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突然の彼女3・ファイナルエピソード
作:ヒロヒト.JJ



その2 園崎頼子


その2
園崎頼子そのざきよりこ

 もう毎日が飲まずにはいられない。
 今日も一人でムシャクシャしながら行きつけの店で飲んでいるアタシ。
「頼子ちゃん、今日の機嫌の悪さは何?(^_^;)」
 通い続けて親しくなったマスターがアタシに問いかける。
「森田よ森田!あのドジ課長が何で私の上司なのよっ!」
「またそれですか。でもまぁ、世の中ってのは理不尽にできてるもんですから。忍耐も大事じゃないですかね?」
「それはわかってるつもりなのよ。でもね、森田に注意されるのだけは屈辱なのよ」
「怒鳴られたんですか?」
「あいつにはそんな度胸はないの。ただ、冷静にボソッと『同じ間違いは繰り返さないで下さい』って言うのよ」
「お言葉ですが、ごく普通だと思いますけど?(^_^;)」
「でもなんかあいつに言われるとムカついちゃうのよ」
「それって、その課長さんに気がある証拠じゃないんですか?」
「ちょっとマスター、冗談はヤメテッ!ドラマや小説の恋物語じゃないの!」
「すみません(^□^;A」
「あんな奴、鼻ヒゲ生やしたらホントにオトボケ課長そのものよ!」
「面白い顔してそうですねw」
「(;-_-) =3 フゥ 森田と同じ部署にいて運が良かったのは最初のうちだけだったわ」
「ホホゥ( ̄。 ̄*)最初は運が良かったって、どんなことですか?」

 アタシはこのときかなり酔っていた。
 酔うと口が軽くなるアタシ。あのときの秘密をつい口走ってしまった。
「実はね、1年半くらい前かなぁ、森田のおかげで儲けたことがあるのよ」
「は?意味がよくわかりませんが?なんか秘密めいたことのようですね?」
「( ・ー・)むふふ♪わかる?じゃあ教えてあげよっかなぁ?」
「中途半端なまま話をやめると、頼子さんも気持ちが晴れませんよ」
「マスター誘導がお上手ね。どうしよっかなぁ♪」
「無理に言わなくてもいいですけどね」
「いいえ、もうずっと前のことだし、ここだけの話ってことで教えてあげる」
「お、嬉しいですね」

 アタシは少しもったいぶりながらイタズラっこのような目つきでマスターに言った。
「あのね…実は森田を外に呼び出しただけで、50万円くれた女がいたの」
「( ̄□ ̄;)えっ?何ですかそれ?ただ呼び出すだけで50万ですか?」
「そうなの。不思議でしょ?」
「でもそれ、なんかヤバそうですね。呼び出された課長はその後どうなったんでしょうね?」
「さぁね。森田に興味ないから聞かなかったし、その後も普通に会社来てたし、何事もなかった感じだったけど」

 そのとき、アタシの背後から突然話しかけて来る男性がいた。
「すみません。その話、もっと詳しく教えてくれませんか?」
 振り向くと、ちょっとだけイケメンの感じ良さそうな男性が立っている。
「どなた?今私が話してたことはただのうちわ話ですから、人に話すようなことじゃないですよ?」
「いや、実はですね、森田卓さんの身辺について少し調べてるものですから」

 アタシは一瞬、警察ではないかとドキッとした。
でも彼はそんなアタシの表情をすぐに読み取ったようで、
「安心して下さい。僕は警察ではありません。探偵なんです」
 そしてアタシは彼が差し出す名刺を受取り名前を確認する。

“茜崎涼”(あかねざきりょう)

「もちろん今日ここでお話されたことはいっさい口外しませんから。それに裁判ごとでもないですし、出廷していただくこともありません」
「そうは言われても…これ以上は何も言うことはないですよ?」
「そうですか?」
「ええ。聞かれていたと思いますけど、私の役目は森田課長を…まだ当時は課長ではなかったけど、ある女の指示で外に連れ出しただけなんです。そして後日、お金を振り込んでもらってそれでおしまい。」
「その『ある女』に会ったことは?」
「ありません。電話のみです」
「なるほど。。じゃあちょっとこれを見てもらえますか?」
 その探偵はポケットから写真を取り出してアタシに見せてくれた。
「この女性に見覚えはありますか?」
 すぐに思い当たったので即答したアタシ。
「あっ!ありますあります!この人ならたまに会社に来ますよ。いつも部長のところに…ハッ(゜〇゜;)アタシ、こんなことまで言っちゃっていいのかしら」
無礼講ぶれいこうです」
と、探偵さん。
「そういう意味では使わない言葉だと思いますけど(^_^;)」
とマスター。
「さっきも言いましたけど、いっさい秘密ですし、あくまでここだけの話です。世間におおやけになることはありません」
「じゃあアタシに50万くれたのはこの女なんですか?」
「おそらくは。彼女は倉沢まりもといいます」
「でもこの人、部長の愛人かと思ってたけどなぁ。なんで金持ちでもない森田に用があったのかしらね?今更ながら不思議だわ」
「森田卓さんはこの時期、まだ結婚されてましたよね」
「ええ。でも森田のバカ、身の程をわきまえずに浮気なんかするから別れちゃったのよ」
「え?離婚の理由をご存じだったんですか?やっぱりこの写真の倉沢まりもと。。」
「いいえ全然。同じ部署の子と慰安旅行でエッチしてるのが奥さんにバレちゃったの」
これを聞いてホントにびっくりしたような探偵さん。
「それは予想外だったなぁ。差支えなければそのお相手の女性の名前を教えていただいてもいいですか?」
「ええ。三木綾乃って子ですよ」
「Σ|ll( ̄▽ ̄;)||lええっ!?三木綾乃はてっきり是枝英之これえだひでゆきさんとお付き合いしていたのではと思いましたが…」
「それはないと思うけど。噂すら立たなかったし」
「そうですか。しかし驚いたなぁ。。」
「たしかに私も驚く組み合わせだったと思いましたよ」
「では三木さんと是枝さんが大学時代からの友人で、本社に同期入社したことは知ってましたか?」
「いいえ。それは初耳。三木さんと是枝さんて、仕事以外で会話することなんてなかったんじゃないかな?」
「うーん。。」
「三木さんは結局、森田との噂が広まって、少し経ってからだけど、他の関連会社に異動させられちゃったって形になったんだと思うけど」
「なるほどね。。でもそこでちょっと引っかかるんですが、森田課長はそのとき異動にはならなかったんですね?」
「そうそう、それも不思議だったのよね。スキャンダルは両成敗っていうんじゃなくて、異動したのは三木さんと是枝さんだったのよね」
「んんん〜。。これはちょっと・・・深いな。。」

 その後、探偵さんはしばらく考え込んでしまって全く口も利かなくなった。
 そしてなんだか手帳を取り出して色々と書き込んでた様子。
 アタシがマスターに8杯目のカクテルを頼んだところで突然立ち上がって、
「どうもありがとうございました。非常に参考になりました」
と言って、彼はお店から足早に出て行った。

 社内で何かが過去に起きていたってことはなんとなくわかるんだけど、お金にならないことなら首を突っ込んでもしょうがないと思ったアタシ。
 それに森田のことなんかどうでもいいし。
 アタシは9杯目のカクテルを追加した。
                 (続く)







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