表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編

もしも、さいごの人ならば

作者: ゆっき/Yuyu*

 私はいつもの様に朝は鳥の声で目を覚ます。


 そして朝ごはんを食べて、着替えて、家を出る。


 これは私の普通の日常です。


「おはよう、ヒメちゃん」

「おはようございます」


 家を出て、どことも決めずに歩き始める。

 そんな平和な日常。

 いつものように獣人の皆さんに挨拶される日々。


「ヒメ、おはよう。今日は潜らない?」

「この前、潜ったばかりじゃないですか」

「まあ、そうだけどさ~」

「ふふっ、また今度お願いします」

「はいはい~。あ、今日は波高めだから、海沿い歩くときは気をつけなよ」

「ありがとうございます」


 海の近くを歩けば、こうして魚人の皆さんが声をかけてくれる。

 人間の私にはエラや、水の中で呼吸する方法がないので、ボンベなどの道具が必要になりますね。

 ですが、海の世界もまた神秘的で綺麗なものですね。


「よいしょ……っと」

「うん? おはよう」

「おはようございます。今日のお空はどうですか?」

「今日は雲がまばらでちょうどいいよ。晴れっぱなしなんじゃないかな」


 町の中にある木を登った先の、ログハウスには鳥人のお兄さんが新聞を読んでいます。


「空飛ぶかい?」

「いえ、お天気とご挨拶にきただけですので」

「……そっか。まあ、飛びたくなったらいいな。連れてってやる」

「はい」


 木から降りて、今度はお墓の近くを通りかかりました。


『おはよ~、ヒメ』

「おはようございます」


 そこには幽霊さんたちがふよふよと宙を浮いたり、地面にめり込むように寝ていたりします。


『昨日もお花ありがとうね』

「いえいえ」

『また昔話でも聞きたくなったらきてよ』

「ぜひ、またきますね」


 幽霊さんたちは、昔の話を知っています。悲しくもその昔に死んでしまった方々なのですから。


「ヒーメ!」


 うちの近くまで戻ってくると、後ろからそんな子が聞こえる。

 そちらを振り向くと、猫耳の友達が抱きついてきた。


「わっ! キャカちゃん。どうしたんですか」

「こんなところでなにしてるのかなって」

「学校もお休みなのでちょっとお散歩を」

「じゃあ暇?」

「まあ、そうですね」

「それじゃあ、ちょっと来てよ。面白いもの狼人の人たちが作ったっていってたからさ」


 そういって、私の手を引いて、キャカちゃんは走り出します。


「ちょっと、そんなに早く走れないです」

「あ、ごめんごめん。つい、気持ちがはやって」


 獣人のみなさんの身体能力にはどうしても追いつけません。


「まあ、時間はあるしゆっくりいこっか」

「はい」


 次は手を繋いでゆっくり歩いて、狼人の皆さんがいる場所へと向かいます。


 これが私の日常。

 これが私の世界。


 ――もしも、自分が地球最後の人間だったらどうしますか?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[良い点] それぞれの動物の特徴が端的に示されていて、「私」との違いを表せている。 [気になる点] 人間にしかできないことが書かれておらず、ただの人間はどの種族にも劣るような印象を受ける。それぞれの出…
[良い点] 人間が存在しなくても、明るく生きているんです、という作品と読めずに、人間社会が嫌いな人の末路、と読めてしまい、示唆的で個人的に興味深かったです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ