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秘密基地っぽい杏仁豆腐
 突如行方不明になった鷹文054番の探索依頼を請け負った俺、リガールドの赤い牙こと剣士岡崎、

 ☆岡崎朋也/剣士 
 通り名/リガールドの赤い牙
 HP(体力)B/Atk(攻撃力)B/Def(防御力)B
 Int(知力)D/Dex(器用さ)A/Spd(素早さ)B
 武器・ショートスピア(短めの槍。片手でも扱いやすい)C
 防具・工事用ヘルメット&作業服一式(動きやすく作業時の安全性も高い)D
   ・鉄の盾(鉄製の丸い盾)C
 アクセ 木彫りの海星(手作りのヒトデ。風子が呼び出せる)
 特殊能力
 ・電気工技能(電気工としての知識を活かし、トラップ作成や簡単な修理が出来る)
 ・フーコマスター(妖魔風子を召喚する。たまに勝手に出る)
 ・???(最後の奥の手的な物。バレバレだが秘密)
 ※1、能力及び装備は作者の勝手な主観による物です。基本高A~E低の五段階。
 ※2、原作ゲームと多少ステータス項目における意味合いが違います。
 ※3、剣士と言う職業柄?か、若干朋也の口調が粗野になっていますが仕様です。

 リガールドの黄色い猿こと盗賊春原、

 ☆春原陽平/盗賊 
 通り名/リガールドの黄色いサル
 HPA/AtkC/DefB/IntZ/DexB/SpdB
 武器・シャムネーコ(気品のある猫。逃走中)D
   ・ダガーっぽい杏仁豆腐(ダガーの形をした杏仁豆腐。一応短剣代わりになる)E
 防具・これ鎧!?一式(本当に鎧なの!?と疑問の残る装備一式)E
 アクセ・Hな本(敵と男が釘付けになる。たまに女もなる)
 特殊能力
 ・金髪(なんかムカつくので敵の標的になりやすい。味方からもなりやすい)
 ・オートリジェネ(どんなダメージも次のターンには勝手に回復する)
 ・妹思い(妹がピンチになると、駆けつけかばう)

 新米魔法使い古河、

 ☆古河渚/魔法使い
 HPE/AtkE/DefE/IntC/DexD/SpdE
 武器・魔法使いのスタッフ(賢くなりそうな杖。あまり直接攻撃には向かない)E
 防具・魔法使いのローブ(賢くなりそうなローブ。防御魔法がかけられている)B
 特殊能力
 ・演劇部(味方の一人になりきる。あくまでなりきるだけなので、能力はそのまま)
 ・お母さんのパン(お母さんが焼いたパン。食べると震えが止まらなくなる)
 ・???(奥の手。まだ内緒)

 腕利きの忍者杏、

 ☆藤林杏/忍者
 HPB/AtkB/DefC/IntC/DexA/SpdA
 武器・手裏剣(全方位に投げれる投擲武器)C
   ・辞書(全方位に投げれる投擲武器)B
 防具・鎖帷子&忍装束(軽さを重視したいかにも忍者らしい服)C
 特殊能力
 ・無限書庫(杏リミテッド・ブック・シェルフ。何処からか無限に本が取り出せる)
 ・獣使い(忍猪のボタンを使役する。七変化するらしい)
 ・藤林流忍術(小雪忍……いや、藤林流忍術が色々使える)

の四人は、襲撃して情報を聞き出すべく、少数の獣人達に奇襲をかけようとしていた。
 だが、例によって春原のお陰で敵に見つかっちまった俺達は、逆にどこからか大量に現れた獣人達に周りを囲まれちまったんだ。
 コイツはヤベーぜ!!
 こっちは杏はともかく、初心者の古河と、ネコにやられちまった春原がいるんだぞオイッ!?
 まっ、世の中なるようにしかならねえだろうけどな。
 


 「ど、どうしましょう!?獣人さん達いっぱい隠れてました!!いったいどうしたら……事情を話せば、許してもらえないでしょうか?」
 「アンタ達をぶっ倒して、情報を聞き出そうとしてましたって?バカな事言ってないで、いい加減覚悟を決めなさい!」
 いきなり敵に囲まれパニくる古河を、杏が冷静にたしなめる。
 まあ、初陣からこれじゃあな。
 俺としても、まだ町からそう離れていないこんな場所で、これだけの数の獣人と出くわすとは思っていなかったから油断していた。
 「で、マジでどうすんだ杏?」
 「どうするって……やるしかないでしょ?“いつもの”ようにね」
 「だよな……オラッ、起きろ春原」
 いつまでも寝ている春原をゲシッと蹴っ飛ばして起こす。
 「ゲフッ!!痛いじゃんか岡崎!!」
 「いつまでも寝てっからだ」
 「だからって、もっと優しくソフトに起こしてくれませんかね!?」
 「ハイハイ、あんた達ももうちょっと緊張感持ちなさいよね!獣人に囲まれてんのよ?」
 「え……?ひいっ!!何だよこれ!?いつの間にか僕達、獣人に囲まれてるじゃんか!!」
 起きるや否やつっかかって来る春原に、杏が手を叩きながらたしなめ、それでようやく自分達が置かれている状況に気付いたらしく悲鳴をあげてうろたえる。
 相変わらず状況判断能力に欠けている奴だ……いや、こいつの欠けている所を挙げていたら切りが無いが。
 「だからそう言ってるでしょ……まったく、誰の所為だと思ってるのよ?」
 「まあ、そんな訳だから、お前の力だけが頼りなんだ」
 「どんな訳だよ!……って、え?僕だけが頼り?フッ、さすが岡崎、よくわかっているじゃないか!この『リガールドの黄色い猿』と謳われたこの僕に……って、何だよこの通り名!?」
 折角煽ててやったってのに、余計な事に気がつきやがった。
 「今更だなオイ……俺と同じリガールド出身なんだからいいだろ?」
 「リガールドは別にいいよ!その後の黄色い猿って何だよ!?」
 「頭が黄色いからだろ?」
 「これは黄色じゃなくて金髪ですよ!!大体お前が『赤い牙』で、どうして僕が『黄色い猿』なんだよ!?」
 「知るか!!そもそも通り名ってのは、誰かが勝手に付けるもんだろうが。文句は他に言え!」
 「何だよそれぇ!?せめて『黄色い牙』とかにしてくれませんか!?」
 「もう金髪はいいのな。じゃあ、『リガールドのイエローモンキー』でどうだ?どっかのバンド名ぽくて格好良さ気じゃねえ?」
 「イエローモンキーだってぇ!?……いいかもしない!!」
 「ああっ、もう!どうしてあんた達はすぐ漫才始めんのよ!?陽平!いいからとっとと行きなさい!!」
 「へっ?どこに?」
 「いいから行けやオラ!」
 俺は春原の背後に回ると、押し出すようにケツを蹴っとばす。
 「んべ!!何すんだよ岡崎!?って……ひいいいいいいいいいいいいいい!!」
 無様に頭から地面に倒れこんだ春原は、起き上がるなり俺に文句を言ってきたが、そこでようやく自分がどういう状況に置かれたのかに気付いて、ゆっくりと向き直るや悲鳴をあげた。
 今全ての獣人達の目は、一人突出した春原にロックオンされたのだ。
 さあ、狩の時間だぜえ!!(獣人の)
 「フンガー!!」
 「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
 一人の獣人の雄叫びを合図に、一斉に獣人達が春原目がけ殺到する。
 悲鳴を上げながら逃げ惑う春原とそれを追う獣人達は、グルグルとその場を回りだした。
 「今よ、渚!!ぶっ放してやりなさい!!」
 好機と見た杏がすかさず古河に指示を出す。
 だが、何故か古河は困惑した顔をした。
 「えっ!?でも……今魔法を撃ったら、春原さんにも当たってしまうかもしれないです……」
 「大丈夫!こういうのは味方には当たらない様に出来てる物よ!」
 「そうなんですか……?」
 「そうよ!さあ、遠慮なくぶっ放しなさい!!」
 「はい!古河渚、行きます!ファイアーボール!!」
 目をつぶっておっかなびっくりながらも、古河が巨大な火の玉を放つ。
 ドーーーーーーン!!
 「ぐおおお!!」
 「ギャー!!あちっ!!あちちっ!!」
 火柱が上がり、巻き込まれた獣人達が呻く。
 「あの……春原さんのお尻燃えちゃってます!!」
 「行くわよ朋也!」
 「おう!食らえお手製ホウ酸団子だ!!」
 「乱れ打ち!!」
 敵が怯んだ隙に、ケツに火が点いて走り回る春原を見て血相を変えてる古河を軽く無視して、杏が両手の手裏剣と辞書を乱射しながら、俺は敵の口めがけホウ酸団子を放り込みながら斬り込む。
 「ぺっぺっ!変な物食わせ……うごっ!!ちょっと待っ……ひでぶぅ!!」
 「全部春原さんにも当たっちゃってます!!」
 


 「ふう……何とか片付いたな」
 最後の一匹にとどめを刺し、死屍累々の周囲を見渡しながら一息つく。
 春原を囮にして敵を集め、そこに範囲攻撃連発。
 俺達の必勝パターンだ。
 まあ、ぶっちゃけ俺らなら、この程度の相手は敵じゃねえ!
 もっとも、手加減までは出来ねえから、情報は聞き出せそうにねえが……。
 「あのう……春原さん、大丈夫ですか?」
 「うう……ありがとう渚ちゃん……心配してくれるのは君だけだよ……」
 辞書が顔面にめり込んだまま倒れている春原に、古河は恐る恐る近付いて無事を確認する。
 でも見た目がグロイからか、傍らにまでは寄れないようだ。
 「大丈夫だ。死んでなきゃそいつはすぐ回復するから」
 「だからって、いきなり敵の前に蹴るのはやめてくれませんかね!!」
 「いいだろ?どうせ武器もねえんだし。囮くらいやりやがれ!」
 「ありますよ!!ほら、露店の特売で買ったダガー」
 そう言って起き上がった春原が取り出したのは、妙に白いダガーだった。
 「……って、それ杏仁豆腐じゃね?試しに噛んでみ?」
 「何言ってんだよ岡崎、どっからどう見ても普通のダガー……ホントだ!ちょっと硬いけど食べられる!!」
 俺に言われて刃の先をかじった春原が驚愕する。
 またかよこいつは……。
 「最近出回ってる、獣人達が作った杏仁豆腐製品みたいね」
 そこで敵を全滅させてから姿を見ないと思っていた杏がひょっこり顔を出した。
 大方、色々調べていたんだろうけど。
 「杏、何か見つかったか?」
 「ええ。中々興味深い物がね」



 杏が発見したのは、地下への隠し通路だった。
 どうやらさっきの獣人どもは、ここから湧いて出たらしい。
 上に居たのは見張り役って所か。
 ……って、
 「おい、杏。この下にまだ獣人どもがごろごろ居るかもしれねえんじゃ?」
 「かもね。一応階段下の扉の前までは降りて視て来たけど、私もそれを警戒して扉の中までは確認出来なかったわ。妙な音がして扉越しじゃ中の気配も判らなかったし。でも、それより気になったのは匂いね」
 「妙な音とにおい?」
 杏に言われて俺達は額を寄せ合い鼻を鳴らして中の匂いを嗅いでみた。
 なるほど。
 ほのかに甘くややクセのある匂いが漂ってくる。
 「確かに下からほのかに匂ってくるな」
 「この甘くて独特の匂いは……杏仁です!」
 「じゃあ、もしかしてこの下は……?」
 「獣人達の杏仁豆腐装備製造工場……ってトコでしょうね」
 「何だってぇ!?」
 どういう訳だか獣人どもは昔から杏仁豆腐が好物らしく、またそれを加工する技術は人間以上とも言われているそうだ。
 特に最近は、獣人達が作った杏仁豆腐製の武器や防具が闇ルートで市場にも流通しており、獣人どもの収入源となっているらしい。
 素材が杏仁豆腐とは言え、奴等の作る装備は精巧に出来ており、普通に装備として装備可能。一部の傑作はそこいらの装備の性能を遥かに凌駕するとかしないとか。
 「て事は、それを売り捌けばボロ儲けでウハウハ!?」
 「バレたら当然豚箱行きだけどな。でもよ杏、ここが獣人どもの秘密工場だとしたら、下手に手を出すより、とっと役人にでも報せた方がいいんじゃねえか?」
 たんにさっきので打ち止めだってんならいいが、もしまだ中に籠もっているとすりゃ、俺達の強さにビビッてるか、もしくは罠を張って待ち構えてるかだろ。
 その場合、俺達だけじゃ手に負えねえかもしれねえし、最悪全滅も有り得る。
 「でも、中にまだ敵が居るとすれば、奴等にもここが私達に発見された事は知られているでしょうし、もしこの中に鷹文が捕らえられていたとしたら?」
 「軍が動く前に逃げられちまうかもしれねえか……」
 「出入り口がここだけとは限らないでしょうしね……で、どうするの?」
 「どうもこうも、入って確かめるしかねえんだろ?」
 「まっ、そういう事ね」
 あまり俺は気が進まなかったが、杏の言い分ももっともだった。
 危険だとビビッてばかりいても、何の進展もねえだろう。
 そう思い直し、俺は胆を決めたのだが、そこでやはり古河が不安そうに口を開いた。
 「あの……とても危険なんじゃ……?」
 「そりゃあね。危ない橋を渡る事も有るって言ったでしょ?もちろん、だからと言って無謀な真似をするつもりはないわ。侵入したら一時間以内に戻ってくるつもりよ。だから渚、あなたはここに残って見張りと、万一私達が時間内に戻らなかった時には一人で報告に戻ってちょうだい」
 「そんな……皆さんを置いて私だけ戻る事なんて……」
 「じゃあ、もし私達が敵に捕まってたら、あんたが一人で助けに来てくれる訳?」
 「それは……ごめんなさい。多分私には無理です……」
 「そういう事。ようするに、一番効率的で確実な行動を取れって言ってるの。もちろん、あくまで“万が一”よ。大丈夫!いざとなったら二人を囮にして、私だけでも戻ってくるから」
 「ええ!?」
 「あんた酷いっすね!!って、僕も行くのかよ!?」
 「当たり前でしょ?囮一号が来なくてどうするのよ?」
 「僕が一号かよ!!」
 「頼んだぜ一号!俺まで回すなよ!」
 「岡崎、お前もかよ!?あんたら滅茶苦茶酷いっすね!!」
 少々キツイ言い方をしながらも、最後は軽口を言ってフォローするあたり流石杏だ。
 ……で、俺も囮ってのは冗談だよな?
 そう目で問いながら杏を見ると、奴はニヤリとしやがった……!



 罠を警戒して慎重に扉を開け中に侵入した俺達だったが、待ち伏せどころか獣人一匹現れやしなかった。
 少々拍子抜けだったが、杏仁豆腐の匂いと機械音で敵の気配があっても解り辛い。
 こういう所は物影から何時奇襲されないとも限らねえ。
 春原を先頭に、俺たちは固まって警戒しつつ中を探索する。
 地下にあった物は、やはり杏仁豆腐装備製造工場だった。
 中々近代的で機械化されており、装置を止める暇も無かったのか、杏仁豆腐が出てくる装置やら、それを運搬してるベルトコンベアやらがまだ稼動している。
 「さすがに中は凄い匂いね……」
 口を忍者らしく頭巾で覆っている杏が呟く。
 「うっぷ……何か僕ちょっと気持ち悪くなってきた……」
 「ちょっと、吐くならどっか脇でやってよね」
 「ちょっとくらい心配してくれませんかね!?」
 「そうだぜ杏。春原、ほら、出ないように口にこの杏仁豆腐つめとけよ」
 「お前も心配してるっぽく酷い事言うなよ!!……って!!」
 「!!」
 軽口を叩き合っていた俺達だったが、その突然の異変に流石に表情を引き締める。
 稼動していた装置が一斉にピタリと止まったのだ。
 やはり罠か!!
 三人密集して背中を預け合い三方を警戒する。
 だがその時、頭上から声が響いた。
 「侵入者諸君。君達の仲間は我々が拘束した。君達も速やかに武装を解除し、投降したまえ」
 スピーカーから聞こえた、癇に障る気障な声に俺達は愕然とする。
 まさか、上に残した古河が捕まった!?
 しまった!!まさか俺らを地下に誘導し、地上に残すだろう見張り役を狙う作戦かよ!!
 しかも地下の俺らは袋のネズミじゃねえか!!
 今度こそ、マジでやべーぜ!!どうなるんだ俺達!?
 
 つづく


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