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第3話 青き狩猟者と謎の姫君
まだ月が顔を出し、人々が寝静まっている頃、一つの部屋に明かりが灯った。

一人の青年が、ランプに灯された薄暗い部屋の中で、狩りの準備を進めている。

トントン


静寂の中、青年の部屋のドアを叩く音が響きわたった。

青年は、ノックの音に驚きながら、突然の訪問者を迎えるためにドアを開けた。

「やあシン君。
おはよう。」

ドアを開けると、全身を銀色の防具の男が立っていた。

「おはようございます。こんな早い時間にどうしたんですか?」

シンは声だけを頼りに、その銀色の装備の男がマーカーだと理解した。

「ちょっと打ち合わせをしておきたいことがあってね。
ちょっとお邪魔していいかな?」

「別に良いですよ。」

そう言いながら、シンはマーカーを迎え入れるために一歩さがる。

「悪いね。」

マーカーは、シンの横をすり抜け、一番手前にある椅子に腰掛けた。
シンもマーカーに向かい合うようにして座った。

「いきなりこんな格好で来たから驚いた?」

「別にそこまで驚きはしませんでしたけど、
誰が来たのかわからなかったのが不安でしたね。」

「そっかぁ。
驚かしてやろうと思って装備して来たんだけど…
…いやぁ残念!」

マーカーはそう言いながら兜を頭からはずす。
すっぽりと頭部を覆っていた兜の下には
歯を見せながら笑うマーカーの顔があった。

「それで、打ち合わせしておきたいことってなんですか?」

「えーと…
シン君はまだドスランポスと戦ったことはない…と言うかドスランポスを知らないよね?」

笑顔から急に真顔になったマーカーが問いかける。

「はい。
全然わからないです。」

「そんな状態で狩りに行くのは、
“殺してくれ”
って言ってるのと同じだから、ちょっと予習をしてから行こうかなぁって思って。」

シンはマーカーの言葉に軽く頷く。
確かに今のまま狩りに行くのは危ないと、頭の片隅で感じていたからだ。

「まず、ドスランポスの特徴だけど、青と黒の皮膚に長い爪、そして赤い立派なとさかがあることかな。」

シンは言われた生物を想像してみたが、とても奇妙な形になってしまい、吹き出しそうになる。

「あの…
敵の大きさはどれくらいなんですか?」

吹き出さないように、苦し紛れの質問をマーカーにぶつけるシン。
しかし、それに気付かなかったのか、マーカーは真面目な顔で
「シン君の大きさの大体…2倍くらいかな?」
と答えた。


僕の2倍…
最初からそんな奴を狩って良いんだろうか?

と言うより自分にそれだけの実力があるのだろうか…?



「確かにドスランポスは初めての相手にしては難しいと思うけど、2人で行くんだし、大丈夫だよ。」

「……はい!

それにしても、
なんで僕の考えてることがわかったんですか?」

「初戦の時に考えることなんて、大体みんな同じだからね。

さて、打ち合わせも済んだことだし、討伐に向かいますか。
ドスランポスは夜行性だから、
この時間に行くと
奴らのねぐら辺りで出会えるだろうからね。」

そう言いながらマーカーは席を立ち、ドアに向かった。
それ後にシンが続く。


二人は酒場の横にあるクエストボードの前に来ていた。

「まずは酒場で受注するよ。
やり方は、クエストボードから、行きたいクエストの依頼書を選ぶ。
そして、それを持ってメリーさんの所に行って、印鑑を押してもらって終了だよ。」

そう言いながらマーカーはドスランポス狩猟の依頼書をクエストボードから取り、メリーさんの元へ歩いていった。

ここから見る限り、メリーは
机に頬杖をついて寝ているようだ。

そこにマーカーが近づいていき、声をかけている。

それでもなかなか起きないらしく、机越しに身を乗り出し、マーカーはメリーの肩を叩き始めた。

ゆっくりと身を起こすメリー。
メリーはマーカーを睨みつけると、ひったくるように依頼書を奪い、はんこをすごい勢いで依頼書に叩きつけた。
それをぶっきらぼうにマーカーに渡す。

すると、マーカーはメリーに2回頭を下げ、小走りでこっちへと向かってきた。

「やっぱり、朝にクエストに行くものじゃないね。
クエストに行く前に死ぬところだったよ。」

「…かなり怒ってましたよね?」

「あぁ。かなり危なかった。
シン君も気をつけなよ。
なら、狩りに行こうか。」

シンはこの言葉を聞きながら、絶対に朝にクエストには行かないと心に誓った。

そして、2人はまだ薄暗い密林へと入っていった。


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