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第3話

訓練都市ファミーリアに向け、秋五とマリアは馬車で森を抜けようとしていた。ミドリア村を出発して一晩が経っている。ファミーリアはミドリアの隣町となっているが、その距離は馬車で一日、徒歩で二日ぐらいかかる距離。その距離で隣町と言えるのか、なんて質問は受け付けません。


秋五は馬車の中でマリアから魔力の制御を教えてもらっていた。フェミーリアに行く前の一ヶ月間は、この世界の言葉、イニシャ語を学んでいたため魔法に関してまったく触れていなかった。これから魔法学院に行くのに魔法の初歩、『魔法の制御』すらできないと周りの人から笑われ者になる。と昨晩マリアに言われた秋五は、若干焦りながら教わっていた。


「む・・・むむむ・・・」


「違う!力を入れるんじゃなくて。こう・・・体中の魔力を右手に集める感じ。それを・・・よっと」


マリアは、秋五に教えになっていない教えをして見せたほうが早いと思い。上げていた右手に魔力を籠め、手の平の上に稲妻を生み出した。それはバチバチと音を鳴らしている。


「すげぇー」


「ふふ〜ん♪」


秋五の感想にマリアは、えっへんと控え目な胸を張って誇らしげにしている。


「ん〜・・・。アレですよ!妄想!!あっ違う。想像です!想像。魔力の形を想像するんです。魔法と言うのは魔力だけでは駄目なんですよ!想像するための精神力!必須です!。」


「想像・・・よし」


マリアの助言で何か掴んだのか、再び右手を上げて魔力を送り込む。


「体中の魔力を・・・」


そう呟いた秋五は、足の爪先から頭の天辺。体中にある魔力すべてを右手に集中させたら体中の力が抜けた感じがした。右手に集まり終わったとたんにその手から大気を揺るがす風圧が出た。


「きゃっ!」


それをもろに当たったマリアは体が浮き飛ばされそうになったが、風の魔法を瞬時に発動して風圧から体を防いだ。それを出した秋五はそれに気が付かないほど集中力を高めていた。


「(魔力が集まった、後は想像・・・想像するは・・・・疲れを癒す水の玉)いっけ!!」


想像が完了した秋五は声と共に右手から魔力を離した・・・とたんに
手の平の上に水の玉が生み出された・・・が、その水の玉はどんどん大きくなっていき、その大きさは留まる気配がない。


「マリア師匠!、ヤバイ!留まんない・・・」


「・・・・・・・・」


秋五の声にマリアは返答できなかった。肉眼で見える筈のない魔力が、秋五の右手に見えていることと。初めての魔力の操作で少しコツを教えただけですぐにできた事に驚いていたからだ。

返答がこないことを焦りながら、ずっと精神力を使い続けている秋五だったが。いきなり馬車が揺れて、それに対して精神力を途切れさせた。

精神力が切れたことにより魔力の投入も無くなり、想像も薄れた。想像が薄れたことにより、まだ形が整い切れていない魔法は・・・爆ぜた。


「ぬわー!!溺れるーー!!!」


「ちょっ!私泳げ―――ゴバァボバブ〜〜(助けてー)」


馬車の中で爆ぜた水の魔法から大量の水が止めどなく出てきて、密室となった馬車の中でそんなことが起これば・・・想像の通りの結果に。

溺れかけている二人は必死にもがいて馬車のドアを開けようとするが、如何せんパニック状態に陥っているためなかなか開かない。
運が良かったのか、すぐに馬車は止まり、馬車の使いの人が到着を知らせるためドアを開ける。


「なっ、何ですじゃ!?」


ドアを開けたら、大量の水と共に秋五、マリア、二人の荷物が流れ出てきた。ドアを開けた使いの人、周りに居た人を巻き込んで。


「「死ぬかと思った―」」


流れ出た秋五とマリアは、生きていたかとに感動してヒシッ、と抱き合った。巻き添えを食らった人にとっては全然感動する事じゃなく、怒りがふつふつと沸いていた、が。一人の声でその感情が変わっていく。


「なんだよ・・・たくっ。濡れちまっ・・・・濡れてねぇ!!しかもすごく体が軽い!!!」


その声で被害にあった人達にどんどん伝染するかのように、「風邪が治ったー」とか「全治一ヵ月の怪我が治った」だとか「あいつとの関係が治った」などの、声が上がっていく。


その声を聞いたマリアは、自分がやったかのように喜び秋五に話しかける。


「すごい!こんな威力の水魔法、初めて見たよ!」


「そんなにか?・・・てか関係が治るものなのか!」


秋五のツッコミはだれも反応することなく、スルーされた。そんな秋五に不可抗力ながらも治した人たちが駆け寄ってくる。

よく見ればその人達の大半は秋五とマリアと同じ制服を着た少年少女達だった。



「ん?てことはここは・・・」



秋五は自分に集まって来ている人達を見て、正面にそびえ立つ建物を見上げる。



「到着したね!シュウゴ。ここが訓練都市ファミーリアにある魔法学院。フォミィーティア学院だよ。」






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