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突然の彼女3・ファイナルエピソード
作:ヒロヒト.JJ



その13 僕に必要なもの(後編)


「こんなダメダメ人間をもっと叱って下さい!」
「ちょっと待てよ森田くん」
「どうかお願いです。なじってくれても構いません」
 茜崎さんなら、僕の今の気持ちがきっとわかるはず。
 箸を持ったまま、僕をじっと見据えている茜崎さん。
「なるほど。そういうことか…」
 さすがは勘の鋭い茜崎さん。僕の思いを理解してくれたようだ。
「森田くん、君はひょっとして…」
「そ、そうなんです。きっと茜崎さんの思っている通りです」
「じゃあ…君はひょっとして…どMか?」
「((ノ_ω_)ノバタッ」
「(・д・)ん??違った?」
「あの…違いますよぉ。僕はどMじゃありません!多分…」
 僕の“どM”と発した声がちょっと大きかったようで、まわりのテーブルのお客さんたちがこちらを見ながらクスクス笑っていた。
「森田くん…たとえ君がMであってもなくてもだ。今このシチュエーションで叱ったりなじったりは無理だろう?」
「はぁ…確かに(^□^;A」
 茜崎さんは少し顔を赤らめながら、周囲に視線をチラチラ走らせていた。
「やっぱり話すより先に食べてしまおうや」
「え、ええ。。^_^;」

 数分間、黙々と食べ続けていた。
 会話が全くないと、間が持てなくて余計早食いになってしまう僕。
 茜崎さんはまだ半分も皿に食べ物が残ってるというのに、僕はすでに完食していた。
「あの…もう1回取って来ていいんですよね?」
「1回でも2回でもどうぞ」
 茜崎さんが有機野菜で作ったサラダを食べながら言う。

 再び席に戻った僕は、言い訳がましいことしか言えなかった。
「僕、悩んだり迷ったりすると、もっと余計に食べちゃうんですよ・・・(^^ゞ」
「そのようだな。でもさっきも言ったが、それは自己逃避だ。やめた方がいい」
「はぁ…しかし。。」
「君はもっと自信を持っていいのに、なぜできない?」
「自信を持てる要素なんてないからです」
「あるじゃないか!君が今までゆりかやいずみ、そしてひなたにどれほど貢献して来たことか」
「ただのおせっかいですよ」
「だから、そのマイナス思考はやめろって。全くそういうところは二人揃って似てるんだもんな」
「え?誰と誰のことです?」
「君とゆりかさ」
 不思議な言われ方だった。僕とゆりかさんが似てる?
「どちらも踏み込めない同士ってこと」
「あぁ、なるほど。じゃあですよ?同じ性格の人間同士では、やはりうまくいかないんじゃないでしょうか?」
「(;-_-) =3 フゥ」
 茜崎さんがため息ひとつ。
「あのな。誰も性格が同じだなんて言ってないぞ。君は度胸がなくて決断力に欠けてるが、ゆりかは神経が繊細なだけで、度胸も積極性もある」
「すみません…(^_^;)」
「ゆりかが踏み込めないのは、その繊細な部分の方が上回っているからさ」
「返す返すすみません…(-_-;)」
「まぁいい。別に俺は君を凹ましに来たわけじゃないんだ。もっと頑張ってもらいたいんだよ」

 これまた不思議だった。なぜ茜崎さんが僕を応援してくれるんだろう?
「あのー、理由がわからないんですけど…なぜ僕にそんな…?」
「理不尽なことに屈してしまうのが、俺には納得できないだけさ」
「でもそれは僕の問題で、茜崎さんのことじゃないのに(⌒-⌒;」
 
 このとき僕は、ふと瞬間的に頭によぎったことがあった。もしかしたら…
「失礼ですけど、茜崎さん自身はゆりかさんとやり直したいとは思わないんですか?」
「えっ?…俺?俺ががゆりかと?それは……正直もうないな」
「ということは、以前はあったんですか?」
「ヾ(-д-;)ぉぃぉぃ、俺のことを深く掘り下げるな!君のことなんだぞ」
「まぁそうですけど^_^;」
 茜崎さんは、明太子パスタを一口食べてからこう言った。
「俺は昔、ゆりかを放って逃げた男だ。しかも自分の意思で」
「ホントにそうなんですか?」
「あぁ、結婚する気も全くなかった。ゆりかの腹にいずみがいるのを知ったのは、俺が消えてしばらく経ってからなんだ」
「ゆりかさんのご両親には会ったことはあるんですか?」
「何度かある。ついこないだも何年ぶりかで…」
「(・_・)え?」
「そんなことはどうでもいい。俺は逃げた男だ。けど君は違う。単に勇気も度胸も自信もないだけだ」
「そこが1番問題なんですけどね(-_-;)」
「だが君の1番の強みは、とても献身的なことだ。ゆりかの支えになれる人物は君しかいない。君ならなれる。いや、なって欲しい!ならなきゃいけない!」
「なんだか学校で習った3段活用みたいですね・・・(;´▽`A」
「ほらまた話をそらす」
「あ・・すみません(^^ゞ」
「ったく…」
 僕のハシは完全に止まっていた。でもそれは、食欲がなくなったわけではなく、何か沸々と体の中から熱いものが湧きあがってくるのを感じたからだ。
 照れくさくて話をはぐらかそうとしちゃったけど、励まされると何となく自信が出てきたような気がする。
 でもまだ気合が足りない。もっと自分に気合を入れないといけない。
 僕は茜崎さんに弱弱しく問いかける。
「この僕に…本当にそれができるでしょうか?」
 茜崎さんはハシを置き、まっすぐな鋭い視線を僕に投げかけた。
 目力めぢからがすごい。まるで目から光線が出てるよう。でもそんなわけはない。それができるのはウルトラマンくらいだ。

「いいかい森田くん。君の信念でゆりかを取り戻してみろ!絶対できるはずだ!そしてゆりかの不安を取り除いてやれよ!君が自身満々でゆりかを安心させてやれば、必ず彼女は頼ってくれる。君の気持ちもわかってくれる。ゆりかにはもう君しかいないんだぞっ!」

 さすがにこの声はデカかった。他の客の視線がまたこのテーブルに注がれた。
「茜崎さん…ちょっと恥ずかしいです(⌒-⌒;」
 熱のこもったトークの茜崎さんもその視線に気づいたようだ。
「あ…すまんすまん(^^ゞ」
 
 僕は嬉しかった。ここまで言ってくれる人が同姓でいるなんて。
「茜崎さん、今日はありがとうございます!おかげでさっきよりずっと気合が入りました」
 座りながらも深々とお辞儀をする僕。それを見た茜崎さんがピンときたようにニヤッ笑う。

「ははぁ…森田くん。ひょっとして君は、俺にわざと気合を入れさせるように仕組んだな?」
「( ̄▽ ̄;)えっ?そ、そんな仕組んだなんてめっもうもない」
「ウソだ。俺を誘導するような言い方しただろ?」
 茜崎さんにはかなわない。やっぱし探偵だけのことはある。
「すみません。^_^;別に悪気はなかったんです」
「それはわかってる」
「だって僕には…今の僕にはもっともっと気合と自信が必要だったんです。ハッパをかけて欲しかったんです」
「ふぅん。で、どうなんだ?本当に気合が入ったのか?」
「はい!明日はわかりませんが、今は大丈夫です」
「それじゃダメじゃんかよ; ̄_ ̄)」
「努力します。なんとか」
「よし。その意気その意気。絶対持続しろよ!」

 なんだか飛び跳ねたい気分。軽やかなステップでも踏もうか。でも僕はスキップすらできないし、レストランでそんなことできるはずもない。
 僕って単細胞なんだとつくづく思う。
「あの…僕、五穀米おかわりしてきます」
「まだ食うのかよ?いいけど、今日で過食症とはもうオサラバしろよ」
「あ、そうでした(;´▽`A 自信がついても食べたくなるもんなんですね」
「君はどんな精神状態でも食べたくなるのは変わらないだろうな( ̄ー ̄)」
                    (続く)







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