ! 崩れるぞっ、薫っ、逃げろっ!」
 思いもしない事が起きた。あれは泣きそうなくらいに悲しい出来事だ。
 彼女のトレーニング・シューズが、崖に少しだけ懸かっていた指を踏みつけてきたのだ。彼女は泣きながら踏んでいた。
 「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ! こうするしか無いのぉっ! 私もすぐに行くからぁぁっ! お願いっ! 手を離してよぉぉっ!」
 「ばっ、ばかっ、止めろっ、パンツっ、見えるぞっ、わっ、わっ」
 そう言ったのに、彼女は泣くのも指を踏みつけるのも止めなかった。逆に踏みにじるように足を動かした。
 いくらなんでも、耐久力や持久力には限界と言うものがある。
 「うわぁぁぁぁーっ!」
 指が外れた。そして、自分が浮いたのが分かった。覚悟して目を閉じたら、暖かくて柔らかい感触がしがみついてきた。
 目を開けたら、何事もなかった崖の上で、彼女と抱き合っていた。
 「やっぱり、できない・・・」
 ポツリと漏らした彼女の言葉が、凄く辛く感じた。
 さっきのは夢だ、二人きりで舞い上がって見てしまった悪夢だと、そう思い込むようにした。それで、彼女にはこう言ってみた。
 「できないって? じゃあ、エッチは我慢するよ。キスとペッティングだけで良い」
 予想通り、彼女はこう反応した。
 「え・・・? なぁんでそんなにスケベなのよぉぉおーっ! 死ねぇっ!」
 さすがに天命神道流古武術直系、白くて小さなパンツがミニスカートから見えるのも構わずに踵を脳天に落としてきた。気を失う前に、急いで目に焼き付けたのは言うまでも無い。

 あの猫の話と符合している。
 「貴君の存在が、ある人物の負担になっているのである。無意識に排除し始めておる。その人物が誰であるかはもう分かっておろう? そう、篠宮薫である。貴君のそばにおる篠宮薫は最近冷たいのでは無いか? 記憶しているような、明るくて優しい女性ではなくなっていないか? 君だけに冷たくは無いか? それを隠そうと無理に笑いかけていないか? 誰かに攻撃されていないか? 天変地異は起こらなかったか? 命を狙われていないと言い切れるのか?」
 これが夢で無いと誰が言い切れるだろうか。この世界が間違いなく現実であると、誰が言い切れるだろうか。絶対など有り得ない。猫の主張が正しいと仮定しよう。確かに符合している。彼女はとても冷たく、話しかけてきても硬い表情で硬い言い方をする。周囲は敵意を剥き出しにしている。道場に行けば誰もが殺すつもりで懸かってくる。最後に行ったときは、稽古に来ていた五人の門弟と師範が木刀を持って向かってきた。そのとき殴られた背中は、まだ少し痛む。
 今は一人ぼっちだ。本体と称する存在もそうらしいから面白い。
 残り三日の命。僕が消滅するのは決まっているそうだ。本体が死ぬから僕が消滅するわけだ。逆に、僕が死ねば本体が死ぬわけだ。いずれにしても死ぬわけか。
 そして世界がそれを望んでいるのだ。
 あの不思議な猫はこう言った。
 「悔いの無いように過ごすが良い」
 後悔しない人生なんて有るのか? それに、親も兄弟も親戚もいない天涯孤独の身の上で、これ以上の何を求めろと? ただ漠然と生きて、ただ漠然と死んでいくだけなんじゃないか?
 彼女に何も言わずに死んだとして、それが後悔に繋がるのか? 望んでいたのは深い結びつきだ。身も心も繋がって、永遠に離れない、ずっと一緒にいる関係を望んだんだ。それはほぼ間違いなく、もう叶えられない。猫が言うところの三日後、つまり金曜日の夕方には死んでしまうからだ。彼の主張が正しければ、その通りになる。そして、僕はそれが正しいと仮定し、状況証拠では有るが、検証をしてしまった。
 「ど、どうしたの? ぼ、ぼんやりしてさ。ひ、昼休み、だよ?」
 気がつくと、表情の硬い彼女の顔がこちらを向いていた。以前は目の前でそう言ってくれたのに、今では遠くからだ。しかも、周囲は今にも襲い掛かってきそうな怖い顔をしている。
 「・・・帰るよ」
 鞄を持って立ち上がる。誰も何も言わない。憎しみの篭った目で監視しているだけだ。あれだけ仲が良くて、一緒に馬鹿騒ぎもして、毎日のように遊んでいたのに。
 
 帰り道で、ふと気がついた。
 心中するのだとあいつは言った。結果は聞いていない。こっちが死ぬ事は間違いない。じゃあ、彼女は? 心中だけに彼女も死ぬのか? 負担を感じたまま、僕を殺して自殺するのか?
 「・・・それはまずいでしょう。いくらなんでも」
 公園のベンチで独り言を言ったら、横から声がした。あいつだ。
 「貴君の言う通りである。篠宮薫は貴君を殺害せしめ、それを充分に確認した後、縊死するのである」
 「よりによって首吊りかよ。美しくない死に方を選ぶんだな。困った女だ」
 猫は苦笑した。
 「それはともかくとして、詫びを言わねばならん」
 「・・・期限が繰り上がったか」
 「うむ、今日から明日に変わる頃が期限となった。この世界が大きく歪んでおる。その歪みを修正するために貴君と篠宮薫が排除される事になったのである」
 溜め息をつくしか無い。
 「どっちか片方なら、修正は小幅で済むのか?」
 「うむ、そのはずである。しかし、世界の歪みは看過できぬところまで来ておる。いわゆる超常現象や宇宙人の類がこの世界で暴れる寸前なのだ」
 「意味不明だぞ。・・・それを敢えて口にしたという事は、彼女が危ないのか」
 猫は泣きそうな顔で頷いた。
 「左様。篠宮薫はそうした存在に命を狙われておる。恐らく、助けられるのは貴君だけであろう」
 「やれやれ、本体も僕も運の悪い星回りだな。ま、どうせ消えるんだ。安直なヒロイズムに浸って消えるのも悪くないかもね」
 煙草が差し出され、素直に受け取った。百円ライターで火を点けてもらい、煙を肺に入れた。ゆっくりと吐き出すと、煙は穏やかな風に揺られて消えた。
 「・・・場所と時間は分かるか?」
 「学園、午後七時の予定である。篠宮薫は生徒会における雑務と称して居残るはずである」
 のんびりと煙を楽しんで、空を見上げた。どこまでも続いているような、現実のような現実で無いような、そんな気がした。
 「鬼が出るか蛇が出るか・・・。ま、屋上ででものんびりと待つかな」
 猫は既に消えていた。

 空腹を抱えて、学園の屋上でぼんやりと寝そべる。風に流されていく雲を見ていると、自分の存在と言うものがあやふやになる。いや、もうなっているのだけど。
 放課後になった。
 部活に参加しない人間はさっさと帰っている。グラウンドから野球部やサッカー部の掛け声が聞こえてくる。徐々に暗くなる空が僕の上に覆い被さってきた。向かいの校舎にある生徒会室に灯りが燈っている。少し前までは僕もあの部屋にいた。なぜか書記にさせられ、様々な雑用を言いつけられたものだ。もちろん、彼女がそばにいると思うだけで退屈な仕事が楽しいものに変わっていた。でも、それは短かった。徐々に周囲の目が憎しみと敵意に満ちて、仕事もなくなり、彼女もこちらを見なくなった。
 それを思い出すと胸が締め付けられる。楽しかった記憶と辛かった記憶がどちらも蘇ってくる。生き残った意味や生きている意味を、信じて、そして、信じられなくなった。
 いつの間にか暗くなっている。携帯電話の液晶を見た。あと十数分で午後七時。

 突然の爆音に耳を疑った。
 「なぜヘリコプター? しかもCH−47チヌークだぞ。・・・ロープ? ラペリング? やっべ! 拙い!」
 向かいの校舎の上空でホバリングするチヌークからロープが垂れていた。宇宙人とか巨大ロボットを予想していたのに、特殊部隊とは。慌てて走る。ロープから黒い影が滑るように降りてくる。部屋の電気は消えている。廊下を歩いているのか?
 渡り廊下を走り、生徒会室のあるフロアへ駆け上がる。窓の外に黒いロープ、黒い影、そして目の前に、彼女の姿。
 「え? ど、どうしたの?」
 「伏せろっ!」
 彼女に覆いかぶさるようにして伏せた瞬間、ガラスを破る音と乾いた破裂音がした。暗い廊下を這い、廊下の角に隠れた。
 「何なのよ、これっ!」
 「騒ぐなっ、そっちの非常階段から逃げろ。お前を狙っているんだ、早く逃げろ。ここから逃げられれば、二度と追われる事は無い。急げ」
 「創はどうするのよっ」
 「うるせぇ、早くしろ」
 いきなりフラッシュライトが照らしてきた。踏み込んで銃身を右手で押し下げ、左手を顎に叩き込んだ。崩れる男のポケットを探ってコンバットナイフを出した。他の連中は警戒して動きを止めていた。それはこちらにとっては有利な事だ。
 「急げよっ」
 「いやっ、一緒に逃げてっ」
 「ちっ、ほら、行くぞっ。頭を下げていろっ、窓に映ると撃たれるぞ」
 二人で姿勢を低くして走る。廊下の端にある非常階段に取り付いて、鍵を開けた。ドアを開けようとして、嫌な予感がした。目の前でドアを開けようとした彼女の襟首を掴んで後ろに放り投げた。
 ドアが開いた。もちろん、誰かが開けたんだ。スローモーションだ。黒い影はMP5を構え、そしてトリガーを引いた。
 なぜかすぐ後ろにも黒い影がいた。いくつも。
 小さなショックが僕の体を襲った。空薬莢がいくつも床に落ちて軽い金属音がした。それは絶え間なく永遠に続く気がしたが、すぐに終わった。
 ショックが終わると、奴等は消えていた。痛くは無いのだな、熱いけど。
 「い、今の、な、何なのよ・・・。え? つ、創? そ、それって、血?」
 「・・・そう、かな」
 「な、何で・・・?」
 「・・・撃たれたから」
 「ど、どうなるの?」
 「・・・まあ、それなりに」
 「し、死んじゃうの?」
 「・・・そうだね」
 「何で? 私の、代わり? 私が狙われているって! 創、そう言ったじゃない! 何であんたが撃たれてんのよぉ!」
 「・・・どっちか、だから」
 「え?」
 「・・・だから、僕、なのさ」
 「え?」
 「・・・君は、生きて」
 「そんなっ! 一人じゃ嫌よぉっ!」
 「・・・皆が、いる」
 「嫌ぁっ、創がいないと嫌よぉぉっ!」
 猫の声がした。
 「・・・そろそろ、行くかね?」
 「そうだな、痛くないのが不思議だけど、いつまでも話をするわけにもいかないだろ。薫、今まで楽しかった。ありがとう、君のおかげだ。僕はこの世界から消滅する。死ぬんじゃない、消えるんだよ。だから、気にしないで。僕は幻さ、長い長い夢の登場人物なんだよ。じゃあね」
 彼女の驚く顔が見えた。
 「そんな・・・、消えていくわ・・・、消えないでっ、消えないでよぉぉっ!」
 そんな我侭を言うなよ。
 ありゃ、声も出ないや。ま、仕方ないか。運の悪い人生だったなぁ。



 篠宮薫は、不思議な夢を見て目を覚ました。見回してみると、自分のベッドであり、自分の部屋である。壁に貼ってあるカレンダーや、大きく引き伸ばした彼の写真が見える。
 「はぁぁーっ・・・、何だったんだろ。創が撃たれて死んじゃう、ううん、消えちゃう夢なんて、嫌だなぁ・・・」
 彼女はそう呟いた。嫌だとは言ったが、その言葉とは違う事を実行しようとしていた。彼女は枕もとの時計を見て、頷いた。その表情は硬く、強張っていた。
 彼女は暗い色の服に着替え、何かの入っている袋を持った。そして、静かに家を出た。
 町はまだ起きていた。酔ったサラリーマンやOLがふらふらと歩き、おかしな目つきの少年たちが道に座り込んでいた。彼女はそうした町を走るようにして通り過ぎ、目的地に向かった。
 彼女が入ったのは、大きな病院だった。周囲を慎重に見回し、人目を忍んで目的のフロアに向かった。ナース・ステーションを抜ければすぐに目的の部屋に侵入できる。彼女は飛び跳ねる心臓を落ち着かせるように、何度も深呼吸した。
 その部屋は学校帰りに毎日彼女が寄る部屋なのだ。そう、御堂創の病室である。彼は今、集中治療室にいる。


 創は大人しく、いるのかいないのか分からないタイプの少年だった。家族と呼べる存在がなく、ぼろくて狭いアパートに一人で住んでいた。彼女と同じ学園に通っているのは、特待生だからである。教師から見れば飛び級させても良いくらいの学力の持ち主だった。そして、何を考えたのか、入学してからすぐに彼女の家でもある道場を訪ねてきた。彼は門弟になった。当主である彼女の祖父は、彼を一目見て頷き、月謝を払わなくて良いと言った。彼はすぐに強くなった。入門して一年半で彼女を追い抜き、年末の寒稽古では彼女の父である師範と互角に渡り合った。
 彼女は無口で頭が良くて強い彼が気に入っていた。初めて会ったときから好意を抱いていた。そして自分を追い越したのが分かったときに、彼女は創に向かってこう宣言した。
 「今から私の恋人になりなさい! 拒否は許さないわ!」
 彼は嬉しそうな顔でそれに頷いた。薫はその顔を見て舞い上がった。そして、二人は恋人になった。
 彼等はとても仲が良かった。女はあれこれと楽しそうに喋り、男は嬉しそうにそれを聞いていた。付き合うようになって数日後にはキスをしていた。そしてクリスマスにはお互いの全てを見せ合っていた。運命によって結び付けられた恋人だと、失った片翼だと、この世界に生まれるとき落としてきた半身だと、彼等はそう信じた。
 二人は幸福の絶頂にいた。
そして年明け早々、仲の良い男女が集まり初詣に行った。参拝をして、露店を冷やかし、アンズ飴や綿菓子を口にして楽しんだ。もちろん、御神籤も。
 「おう、創、おめぇ、何だった? 見せろよ」
 「もう結んだ」
 友人の言葉に彼はそう答えた。
 「はえぇよ。皆で見てから結ぶもんだぜ? んで、何だった?」
 「中吉」
 薫はその光景を見て悲しくなった。手に持った綿菓子が重く感じた。その綿菓子は彼のポケットから出たお金で買ったのだ。お菓子を買うほどの余裕が無い生活である事は充分知っていたのに、彼女は何も考えずに彼に甘えていた。綿菓子を買ったから御神籤が引けなくなったのだと知って、悲しくなった。
 「薫は、何だった?」
 「え、中吉・・・」
 「んだよ、おめぇら、仲が良すぎだぁ」
 友人たちが冷やかしてきた。晴れ着から覗いた彼女の冷たい手を、彼の暖かな手が包んだ。彼女は涙が出そうになるのを懸命に堪えていた。
 彼等は駅で別れる事にした。歩道から少しはみ出る形で歩いた。正月休みで通る車も少なかった。彼等は安心して歩いていた。彼らだけではない、道を歩く人は皆のんびりと安心して歩いていた。
 そうした中で悲劇は起こった。
 前から来たカップルを避けて、列が広がった。車道に出たのは薫だけだった。そのとき、彼等の後ろから猛スピードで乗用車が走ってきた。
 「薫っ!」
 彼女には彼のその言葉は聞こえなかった。歩道に突き飛ばされたショックのほうが大きかった。それに、大きな衝撃音しか聞こえなかった。
 見覚えのある、彼の大きくて茶色いダッフルコートが宙に浮かんでいた。そしてそれはすぐに異様な音を立ててアスファルトに落ちた。赤い液体が道路に広がり、赤から黒に変色した。 乗用車は派手なスキール音を鳴らして去っていた。
 「え? つくる・・・?」
 彼女は呆然とした。周囲は騒然として、警察や消防に通報していた。誰かが、駆け寄って抱きつこうとする彼女を止めた。
 「頭を打っているんだ。動かしたら余計に危なくなる。我慢するんだ、すぐに救急車が来るから」
 「嫌ぁぁっぁぁぁぁーっ! 創っ! 創ぅぅぅーっ!」
 彼女の悲鳴にも似た叫びが、救急車のサイレンと重なった。

 彼は運良くすぐに病院に担ぎ込まれて手術を受ける事ができた。しかし、緊急手術を終えて出てきた執刀医は難しい顔をした。
 「先生・・・、創は・・・」
 「まだ予断を許しません。とりあえず脳からの出血は止まりました。ですが、脳の損傷がどの程度なのか分かりません。それに、脳の奥に血の塊があるようですので、日を改めて手術をします」
 彼は愛する彼女に会うことも出来ず、たくさんのチューブと酸素マスクをつけて横たわるだけだった。しかも、意識はなかった。
 彼女は看護士に声を掛けられるまで、病室の前のベンチに呆然と座っていた。
 「ええと、篠宮薫さん?」
 「・・・は、はい」
 「ご両親がお見えよ」
 近くに彼女の両親が立っていた。
 「薫、一回帰ろう。御堂が起きたときにお前がやつれていたら、いくらあいつでも怒るぞ。あいつが目を覚ましたときに良い顔で笑えるようにしておくんだ」
 「そうよ、薫。彼に嫌われないように、いつも綺麗でいないと」
 彼女は両親の言葉に従ったが、心の中では、自分のせいで愛する創が大怪我をしたのだと、もう起きてこないのではないかと、すぐに起きるのではないかと、混乱していた。
 彼女は毎日やってきた。面会ができるようになって病室に入ったとき、彼女はまた混乱した。彼はたくさんのチューブとマスク、それにたくさんの機械に囲まれていたのだ。
 「最善を尽くしました。眠ったままですが、彼は生きています。脳は活動していますし、心臓も動いています。お願いですから彼に話しかけてください」
 「意識があるのですか?」
 「お父さん、ですか? 分かりません。分かっているのはまだ死んではいないという事だけなのです」
 担当医はそう言って去った。彼女は眠ったままの彼に話しかけた。
 「創? あなたのおかげでこの通り元気よ。恋人の私が元気なんだから、あんたも元気じゃないと駄目よ。早く起きてね」
 彼女は泣いていた。自分のせいでこうなったのだと、自分を責めた。
 冬が終わり春がやってきても、彼は眠ったままだった。彼女は授業が終わるとまっすぐに病室へやって来て、面会時間が終わるまで居座った。
 そして、彼女の心は病み始めた。自分のせいで彼が大怪我をし、彼のせいで二人の関係が途絶えたのだと怒った。早く起きて欲しい、早く愛していると言って欲しい、早く抱いて欲しい、そんな焦りが生まれた。そうした負の感情に塗れている事を理解した彼女は、悲しみに暮れた。
 やがて、このまま老いていくのだと思い始めた。それならいっそ、二人で死んでしまったほうが良いだろうと思い込んだ。


 彼女は異常なまでに静かなナース・ステーションの前を通りぬけ、彼の病室のドアを静かに開けた。廊下の様子を慎重に窺い、静かにドアを閉めた。そして、心臓が止まるくらいに驚いた。
 「え・・・? そ、そんな・・・、どこ・・・?」
 たくさんの機械が置かれていた病室は綺麗に片付いていた。ベッドの上には毛布が綺麗に畳んで置かれていた。ガランとした病室で、彼女は呆然と立ち尽くした。
 彼女は混乱した。そしてナース・ステーションの前で看護士に見つかった。
 「あら、何でこんな時間にいるの? 面会時間は随分前に終わっているのよ、ほら、早く帰りなさい。警察を呼びますよ」
 厳しい女性の看護士であった。薫は追い立てられるように病院から出た。ふらふらと歩き、いつの間にか家に帰っていた。
 「・・・薫、もう寝なさい」
 「お父様・・・。創が、創がいないの・・・、病院に、いないの・・・」
 父親は彼女を何も言わずに抱きしめた。彼女は甘えるように父親の胸で泣いた。
 次の日、彼女はずっとぼんやりしていた。見間違えたのではないかと思って、帰りに病院に寄ってみたが、間違いではなかった。看護士に聞いたが、忙しいから後でと言ったまま放置された。
 「死んじゃったの? 創は、死んじゃったの? 何で誰も教えてくれないの?」
 彼女は部屋に閉じ篭って泣いた。泣き疲れて眠った。
 そして、また夢を見た。それは、昨夜見た夢と同じだった。彼は銃を持った黒い影に蜂の巣にされて、自分の代わりに消えた。最後の彼の言葉が耳に残っていた。
 「・・・君は、生きて」
 「・・・皆が、いる」
 朝になって彼女が目覚めたとき、不思議と力が戻っているようだった。それまでは何をしても力が入らなかったのだ。以前と同じような明るい声が出た。明るい表情ができた。そして、彼を思って涙した。

 学園でも、彼女は清々しい気持ちで過ごせた。
 周囲は、創の事故以来死んだような顔をしていた彼女が明るくなった事を喜んだ。創の呪縛から解き放たれたと思った。実際、そうだったのだが。
 友人や創の状況を知る者たちは、彼が死んだのだと思った。それで彼女が精神の健康を取り戻したのだと理解した。そして、数日が経った月曜日から、代わりの男と付き合うことを勧め始めた。
 「薫、テニス部の渡辺なんかどうだ? 良い男だし、お前の事、好きだって」
 「サッカー部の菊池君はどう? 前にも告白してきたじゃない」
 彼女は創を思い出したが、彼等の勧めに応じていた。
 「じゃあ、デートでもしてみようかしら。話をしてみないと分からないもの」
 「いきなり二人きりだと向こうが勘違いするだろ? 色んな男と話してみてから決めるんだからさ、帰りに皆でコーヒーでも飲みに行こうぜ」
 「良いわね、じゃあ、声を掛けてくるわ」
 そして、毎日誰かと話をするために皆で寄り道をした。次の日に結果を聞かれて、彼女はこう答えた。
 「うーん、よく分からないわ。ピンと来ないのよねぇ」
 「じゃあ、次だ」
 彼等は明るくなった彼女を見て、嬉しそうだった。彼女も楽しんでいた。やがて目ぼしい男がいなくなり、彼等は薫にこう言った。
 「そろそろ決めたらどうだ?」
 「そうねぇ・・・」
 「副会長の山下君が良いんじゃない? 良い男だし、お金持ちだし、頭は良いし、いつも話しているから気安いでしょ?」
 彼女は暫く考えて、皆に言った。
 「今日は生徒会があるから、それまでに決めるわ」
 皆は安堵した。完全に自由になったと、明るさを取り戻したのだと、そう信じた。

 昼休みになって、彼女は一人で中庭のベンチに座っていた。俯いて弁当を食べ、俯いたまま呟いた。
 「私・・・、これで良いのかな・・・?」
 「何が?」
 「あんなに創を愛していたのに、彼が死んだからって、他の男と付き合うなんて」
 話しかけてきた少年が大きな溜め息をついてこう言った。
 「おいおい、勝手に殺すなよ」
 「え・・・?」
 彼女が顔を上げると、杖を突いた男が苦笑していた。
 「え・・・? つ、創・・・? 創! 創!」
 薫は食べかけの弁当を放り出して、創に抱きついた。
 「待たせてごめん。銃で撃たれる夢を見て、それで目が覚めたんだ。映画みたいな夢だったよ」
 「え・・・、私も見たのっ。同じ夢っ、創が撃たれて消えちゃうのっ、消えちゃ嫌だって言ったのにっ、消えちゃうのっ、たくさん血が出てっ、消えちゃったのぉっ! もう消えないでよぉっ! 離さないでよぉっ! 愛しているのぉぉっ!」
 彼は周囲の好奇の目に顔を赤くして、彼女に囁いた。
 「離さないよ。愛している、薫」
 彼女は顔を赤くして、彼の唇に吸い付いた。
 「うわぁー、見せ付けてくれるぜぇー」
 「いやぁーん、羨ましいわぁーっ」
 「続きはそこでするなよぉーっ」
 冷やかすような祝福するような生徒たちの声が中庭に響いた。



 「我輩は見ての通りの猫である。もっとも、かの文豪がその小説に取り上げた偉大なる猫ではない。ただの猫、である」
 小さな黒猫が後足で立ち上がり、前足で器用に煙草を持って、ある少年にそう言っていた。


喫煙マナーを守りましょう。

ご意見・ご感想をお待ちしています。
どうぞよろしくお願いします。













ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




◆BACK
小説家になろう