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肥料と食料をフランスへ


 次の日、東条が目を覚まして倉庫の前に行くと、約束通り膨大な食料と肥料が積み挙げられていた。


 東条は倉庫の扉を開けると、扉の中に食料と肥料を試しに投げ込んでみる。扉の中へと吸い込まれた物資は現代世界から消え去ってしまう。


「まずはきちんと送られたかの確認からだな」


 東条自身も倉庫の扉の中へと入る。視界が真っ白になった直後に、ドンレミ村とジャンヌが出迎えてくれた。


「東条さん、こちらは……」


 ジャンヌは突然現れた食料が詰まった段ボールと肥料に困惑の視線を向けていた。


「食料と肥料だ」

「食料は分かるのですが、肥料とはなんでしょうか?」

「う~ん、なんと説明すればいいのか。畑の薬とでも云えばいいのかな。とにかくこいつを畑に撒くと作物の育ちが良くなる」

「それは素晴らしいです」

「食料は作物が育つ前の繋ぎにでもしてくれればいい」


 東条は段ボールの中から乾パンの缶詰を一つ取り出し、プルタブを開ける。


「この缶詰の中に食料が入っているんだ。フタは簡単に開けられると思うから試してみるといい」

「ではこちらを」


 ジャンヌはあんみつの缶詰を取り出し、フタを開ける。甘いにおいが缶詰の中から飛び出してきた。


「美味しそうな匂いですね」

「食べてみろ。缶詰にスプーンも付いているだろ」

「では早速」


 ジャンヌはスプーンを手に取り、あんみつを口に含む。いつも涼し気な表情を浮かべる彼女の顔が、口の中に甘味が広がるとともに、緩んでいった。


「美味しいです! こんな美味しいモノ今まで食べたことがありません」

「喜んでもらえたなら良かった」

「村の皆にも食べさせてあげたいなぁ」

「ジャンヌならそういうと思って、余分に買ってある。村人全員で分けてくれ」

「では他の人たちを呼んできますね」


 ジャンヌが走り去っていく。その後ろ姿を見送ると、東条は再び現代へと帰る。目的はもちろん残りの食料と肥料をすべてフランスに送るためだった。


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