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突然の彼女3・ファイナルエピソード
作:ヒロヒト.JJ



その10 サ・ク・ラ・サ・ク


サクラサク
 

 月日が流れて年も明け、いずみの受験も大詰めを迎えていた。
 いずみが僕のところへ来たのは夏休みが終わった9月頃から。
 本格的な受験勉強としては遅すぎるスタートだった。
 これがもし春から始めていたなら、学習計画も立てやすかったのにと僕が勝手に思ってみても、いずみの事情だから仕方ない。

 それにしてもつくづく思う。よくここまで家族にバレなかったものだと。
 本当にバレてなかったんだろうか?ゆりかさんが黙認してただけだとしたら?
 いけね・・・また余計なことを妄想したところでどうなるわけでもない。
 なんとか無事にこの時期まで来れたんだ。それだけでいいじゃないか。
 そしていずみが高校に合格したら、もうここには来なくなるんだ。後ろめたい隠し事もなくなる。

 勉強といってもこの半年、いずみはある程度、学習の基礎はできていたから教える苦労はさほどなかった。
 そう思うと本当にいずみは僕を必要としてたんだろうか?
 いずみなら、僕がいなくてもそれなりの成績はとれたはずだ。それなのにこんなド素人の僕なんかに…
 
 そんな疑問をずっと抱いていた僕が、やっとのことでその答えをいずみの口から導くことができたのが、つい最近のこの質問から。
「僕は今までいずみの役に立ってきたのかな?」
「え?卓くん何でそんなこと言うの?」
「だって、いずみは元々頭いいからさ。僕が教えなくっても別に良かったんじゃないかって」
「そんなことないよ。私、去年の期末で過去最高点取ったんだよ。卓くんとこに来なかったら無理だったよ」
「嬉しいこと言ってくれるね。でも僕にだってわからないところいっぱいあったのに」
「でも卓くんはそのままにはしておかなかったでしょ!」
「そうだけどさ…」
「卓くんはわからない問題でも次の日までには必ず調べて解決してたじゃない」
「そりゃ教える立場だっからそのくらいのことはしなくちゃ」
「そこそこ。そこなの。卓くんのいいとこ。それに安心して勉強できたし」
「安心?自分の家の方がリラックスできるんじゃないの?」
「…うちは無理。自分の家では集中できないんだ」
「誰もいずみの勉強の邪魔なんてしないだろう?」
「それはないけど、勉強できる環境じゃないの」
「(・_・)ン?わかんないなぁ?家はデカいし、いずみの部屋だって広いんだろ?」
「うん。10畳だったかな?たぶん」
「この茶の間より広いじゃん(⌒-⌒;」
「そうだけど…部屋がどうのとかじゃなくて…」
「ん?なんだい?」
「私…私、英之が嫌いなの。英之だって絶対に私を嫌いなはず」
「そんなことはないと思うけどなぁ…」
僕はいずみが是枝君を呼び捨てにしているのに正直驚いた。
「そんなことあるの!私にはわかるんだ。だから家では息が詰まって勉強できなかったんだもん」
「そんな…わが子が嫌いだなんて。。」
「私は英之の子じゃないもん。英之のわが子はひなた」

 今まで家のことを何も言わなかったいずみ。
 やはりこういう事情があったのか。。可哀そうに。。
 そんな不安定な気持ちになる環境から逃れるためにいずみは僕の家を選んだってことなのか。
 気づくのが遅すぎた。ほんと僕はトロくさい。こんな時期になるまで…
 やっぱり僕がもっと早いうちに話を聞いてあげれば良かったんだ。
 プライベートな話をしていずみの気分を悪くさせてしまうことを警戒し過ぎた結果がこれだった。

 
 3月中旬。公立高校の合格発表が一斉に行われた。
 いずみは見事、希望通りの高校に合格。その一報は僕の携帯にメールで知らされた。

“やったよ!受かったよ!卓くんのおかげ。ありがとぉ♪”

 僕は仕事の昼休みに返信メールをした。

“おめでとう。いずみが頑張ったからさ。いずみと一緒に勉強して過ごした時間はとても楽しかった。寂しくなるけど、高校生活頑張るんだよ”

 僕は送信ボタンを押してケータイを閉じた。
 終わった・・・これもひとつのピリオドだ。

 さて、明日は久しぶりに公園でトメさんの手伝いでもしようかな。。

 そう思いを切り替えたところでメールの着信音が鳴った。
 返信が来ることなんて期待もしてなかったのに、いずみは僕の予想をくつがえした。

“何言ってんのさ。また行くよ!今度は私一人じゃないかも?(*'‐'*)フフ♪”

 Σ( ̄□ ̄;な、なんて意味深なメールなんだろう。。
 一人じゃないって、誰と来るつもりなんだ?まさか彼氏?
 そんな子連れて来られても僕はどうしたらいいんだ?
 おもてなしはラーメンしか出せないし。。焦るー!(^□^;A

 こうして僕はまた、余計な先走り妄想に駆られるのだった。
                (続く)


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