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第1話 目覚め
シンが目を開けると、そこは見たこともない部屋だった。
その部屋は小さい部屋だったが、きちんと整理されていた。
生活している跡がないところを見ると、宿屋かどこかだろうか…?

「ここ…どこだろう?
何でここに寝てたんだっけ…?」

シンはそう呟きながら、自分の置かれている状況を確認しようとした。

「??
なにをしてたか思い出せない…?
まさか記憶が無くなった?
いや、そんなことは…でもどうして?…」

自然と頭が混乱してくる。考えれば考えるほどに泥沼にはまる。
落ち着くために一度、思いっきり息を吸い込んで吐き出してみる。
頭はクラクラしたが幾分気分は楽になった。

落ち着いたのは良いが、結局自分の名前しかわからなかった。
いったい自分は何者なんだろう?
これからどうすればいいのだろうか…


ガチャリ

いきなりをドア開けられ飛び上がるシン。
そこには若い竜人族の男が立っていた。
「おっ
目が覚めたか!
気分はどうだい?」
「え〜と…
たぶん大丈夫だと思います。

…すみませんが、ここがどこかを教えてもらえませんか?」
「ここはジャンボ村って言う村なんだ。
一応オイラはこの村の村長をやってるんだ。
呼びかけるときは気軽に村長って呼んでくれたらいいよ。

ところで君はなんて名前なの?」

「僕の名前はシンです。
えっと………」

ここでシンの言葉は途絶えた。

「別に無理して言わなくてもいいよ。
他人には言いにくいこともあるしね。」

「………
実は…起きる前のことが全然思い出せなくて…
…名前しかわからないんです。」

「それってまさか記憶喪失かなぁ?
じゃあ自分の住んでる村とかも思い出せないの?」

シンは村長の言葉に静かに頷いた。

「こんな時に言うのも悪い気がするんだけど、
記憶が戻るまでこの村に住まないかい?」

「……」

「嫌なら別に良いんだけど、帰るところがわかんないんじゃ不便だろうし、
この部屋は今は空き部屋だから自由に使って構わないし。
なにより、ハンターが増えることは、村の発展にもつながるしね。」

「ハンター…
僕ってハンターだったんですか?」

村長はその言葉に一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに今までの表情に戻った。

「そっかぁ。
やっぱり覚えてないんだね。
もしかしたら…と思ったんだけど。

いや、君が発見されたとき…って言ってもわかんないか。
まず君は、密林に倒れていたんだ。
そこはランポスの縄張りでね、もし発見が遅れてたら確実に食べられてたね。
でも、偶然密林に狩りに行ったうちの村付きハンターが君を発見して、連れて帰ったってわけさ。
そしてその時の姿が、ハンターが着る鎧に片手剣をつけてたから、こちらとしてはハンターと判断したんだけど…」
ハンター…
シンは、自分がその響きを懐かしいと感じていることに気づいた。
やっぱり村長の言う通り、自分はハンターだったのだろうか?

「もし…自分の記憶が無くても、僕はハンターとしてやっていけると思いますか?」

「それは大丈夫だと思うよ。
ハンターは頭でやるものじゃないからね。
でも結構辛い職種だと思うよ。」

「僕は…今までハンターをやってきたんだと思います。
何となくですが、そんな気がするんです。
僕が強いか弱いかもわかりませんが…
そんな僕でも、この村に置いてもらえますか?」

「全然大丈夫だよ!
いくら強いハンターでも、最初は誰でも弱いもんさ。だから、ゆっくり技術を高めていけば良いよ。」

村長は満面の笑みでそういった。

「そうだな…
ハンターになるなら鎧とかを渡さないとな。
君が着てた鎧は今うちに置いてあるんだ。取ってくるからちょっと待ってて。」

そういって村長は部屋を出ていった。

「これからここに住むのかぁ…」

一人残されたシンはぽつりと呟いた。



ガチャリ
「待たせたね。」

そういいながら、
村長は薄手の鎧を抱えて部屋に入ってきた。
そしてフラフラしながらも机まで歩いていき、持っていた鎧を机の上に置いた。

「これが君が倒れていたときに着けていた鎧だよ。」

鎧が重かったのか、そう言った村長は少し息が切れている。


机の上に置かれた鎧は、長年使い込まれているのか、細かな傷が無数に付いていた。

「これ…着てみても良いですか?」

「いいけど…
着方はわかるかい?」

「やってみます。」

そう言いながら、シンは鎧を手に持ってみた。
薄手の鎧なのに、かなりずっしりとした重量がある。
その重量さえ、シンには懐かしく思えた。
そして、何の迷いもなく、鎧をてきぱきと着けていった。

「驚いたな…
ここだけ見たら一流のハンターと言われてもわかんないよ。
着方は覚えていたのかい?」

「いえ…
体が覚えていた…というか、自然に着れたというか…。
手に取った瞬間、とっても懐かしい感じがして、あとは体が勝手に動いて…」

「そうかぁ。
体が勝手にね。
いかにもハンター!みたいな言葉だね!
なら防具を着けたんだから、武器も着けないと変だよね。」

そう言いながら、村長は片手剣を2本取りだし、シンに手渡した。

1本は黒く鈍く光る剣で、
もう1本は白い色をした剣だった。
双剣というわけではなく、別々の片手剣だ。

シンは黒い剣と白い剣を2つとも鎧に取り付けた。
2本の剣の重みが鎧を通して伝わってくる。

「やっぱり武器をつけると格好がいいね!
もうどこからどう見ても立派なハンターだ。」

手を叩きながら村長がシンを誉めた。

シンもまんざらでもないのか、はにかんだ笑顔で村長に向き直る。

「なら改めて…
ジャンボ村にようこそ!
これからよろしくな!」

そう言いながら村長は右手を差し出した。

「こちらこそよろしくお願いします。」

シンも右手を差し出し、村長と握手を交わした。

「なら村を案内するよ。
狩りに行くのに道具屋とかがわからなかったら、勝てるものも勝てないからね。」

「はい。ありがとうございます。」

「そんな畏まんなくても良いよ。
それより
早く来ないと置いていくよ〜。」

村長はもう部屋から出て、村の方に歩きだしている。

「なっ!ちょっ?!
待って下さいよ〜。」

シンは慌てながらも村長の後を付いていった。


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