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修正された歴史と幼馴染


 シノン城での王太子との謁見を果たした東条は一旦現代日本へと帰還していた。彼には確認しなければならないことがあった。


「俺の予想が正しければ可憐は元に戻っているはずだ」


 歴史は起承転結のある一つのストーリーだ。王太子の謁見という重大な転換点までストーリーを運びさえすれば、その後は本来の歴史通りに進むだろうと、東条は考えていた。


 東条は可憐と連絡を取るための携帯電話を取りに、雑貨商店へと向かう。すると店の入り口に人影があることに気づいた。


 人影は腰まである長い黒髪と白磁のような白い肌。さらに日本人離れした整った容姿をしていた。見間違えるはずもない。彼の恩人である可憐だった。


「可憐!」


 東条は目尻から涙が溢れていることに気づいた。自分が原因でこの世から消え去った恩人と、ようやく出会うことができたのだ。感情をせき止めることが彼にはできなかった。


「東条くん、どこに行っていたの? 心配したんだよ」

「可憐が戻ってきてくれた!!」


 気づくと東条は可憐を抱きしめていた。突然のことに可憐は驚きを見せるが、涙を流す彼を安心させるために、可憐も東条の背中に手を回す。


「私と会えたことがそんなに嬉しいの?」

「嬉しいさ。嬉しいに決まっている」


 東条は今までの苦労を思い出す。武器商人としての生活は、危険な仕事も多く、人から恨まれることも多い。それにも関わらず、彼が武器商人として生き続けた理由の一つは、今、この瞬間のためであった。


 しばらく抱きしめ合い、東条の涙が枯れた頃、彼の表情には一つの決心が現れていた。


「可憐、俺はしばらく戻らない」

「……どこかへ行くの?」

「ああ。だからしばらく会えないかもしれないが心配しないでくれ」


 可憐は引き留めようと言葉を発しようとするが、すぐに口を閉ざした。東条の決心の表情を見て、言っても無駄だと悟ったからだ。


「恩人を救ったら、また戻ってくる。その時まで待っていてくれ」


 可憐にそう伝えると、東条は再び、中世フランスへと戻る。武器商人とジャンヌ・ダルクの旅はまだまだ終わらない。ジャンヌ・ダルクを火あぶりの処刑から救う。その時までは。


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